津島市のつし丸フェスタを訪ねて(日本・愛知)

視察日:2010年11月3日

 愛知県津島市(人口66,562人、25,384世帯:2011年2月1日現在、面積25.08平方キロメートル)の商店街でつし丸フェスタ1行われた「つし丸フェスタ」を訪ねてきました。津島市は、濃尾平野の西部、名古屋市の西方約16キロメールに位置しています。津島市は、津島神社の門前町として、また、交通・経済の要衝である湊町として、近世・中世を通じて繁栄してきました。

 また、市内には、長い歴史と文化が大切に受け継がれている500年以上も前から続く「尾張津島天王祭」があります。尾張津島天王祭は、津島神社の祭りで、荘厳・華麗な川祭りで、江戸末期の東海道名所図会では「津島祭」と記載されています。尾張津島天王祭は、大阪の天満天神祭、厳島神社の管絃祭と並び日本の三大川祭の一つに数えられ、室町時代から続いていると言われており、織田信長や豊臣秀吉などの名将にも愛されたそうです。

 少し前置きが長くなりましたが、このような歴史のある津島で、歴史も絡めた商店街のイベント、地域の歴史を知ってもらい、お店の店主の人柄や商品を知ってもらう「つし丸フェスタ」が開催されました。つし丸フェスタは当初、2010年10月30日の土曜日の開催予定でしたが、季節遅れの台風のため延期となり、急遽11月3日の文化の日に開催する流れとなりました。つし丸フェスタは、今年度が2回目で昨年度から津島市内のスタンプの「つし丸スタンプ会」と津島駅界隈の商店街が連携したまちおこし・商店街活性化のイベントです。

 つし丸フェスタは、大きく二つの事業が行われました。一つは「ぐるぐるぐるっと回って大勝負!大ジャンケン大会」で、もう一つは「商店街100円ショップ」です。ぐるぐるぐるっと回って大勝負!大ジャンケン大会は、いたって簡単で、名前のとおり商店街のお店をまわって、お店の店主とジャンケンをつし丸フェスタ2して回るものです。そして、単にお店をまわってジャンケンだけでなく、歴史のある津島ならではの歴史スポットを探す“なぞかけ”の工夫が盛り込まれています。

 そして、お店をまわってジャンケンをして、なおかつ歴史スポットを回ると上から2番目の画像にみられるようにガラガラの抽選をすることができます。それも、なんと賞金総額55万円の津島市内で使える「つし丸商品券」が当たります。1等は1万円の商品券、2等は5000円の商品券、3等は1000円の商品券、4等は500円の商品券があたり、はずれもありますが、はずれにも残念賞として子どもたちに人気のキャラクターの“つし丸君”のキーホルダーやタオルのグッズがもらえます。はずれでもけっこう皆さん満足している様子でした。ルールとして、10ポイント溜めると1回ガラガラを回すことができます。お店でジャンケンして勝つと2ポイント、負けても1ポイントもらえます。そして、場所を秘密にしてどこにあるかわからないようにして、ヒントだけでなぞ解きをして津島の歴史ポイントを訪ねると1ポイントもらえます。10ポイント中の1ポイントは必ず歴史ポイントが必須条件で、歴史スポットを訪ね、残りの9ポイントをジャンケンで溜めるとようやく1回ガラガラの抽選ができます。

 今回の主旨そのものは、お店を知ってもらい、なおかつ店主たちの人柄を知ってもらおうというものです。そして、その場ですぐに買ってもらえなくても、こんな店主がいるんだとか、こんな店があるんだとか、こんな商品を売っているんだという記憶に留めてもらい、その後の来店につなげていくことを狙っています。今回、あえて手間のかかる店主とのジャンケンを選んだのは、よく行われるお店を訪ねてスタンプを押していくスタンプラリー形式では、ほんの一瞬でスタンプを押すとすつし丸フェスタ3ぐに出て行ってしまったり、本来、店主が対面で押すべきスタンプそのものを店の外に出しておいて、参加する子ども達が勝手に押していく本末転倒な場面もみられることもあります。

 お店の人と対面でジャンケンをして、なおかつ、ジャンケンだけでなく、それぞれお店でさらなる工夫をして、ジャンケンを通して、世間話しをしたり、お茶を出して休んでもらったり、おまけで粗品を渡したりなどは各お店の裁量に任されています。ジャンケンはあくまできっかけづくりであって、ジャンケンをきっかけに店主たちが積極的に独自に工夫して、おもてなしをしたり、積極的に売り込んでいくことを期待しています。実際には、なかなかジャンケンを超えたさらなる独自の取り組みまでみられるお店は少なかったですが、それでもジャンケンを通して、いろいろと世間話しを楽しそうにしている様子が見られました。基本的に店主たちは話好きで、ジャンケンで来た子ども達や親子連れ、おばちゃん同士などと楽しそうに店主とお客さんが話している姿が微笑ましかったです。

 上から3番目の画像は、店主とジャンケンをして、その後、店主がスタンプを押しながら世間話をしている様子を写したものです。画像は子ども達の姿が多いですが、おばちゃん同士の4人組みも見られました。ジャンケン大会なので、子どもたちや親子連れが中心とばかり思っていましたが、蓋をあけてみると意外におばちゃんたちの姿が目につきました。それも、子どもたち以上におばちゃんたちが童心に帰ったように、楽しそうに店主とジャンケンしている様子が見られました。

 そして、もう一つの目玉というか目的が津島市の商店街のエリアにある歴史をもっと知ってもらおうというものです。歴史スポットとして5つ用意されており、歴史スポットを見つけると1ポイントもらえます。なぞ解きの文面として「戦国武将加藤清正ゆかりの社」「南の守り神。エンマ様が睨みを利かす」「尾張随一の妖つし丸フェスタ4石。子宝石を祭る社」「千体の仏が静かに眠る」「白き山に縁結びの神宿る」が用意されており、場所はそれぞれ具体的にマップ上の明記はなく、マップ上におおよそこのあたりというヒントだけで、あとは自分で探していく仕掛けとなっています。一番上の画像は、なぞ解きの「千躰の仏が静かに眠る」の歴史スポットの場所を写したものです。

 津島市内には、たくさんの地蔵堂が存在し、一番上の画像に見られる地蔵堂は、中に千体仏(せんたいふつ)が納められています。千体仏は、円空が作った仏像で、21センチメートルの地蔵坐像の周りに5センチメートルの小仏が千体並べられた見事な作像で、津島市の文化財にも指定されています。実際にボランティアガイドのおじさんに説明頂きながらみましたが、本当に細かく彫られた仏像がずらっと並んでいて圧巻です。円空は、江戸時代の僧で生涯に10万体を彫ったと言われており、約5千体が日本全国に残されています。千体仏は、津島駅から津島神社に続く商店街のメインストリートのほぼ中央にあります。一番上の画像は、歴史ポイントのスタンプを押した後に、ボランティアガイドのおじさんが親子連れに千体仏を熱心に説明している様子を写したものです。すぐに次のお店に行こうとする子ども達のグループにもしっかりとひきとめて、千体仏の説明をして子どもたちに手を合わせて行きなさいと言っている姿が歴史の伝承としていい光景でした。

 次にもう一つの取り組みの「商店街100円ショップ」を紹介していきます。上から4番目の画像は、店頭に並べた100円商品をお店の方がお客さんに話しかけている様子を写したものです。「商店街100円ショップ」は山形県新庄市で始まった100円商店街をお手本にした取り組みです。少し100円商店街を紹介しますと、2004年7月に山形県新庄市の商店街で始まりました。新庄市の商店街から始つし丸フェスタ5まった100円商店街の取り組みは、今や全国の40近くの商店街で実施されています。100円商店街は、仕掛けとして奥深いものがありますが、簡単に言えば「100円の商品をお店ごとに店頭に並べ、商店街というストリート全部で100円ショップになる」という感じです。商店街100円ショップで来店のきっかけを図ろうというものです。

 新庄市の商店街は、100円商店街3ケ条を掲げてやっています。その1「100円商品は外に陳列すべし」、その2「外でお客様と会話すべし。100円商品の精算は必ず店内ですべし」、その3「お客様を店内に誘い込み、プロパー商品を見せるべし。100円商品のみ買わせるなかれ、通常より多く売るべし」の3つです。お客さんが手軽に手を出しやすいワンコインでお客さんと会話しながら楽しくお勧めし、レジを店内ですることにより、お店に入ってもらうきっかけをつくる。そして、せっかく店内に入ってもらったのだから、自分が自信のある商品を見てもらって、けっして無理強いするのではないけど、店主が熱く語っていくことにより、店頭のワゴンの100円商品とともに、買って頂く努力をする。そこでたとえ買ってもらえなかったにしても、そのお客さんにとって、どんなお店でどのような商品があることがわかり、なおかつ店主との会話を通して、店主の人となりもわかり、次に来店しやすくなります。今までまちなかに来なかったお客さん、または、その店が気になっていたけれど、入りづらかったお客さんに100円商店街を通して知ってもらうことができます。

 今回の津島市の商店街での「商店街100円ショップ」は、上記の新庄市の3ヶ条をすべて守って実践しているお店が少なかったですが、今後、この3ヶ条を徹底してやってこそ、お客さんとの絆づくり、商品お買い上げへの売上アップにつながっていくだけに、この点は今後の課題と言えます。あと、今回のイベントで「津島の商店街のまちゼミ」のゼミ生募集も行っていました。まちゼミは、商店主が先生になって、店主のプロの技や秘密のレシピなどお得な知識をじっくりとお客さんに教える取り組みです。まちゼミも今回のジャンケン大会や商店街100円ショップの主旨と同様に、店主の人柄やお店をまず知ってもらおうという取り組みです。ジャンケン大会や商店街100円ショップは数分から数十分程度ですが、まちゼミは、さらに、2時間程度の講座の中でじっくりと店主とお客さんが過ごすだけに、本当に絆が深まります。

 最後に上から5番目の画像を紹介いたします。商店街エリアにある津島が生んだ国際的詩人の野口米次郎の生家を写したものです。詩作のかたわら日本文学を世界に紹介し、東西文化のかけ橋としても活躍しました。野口米次郎とアメリカ人の母のレオニー・ギルモアの間に生まれたのがイサム・ノグチです。イサム・ノグチは、彫刻家、画家、インテリアデザイナー、造園家・作庭家、舞台芸術家として有名で知っている方も多いと思います。また、国際的詩人の野口米次郎とその妻レオニー・ギルモア、そして天才彫刻家イサム・ノグチの生涯を描いた映画「レオニー」を見た方もいるのではないでしょうか。

 津島市は、歴史や文化にあふれていますので、一度、まちを散策されてはいかがでしょうか。そして、散策途中で、熱い思いでまちを盛り上げようと頑張っている店主たちのお店に足を運ばれてはいかがでしょうか。お店に入って気軽に店主たちと話すことで、より津島の良さがわかることと思います。

By Nagura

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