今回で商標法の一部改正の説明は終わる。以下に商標法の改正ポイントを述べる。

1.団体商標制度の導入
社団法人や事業共同組合等の団体が利者となって、その団体の構成員が団体登録商標を使用することができる制度が導入された。社団法人や組合等に勤めている会員は、上司にその旨を知らせ、団体マーク等、商標の取得をすすめてはどうだろう。

2.連合商標制度の廃止
1出願で多区分を指定できるので、必要がなくなった。従来、連合商標出願は平成6年16,945 件、平成7年13,026 件であり、その年の出願件数に対して1割も満たなかった。

3.登録後の異議申立制度の導入
特許と同じように、登録後に商標登録の異議申立制度が導入された。特許は特許公報発行の日から6ヵ月に対し、商標は商標公報発行の日から2ヵ月以内である。

4.手続補完制度の導入
従来、所定の事項を記載しない出願は、不受理処分とされる場合があった。今回の改正では不受理処分は行なわず、補完命令を発し、出願日認定の救済を行なう制度が導入された。

5.更新登録から更新申請書の提出
従来、使用証明書を添付して更新登録を行なっていたが、今回の改正では、使用証明書の提出義務もなく、更新申請書を出せば更新できるという手続の簡素化が行なわれた。

その他、いろいろあるが、当面いままで述べてきたことを知っておけば出願実務上問題はない。

これまで、素人の立場になって商標法の改正ポイントをわかりやすく説明できれば、と連載を続けてきたが、100%満足していただける記事ではなかったであろう。学会会員向けには、限定で解説書を準備しているので、ぜひご利用いただきたい。