特例市に移行した四日市市を訪ねて (日本・三重)

視察日:2000年11月25日

 三重県四日市市(人口:約29.4万人)を訪ねて参りました。四日市市は、江戸時代、宿場町として栄え、戦後は伊勢アーケード商店街湾岸の石油コンビナートとして知られる工業都市として発展してきました。高度成長時代には、影の部分でもある公害、我々も教科書で習いましたが、四日市ぜんそくに悩まされた地域でもあります。今では、熊本県の水俣市同様、公害を克服して、環境にやさしいまちに変化を遂げています。

 四日市市は、三重県最大の人口を有しており、県庁所在地の津市(人口:約16万人)よりも多く、立地的には津市より名古屋寄りに位置しています。ちなみに、三重県同様、県庁所在地でありながら、その県でナンバーワンの人口でない所を挙げますと、静岡県(県庁所在地の静岡市が人口約47万人で、浜松市が約57万人)、福島県(県庁所在地の福島市が人口約28.7万人で、郡山市が約32.7万人)、山口県(県庁所在地の山口市が人口約13.5万人で、宇部市が約17.2万人)などです。

 四日市市は、宿場町、工業都市として栄えてきましたが、商業都市でもあります。近年、郊外に大型ショッピングセンターなど出来てきていますが、商圏人口は、隣接する鈴鹿市、楠町、菰野町はじめ、周辺の亀山市、関町などほぼ70万人に達します。また、四日市市は、今や全国各地に見られるジャスコの発祥の地であり、近鉄四日市駅前にもみられます。

 今回、四日市市へは、まちづくり交流フォーラム2000三重の「全国地域通貨(エコマネー)サミット」に参加するために行きました。地域通貨(エコマネー)につきましては、来月(2001年2月)のコラムにて考察(紹介)いたしますので、今しばらくお待ち下さいませ。今回、会場がJR四日市駅に近いということで、JR近鉄四日市松坂屋を利用しましたが、中心市街地(繁華街)は近鉄四日市駅周辺に移っており、JR四日市駅から近鉄四日市駅へ歩いていくのは少し離れており(直線距離で約1キロメートル)大変でした。
 元々は、JR四日市駅と近鉄四日市駅は、現在のJR四日市駅に併設乗り入れていました。中心市街地の変遷をみていきますと、江戸時代は、宿場と港を結ぶ間が栄え、戦後になり鉄道のウエイトが高まってくると、現在のJR四日市駅(当時の国鉄)周辺が中心的役割を担うようになってきます。それが、1956年の近鉄名古屋線のショートカットにより近鉄四日市駅が現在の位置に移動し、繁華街もそれに従って南西方向に移動していきます。一番上の画像は、近鉄四日市駅界隈の商店街のアーケード部分を写したものです。付け加えれば、その後1975年に近鉄四日市駅が高架になり、1990年代には駅西側に松坂屋アムスクエア(追記:松坂屋アムスクエアは2001年に閉店となりました)がオープンしてさらに人の流れは南西へ広がっています。上から2番目の画像が、近鉄四日市駅を通り抜ける道で松坂屋アムスクエアに続いている通路部分を写したものです。今回、JR四日市駅と近鉄四日市駅両方の界隈を歩いてきましたが、両駅の距離が約1キロメートル離れていることもあり、つながりというものが感じられませんでした。今や、賑わいの差は歴然となっています。数値データを拾ってみましても、平成11年度の近鉄四日市駅の年間乗車人員が約911万人に対し、JR四日市駅は約87万人と10分の1以下となっています。
 四日市の繁華街は、南西へ南西へと街の重心が移動していった形となっていますが、JR四日市駅における電車の本数、スピードなど近鉄に見劣りしなくなってきているようです。両駅の中央に市役所などの公共機関が配置されており、バランスが良いだけに、今まさに両駅の“つながり”が求められています。そのキーワードになるのが、江戸時代の海運の中心空店舗対策協議会事務所であった四日市港であり、ウォーターフロントの活用だろうと思います。これから21世紀を迎え、環境という追い風に乗って、高度成長時代の石油コンビナート、公害というイメージを打破していってもらいたいものです。

 今回のタイトルにも掲げました四日市市が特例市に指定されたという最近の話題を紹介します。四日市市は、2000年11月1日に特例市に移行しています。四日市市のほか、盛岡市(岩手県)、函館市(北海道)、小田原市(神奈川県)、大和市(神奈川県)、福井市(福井県)、甲府市(山梨県)、松本市(長野県)、沼津市(静岡県)、呉市(広島県)も移行しています。そして、さらに21市が2001年4月の移行に向けて準備をしています。
 「特例市」とは、2000年4月1日に地方分権一括法が施行され、新たに加わった都市制度です。特例市が加わったことで、我が国の都市制度は、政令指定都市、中核市、特例市、一般市の4つに分けられます。
 特例市は、人口20万人以上の市に対して、一定の事務権限を一括して移譲するものです。対象の市は、全国で59にのぼっています。移譲される権限は、都市計画法や土地区画整理法、水質汚濁防止法など16法律20項目にのぼり、保健所事務および民生関係の事務を除けば、都市計画や環境保全に関する権限が中核市とほぼ同じで、地域の実情にあった行政サービスを行うことが可能となります。
 他の「政令指定都市」「中核市」を簡単に述べますと、政令指定都市は、総合的に大都市行政ができるように認められた制度で、人口がおおむね100万人以上の市(要件的には人口50万人以上で政令で指定する都市となっている)が対象となり、現在、名古屋市、大阪市など12市が指定されています。中核市は、政令指令都市に次いで、大きな事務権限が与えられた制度で、人口30万人以上かつ面積100平方キロメートル以上の都市が対象となり、現在、熊本市、堺市など27市(2000年4月現在)が指定されています。

 2001年5月に浦和、大宮、与野三市合併による政令指定都市への移行も視野にいれた“さいたま市”が誕生しますし、これから、市町村合併等が活発になっていけば、全国の政令指定都市、中核市、特例市、一般市が大きく塗り変わっていくことと思います。四日市市の場合も、今回の特例市への移行は、中核市へ向けてのワンステップと捉えており、より自主的で自立的なまちづくりを目指しているようです。

 最後に、上から3番目の画像の紹介を忘れておりましたが、商店街のアーケード内にある空き店舗対策協議会事務所を写したものです。現在、全国各地の商店街で空き店舗対策に苦難しておりますが、それに対してここでも様々な取り組みが試みられています。低家賃で若手経営者に開放したチャレンジショップ「街道文化村」、大道芸人を養成する「クラウンスクール」、大道芸人に宿泊先を提供する「旅芸人一宿一飯制度」などが行われており、これからどう巣立っていくか楽しみなところです。

By Nagura

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