ヴィレッジ・ヴァンガード一宮店 (日本・愛知)
視察日:1998年6月15日
下の写真を見て頂きますとわかりますが、店の入り口の右側に書いてあります「遊べる本屋」が謳い文句の書店ヴィレッジ・ヴ
ァンガード一宮店を見て参りました。ここ一宮店は1カ月程前にオープンしたばかりで、ヴィレッジ・ヴァンガードの中では現在のところ最も新しい店舗です。店舗内のユニークさは後程詳しく述べますが、建物そのものもユニークな形状をしています。円形の筒のような建物で、まさにかまぼこ型といったところです。
国道22号線を名古屋から岐阜方面に走っていきまして、ユニー一宮店を過ぎた次の信号を右折したところにあります。国道22号線からも銀色に輝いているかまばこ型の建物が見えますので、すぐわかると思います。
ヴィレッジ・ヴァンガードは、現在24店舗展開しており、1号店を愛知県長久手町に開き、多くは愛知県下に集中していますが、今では岐阜、静岡はじめ、栃木、埼玉、群馬、大阪、札幌、神戸、北九州などへも展開しています。ここ数年、急成長を遂げている店のひとつです。
ヴィレッジ・ヴァンガードに初めて行かれる方は、本屋という認識で入られるとまず度肝を抜かれると言うか驚かれることと思います。また逆に本屋とは思わずに入られた方は、これが本屋だったとは最後まで気付かないかも知れません。
店内の雰囲気は、下の2枚の写真からも伺えますが、本屋というよりは、雑貨ショップに近いといった色合いが濃いです。
私は、今までにヴィレッジ・ヴァンガードの1号店の長久手店と名古屋駅新幹線口の生活創庫の6Fに入っているヴィレッジ・ヴァンガードを利用したことがあります。そして、今回一宮店を見てきたわけですが、それぞれ店の特徴も品揃
えもさまざまで独自色の強い店舗づくりがされています。
共通しているところは、本屋らしくない本屋という点であり、ある分野の書籍の周りにその関連グッズが揃えられています。そして、レア物、こだわりのもった雑貨などが溢れんばかりに雑然とところ狭しと並べられています。
例えば、サイクリング関連書籍の横に自転車、映画雑誌の横に映画音楽のCD、車関係の書籍の横に自動車(長久手店)、アウトドア書籍の横にログハウス(長久手店)といった具合に関連の書籍と雑貨が一緒に並べられています。
店内は、天井からグッズがぶら下がっていたり、段差をうまく利用したレイアウトがされていたりするなど空間をうまく使った演出がされています。円形の天井からは一部自然光が入り、たいへん明るい店内となっています。
また特徴的なのは、雑誌は置いてありますが、一般の書店の平台に並べられているようなベストセラーのような本はここでは見当たりません。売り上げも、書籍・雑誌の売り上げは6割程で、残りの4割は雑貨の売り上げが占めています。
3年程前に1号店の長久手にあるヴィレッジ・ヴァンガードに行った時には、経営的に成り立っているのだろうか、それとも好きで道楽でやっているのだろうかといろいろ思いましたが、今や20店舗を超えるチェーン店に成長しています。店内を見渡しますと、メインの客層は10代、20代の若者と思われますが、子供づれの若い夫婦連れなども訪れていました。
ヴィレッジ・ヴァンガードは、何か掘り出し物が見つけに行ったり、こ
だわりのある一品が手に入るなど意外性があり、「ぶらっ」と遊びに行くような本屋です。謳い文句の通りまさに「遊べる本屋」さんです。今までの書店にはない楽しみ方、遊び心があるところが、お客さんの人気を博しているのでしょう。
また、場所によって客層にマッチしたうまい店舗づくりもされています。長久手店、一宮店は、雑然とした中にも落ち着いた雰囲気が感じられ、名古屋駅新幹線口の生活創庫内の店は、おしゃれな雰囲気が漂っています。
一般(従来型)の書店の動きを見ますと、どんどん大型化が図られています。ジュンク堂書店の池袋店では、2000年5月をメドに現状の2倍以上の約7,700平方メートルに広げ、品揃えを充実させ集客力の強化を図ろうとしています。今現在最大規模の紀伊国屋書店新宿南店(タカシマヤ・タイムズスクエア内)が約4,600平方メートルですから、まさに大型図書館のようなものが出現することになります。
最近の書籍の販売における動きとしては、小学館が発行している週刊誌「週刊ポスト」(1998年5月22日号から)が「時限再販制」を導入しました。この時限再販制とは、バックナンバーについて小売店の裁量により価格設定できるというものです。よって値引き販売ができるというわけです。首都圏の実験店では、バックナンバーを20%OFFで売り出しました。しかし、お客さんの反応はあまり芳ばしくなく、書店サイドも消極的なようです。情報の鮮度が重要視される週刊誌では、バックナンバーはそれほど魅力的に感じられないようです。また、書店サイドは、「週刊ポスト」も含めほとんどの書籍が委託販売で返品が可能なため消極的であり、それ以上に新刊号の方が販売効率が良く、バックナンバーを揃えるメリットが感じられないことが大きいようです。
今回見てきましたヴィレッジ・ヴァンガードの他にユニークな書店の試みとしては、座り(試し)読みのできることを売り物にした書店(「カルコス」「バーンズ&ノーブル」など)も増えてきています。また、検索機能が充実しているインターネットショップから書籍を購入するユーザーも増えています。本の買い方というか本との楽しみ方、接し方も多彩になってきています。
一般書店に比べヴィレッジ・ヴァンガードは、裏を行くというか本道をはずした発想・着眼には感心いたします。それも短期間で20店舗以上もチェーン展開しており、これからの新しい流れを起こしていく可能性も感じられます。