新たな拠点づくりの手法として期待されている
コミュニティレストランを訪ねて 
(日本・三重)

視察日:2002年12月17日

追記(2006.1.11):1号店のこらぼやは、2004年9月にJR四日市駅本町通り商店街の入居していたビルが老朽化のため閉めて、近鉄四日市駅東グリーンモール商店街に新しく移転してオープンしました。しかし、2006年1月いっぱいで一旦営業を休止し、2006年春にパイロットショップとして再スタートを切る予定です。2号店の「らいふ」は、下記のレポートの通り、現在も通常通り営業しています。
追記(2007.1.26):2006年9月21日にばんこの里会館(三重県四日市市)内に移転してリニューアルオープンしました。2007年1月26日のNHK教育テレビ「ビジネス未来人」で代表の海山さんも出演され、「みんなが主役日替わりシェフの店」としてドキュメント風に紹介されました。

 愛知県が今年度(平成14年度)コミュニティビジネスの育成(安城市と一宮市の2市をモデル地区に指定)に乗り出してこらぼ屋外観おり、私も地域に住む一市民として、地元安城市のコミュニティビジネス検討会に参加しています。その一環として、今回、三重県四日市市のコミュニティレストランを視察して参りました。

 まずコミュニティビジネスとは、一言で言えば、“地域における困った問題を解決するビジネス”と捉えることができます。もう少し捕足すれば「お互いの顔の見える関係の中で成り立ち、自らの住んでいる地域を元気に暮らしやすくする住民主体の地域事業」と言えます。大きな特徴として、利益追求を第一としない点が挙げられます。通常のビジネスとボランティア活動の中間的な存在で、人々の行動の価値基準として、地域や人のためという志をもって取り組んでいる点が特徴です。

 このような特徴をもつコミュニティビジネスは、事業主体も個人であったり、市民団体であったり、NPO、有限会社、株式会社などの法人であったりと様々です。コミュニティビジネスへの流れとして、最初はボランティアから入っていく場合もあります。地域の問題意識をもった個人あるいはグループが自発的な活動が、やがて多くの人の賛同を呼び、コミュニティビジネスとして成立し、地域に根付いていきます。さらにコミュニティビジネスの詳しい説明につきましては、これまでに、コラム「講演“今、コミュニティビジネスが面白い!”を聞いて(2002.8.1)コラム「コミュニティ・ビジネスを考察する(2001.6.2)」で紹介しておりますので、併せてお読み頂けましたらと思います。

 今回視察してきましたコミュニティレストランは、コミュニティビジネスこらぼ屋店内の一つとして捉えることができます。コミュニティレストランは、地域で生活する多様な人々が集い、お互いの技術や能力を持ち寄ることによって、豊かな地域社会を生み出していくための拠点となることを願って誕生しました。また、コミュニティレストランは、略してコミレスとも呼ばれています。

 今回、「日替わりシェフ」で人気を集める四日市市の民間非営利団体(NPO)「コミレスネット」が運営するコミュニティレストランの1号店「こらぼや」と2号店「らいふ」(らいふは、1号店を運営するコミレスネットの海山裕之代表から経営手法を教わり東芝工場の退職者でつくる有限会社ライフテクノスが運営)の両方を訪ねてきました。また、2号店の「らいふ」では、実際に昼食で、地元で採れた食材を使ったお弁当“地産地消弁当”を食べてきました。地産地消(ちさんちしょう)とは、“地域生産 地域消費”の略語で、文字どおり「地域で生産されたものは、地域で消費する(使う)。地域で消費する(使う)ものは、地域で作る」という意味合いです。食に関するコラム「“スローフード”“地産地消”など「食環境」を見直す動きについて考察する(2002.5.1)」のなかでも取り上げていますので、併せてお読み頂けましたらと思います。また、四日市市につきましても、視察レポート「特例市に移行した四日市市を訪ねて」を併せてお読み頂けましたら地域性もよりご理解いただけると思います。

 一番上の画像は、コミュニティレストランの1号店「こらぼや」の外観を写したものです。そして、上から2番目の画像は、店内を写しらいふ外観たものです。「こらぼや」は、四日市本町通り商店街のなかに2001年11月にオープンしました。四日市市の「まちなか空き店舗新規出店補助金」の第一号の認定を受けて開業しました。コミュニティレストランの特徴は、アマチュアシェフが寄り集まって運営する形態をとっており、ランチを作るシェフが毎日入れ替わるユニークな経営が関心を呼んでいます。現在では、アマチュアシェフの登録者は既に50人を超えており、独立開業する人も現れるなど、プロの料理人を目指す修業の場にもなりつつあります。

 「こらぼや」設立当初は、元調理師のコミレスネットの海山代表がチーフコーディネーターとなり、メンバーはアマチュア7人でした。空き店舗が目立つ中心市街地の活性化とともに、NPOや市民活動の新たな拠点づくりの実験的な試みとして始まりました。また、コミュニティビジネスの一形態として、アマチュアシェフが独立・開店するのを支援することも狙いとしてスタートしたわけです。

 コミュニティレストラン「こらぼや」のシステムをざっと紹介しますと、ごく普通の主婦やOLなどが日替わりでシェフを務める「ワン・デイ・シェフ・システム」という仕組みで運営されています。このワン・デイ・シェフ・システムと呼ばれる2週間で1回転するシェフのローテーションは、日本料理をはじめ、インド、韓国、スペインなどと多国籍で、家庭料理あり、本格懐石ありと様々な料理が日替わりで楽しめます。シェフたちは、2週間に1度の担当日のために、食材を選び、腕により地産地消のランチをかけて入念に準備をしたメニューをお客様に提供でき、毎日通い詰めても飽きの来ない次世代型レストランとも言えます。シェフになりたい方の料金システムは、通信費などの年会費1,200円を払い、基本的に材料の仕入れ(調味料も含む)はすべて担当シェフが行い、調理した料理の売り上げの70%を給与として受け取ります。今回、昼食で食べましたランは、800円でしたので、1食あたり560円(800×0.7)がシェフの手元に入る形となります。

 その他、特徴として、コミュニティレストランは、お客さんが満足するのと同じくらいに、シェフも楽しんでいる点です。担当日の店内のインテリアも自分の好みに変えて、気に入った音楽を流したり、手作りのものを置いて販売したり、自家栽培の野菜を提供したりと、コミュニティレストランを自己表現の場として活用できます。また、ギターの得意な友達とコラボレーションしたり、料理教室を同時に開いてみたりと工夫次第でお店をどんどん楽しくすることもできます。既に独立してお店を持った方もいると先ほど述べましたが、コミュニティレストランに参加されるシェフは、将来プロとして独立しようという人、自慢の料理を披露するだけで満足という方などさまざまな価値観や思いを実現できる場となっています。

 上から3番目の画像は、コミュニティレストラン2号店「らいふ」の外観を写したものです。そして、上から4番目の画像は、昼食で賞味してきました地元で採れた食材を使った“地産地消弁当”を写したものです。画像の料理をざっと説明しますと、ささみのごまスティック、さつまいもとレーズンのサラダ、かぼちゃ豆腐、人参と厚揚げの煮物、青菜の海苔和え、大根と人参のサワー漬け、豆腐入り白玉団子です。すべて、地元(三重県)で採れた食材を活用しています。あと、この他に、十種雑穀米入りご飯と味噌汁が付きます。メモ知識として、雑穀とは一般的に、米、大麦、小麦、裸麦以外の食用穀物の総称を指します。また、日本古来の主食穀類5種類を指す「五穀」には通常、米、麦(大麦、小麦、裸麦)、豆(主に大豆)とともに、アワ、キビ(またはヒエ)を含んでいます。

 今回紹介しました四日市のコミュニティレストランには、亀山市や名古屋市などの近郊にとどまらず、茨城県職員や熊本県のNPOスタッフなども視察に訪れています。また、現在2店舗展開していますが、3号店の計画も進行中だそうです。今後、コミュニティレストランが地域でどのように根付いていくのか見守っていきたいと思っております。さらに、地域住民や商店街との連携が進んで、新たな展開が生まれることも期待しております。

 最後に、文頭でも紹介しました今回の視察もその一環である安城市におけるコミュニティビジネス検討会の現状をお伝えします。来年度(平成15年度)のコミュニティビジネス実施に向けての検討をほぼ終えて、2月12日(2003年)にある発表会に向けて最終段階を迎えています。具体的に実施されるコミュニティビジネスについては、来年度に機会を見つけて紹介したいと思っております。乞う御期待を!

By Nagura

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