ヴィーナスフォート(パレットタウン) (日本・東京)

視察日:1999年12月3日

 今年(1999年)8月25日に、東京・臨海副都心青海地区にオープンしたヴィーナスフォート(VenusFort)を見てきまヴィーナスフォート朝風景した。ヴィーナスフォートそのものでも、ひとつの街並みを形成していますが、パレットタウンの一つの施設としてオープンしました。パレットタウンは、新橋駅から出ている新交通システム“ゆりかもめ”の青海駅に直結しています。

 パレットタウンには、ヴィーナスフォートはじめ、ランドマークと言える直径100メートル、地上からの高さ115メートルという大観覧車、クルマのテーマパークとして娯楽性を前面に出したトヨタ自動車のメガウェブ(MEGA WEB)、家具のルームズツーゴー、スポーツオーソリティヴィレッジ・ヴァンガードなどの大型専門店や飲食店が入ったサンウォーク、エンターテイメントパークのネオジオワールド、ライブハウスのジップ東京(Zepp Tokyo)などが入っています。

 ヴィーナスフォートは、アメリカ・ラスベガスにあるフォーラムショップスのコンセプトを参考にしており、実際にモールのデザインは、フォーラムショップスの内装を手がけたドゴール・デザイン・アソシエーツに依頼しています。私は、実際にラスベガスのフォーラムショップスを見てきているだけに、似たようなものをつくったのかなと軽い気持ち(冷やかし半分)でヴィーナスフォートを見に行きましたが、予想に反してうまく作り込んでいることに正直なところ感心いたしました。
 ヴィーナスフォートの街並みは、ヨーロッパ調なのですが、何となく日本的な下町情緒も漂うような日本人感覚もうまく取り込んでいるような印象を受けました。後ほど、ヴィーナスフォートの詳細を述べますが、女性をターゲットにしているだけあり、ラスベガスのフォーラムショップスがプロムナードも広くローマを再現した男性的なイメージに比べ、ヴィーナスフォートは、路地風の小路が多く、柔らかい女性的な感じのショッピングモールに仕上がっています。

 それでは、ヴィーナスフォートを詳しく見ていきまヴィーナスフォート夜風景す。ヴィーナスフォートは、しっかりと顧客ターゲットを絞り込んでおり、“女性のためのテーマパーク”を銘打っています。特に顧客対象を20歳代の女性に絞り込み、店舗を見ても女性向けの洋服、雑貨、化粧品など137店(通路上のキヨスクショップなど含めると約160店)の物販や飲食店が軒を連ねています。トイレも男性トイレは申し訳程度にあるくらいで、女性トイレ(ヴィーナスレストルーム)は、床面積約400平方メートルという日本最大級を誇っています。まさに、女性のためのおしゃれなショッピングモールとなっています。
 今回、3枚の画像でヴィーナスフォートの模様を伝えておりますが、画像からも女性(グループ)が多いことが伺えることと思います。この日は、金曜日で、オープン(営業時間11時〜22時、飲食は〜23時、金・土・祝日前日のみ〜29時)と同時に入ったのですが、オープン前に既に行列ができており、若い女性のグループと視察と思われるスーツ姿の男性の集団が多く見られました。カップルは、思った以上に少なかったです。それよりも、おばさん集団がけっこう見られました。

 ヴィーナスフォートは、パレットタウン西側の2階と3階部分の2層構造(延べ床面積4万4,140平方メートル)になっており、外界から隔離された館内型のエンクローズドモールです。ですから、天候にまったく左右されません。館内は、画像からもおわかり頂けますが、17〜18世紀ごろのイタリアやフランスの街並みが再現されています。そして、お客さんの目をひきつけるその上には、天井一面に空が描かれています。天井は、1時間ごとに青空から夕焼け、さらには星座が瞬く夜空へと徐々に変化する空が演出され、幻想的なムードが醸し出されています。本物と錯覚してしまうほど、なかなかリアルです噴水広場
 ちなみに一番上の画像が、青空の状態の時であり、上から2番面の画像が夕暮れ時から夜にかかる頃で、電飾も鮮やかについているのが伺えると思います。ヴィーナスフォートにいると、外界には、関係なく朝から夜までがめまぐるしく変わっていきます。このように、めまぐるしく変化させることにより、購買欲を刺激する意味合いもあります。女性が衝動買いにかられるのは、空が夕焼けになる夕暮れ時が多いと分析結果などから出ています。女性の皆様方いかがでしょうか。

 ヴィーナスフォートには、モールをつなぐように5つの広場があります。上から3番目の画像は、メインプロムナードの中心にある「噴水広場」を写したものです。また、ヴィーナスフォートの一番奥には、教会広場があり、女性グループの方々が並んで記念写真を撮っている姿が多く見られました。それも、しゃれた制服の女性のアテンダントクルーが親切に撮っている姿が見られました。
 アテンダントクルーとは、ヴィーナスフォートのサービスの一つで、お客さんのすべての要望に対するマルチサービス・スタッフという位置づけです。要するにアテンダントクルーの仕事は、販売ではなく、困っているお客さんを見つけて声をかけ、カメラのシャッターを押したり、エスカレーターへ案内するなど手助けをすることが念頭におかれています。ヴィーナスフォートは、ディズニーランド同様に“おもてなしをする”(接客)という点に重点がおかれており、女性のあらゆる要望に対応するという強い姿勢(コンセプト)が伺えます。
 その他、特徴的なのが、通路が迷路のように入り組んでおり、小さな路地が多く、意外な発見や宝探しのような遊び感覚が楽しめる点です。路地が多く歩くのに楽しめる街としてカーメル(アメリカ)がありますが、カーメルを歩いた時の感覚さえ思い出されました。ヴィーナスフォートのマップを見る限り、そんなにトヨタメガウェブ迷うような感じはしないのですが、ぶらぶらと何気なく歩いていますと不思議なもので、方向感覚がわからなくなる時があります。実際に、迷われたのか途中で、マップを広げて現在地を確かめている女性の方も見られました。

 ヴィーナスフォートの来場者数を見ますと、オープン2カ月間で300万人(平日約4万人、週末約8万人)にのぼっています。当初の目標を上回っており、初年度の来場者数を25%上回る1,500万人に上方修正するなど、年間売上高300億円に達するのは確実のようです。
 総務庁の単身世帯収支調査を見ますと、1999年上半期の35歳未満の女性の消費支出は前年同期比10.2%増で、全体の3.8%増の3倍近い伸びを示しています。また、日経産業消費研究所の調べを見ましても「生活を楽しむためなら出費が増えても構わない」人の割合は20歳代の未婚女性で57%と、全体平均を11%も上回っています。ヴィーナスフォートは、“女性のためのテーマパーク”として顧客対象を20歳代の女性に絞り込んでおり、まさに、データで示した層を狙っているだけに、目標数値の達成への予測もうなづけます。

 前回のコラム「日本全国における先進地カード事業を考察する」で、カードについて触れましたが、ヴィーナスフォートのカードについても少し紹介します。ヴィーナスフォートカードは、年会費が永年無料となっており、マスター、ビザ、JCB付の3つのカードから選べます。数々のご優待サービスがありますが、その中のポイントサービスについては、ヴィーナスフォート以外での利用は100円に付き1ポイント、ヴィーナスフォートでの利用は100円に付き2ポイント、さらにヴィーナスフォートでの誕生月における利用は100円に付き3ポイントとなっています。1ポイント=1円で、500ポイントでヴィーナスフォートで利用できる商品券と交換できる形となっています。

 最後に、ヴィーナスフォートと並びパレットタウンのもう一つの核であるトヨタ自動車のメガウェブ(MEGA WEB)を紹介します。こちらは、一足早く今年(1999年)3月にオープンし、すでに年間入場者数の目標300万人を上回る540万人の来場者を記録しています。メガウェブは、トヨタが販売する全車種・約140台を展示する「トヨタ・シティショウケース」、クルマのデザインや疑似ドライブを体験できるアトラクション、1950〜70年代の米国の街並みを再現し、約30台の懐かしいクルマを展示した「ヒストリーガレージ」、未来都市のドライブを仮想体験できる「フューチャーワールド」などがあります。上から4番目の画像は、施設内のコースで電気自動車の試乗をしている車両を写したものです。また、市販車においても、全トヨタ車の中から選んで、乗り心地をじっくりと体感できるコースもあります。来年(2000年)、トヨタから発売されるおとぎ話の馬車を連想させる「Will Vi」も展示されていました。補足しますが、「Will」は、トヨタ、アサヒビール、花王、近畿日本ツーリスト、松下電器産業の5社が業種を超えて始めた若者向け合同プロジェクトです。

 今回、ヴィーナスフォートを中心に見てきましたが、今まであったようでなかった若い女性をターゲットとした大型商業施設の切り口は、新鮮に映りました。東京界隈は、来年(2000年)夏には、夜のハリウッドに似せた街並みやれんが造りの古めかしい市場などを演出する複合商業施設「イクスピアリ」(千葉県浦安市)、2003年には、テーマパークと商業施設を融合した「ロッテワールド東京」(東京都江戸川区)などが続々とオープンし、新しい消費スタイルをつくっていきそうな気配です。

By Nagura

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