豊橋市の中心市街地を訪ねて (日本・愛知)

視察日:2002年3月5日

 愛知県豊橋市(人口約37.3人)の中心市街地を訪ねて参りました。今回、豊橋へは、地元の学生たちが、豊橋の中心市街地商国道一号線と市電店街の活性化策を探って、その研究や体験の成果を発表、提言するということで会場である豊橋市役所に聞きに行きました。その発表会における昼休みに豊橋の中心市街地を歩いてきた次第です。学生たちの研究発表会の様子は、コラム「豊橋市の3大学まちなか研究発表会“キャンパスから考えるまちなか活性化”に参加して」で紹介しておりますので、合わせてご覧下さればと思います。豊橋には、愛知大学、豊橋技術科学大学、豊橋創造大学の3つがあります。短大(愛知大学短期大学部、豊橋創造大学短期大学部)も加えると5つになります。大学、短大を合わせた総学生・教員数は、約1万人(平成13年5月1日現在学生数:9,628人、教員数:420人)にのぼります。

 また、当方の視察レポート上における豊橋市の紹介は、2度目となります。前回4年ほど前に、豊橋駅がリニューアルされ、さらに路線縮小傾向だった市電(路面電車:ちんちん電車)が30数年ぶりに150メートル延長された時に紹介しました。こちらも合わせてご覧いただけますと、より豊橋の街がお分かりになることと思います。一番上の画像は、豊橋市役所近くを走る国道1号線を写したものですが、全国的にも少なくなりましたが、愛知県では唯一の市電と車が共存している様子がご覧いただけます。

 前回紹介した時点からの大きな動きとして、2000年6月にTMO(まちづくり機関:Town Management Organization)組織の(株)豊橋まちなか活性化センターが設立されたことが挙げられます。豊橋市、豊橋商工会議所、商業者等25社が出資して立ち上がりました。TMOは、中心市街地全体を一つの商業集合体(ショッピングセンター)と捉え、適切な業種構成、店舗配置やソフト事業による商公会堂と市役所業機能の強化、商業基盤施設の充実、商業空間の魅力化をはかるための事業を一体的・総合的に推進していく組織です。

 TMO(株)豊橋まちなか活性化センターの今後概ね10年以内の事業(既に実施されているものも含まれています)として以下のようなものが挙げられています。「ダイエー跡地活用事業」「魚町・花園界隈商店街リノベーション事業」「まちかど博物館整備事業」「グリーンパティオ整備事業」「まちなか歴史資産ネットワーク事業」「魅力ある商業空間形成事業」「商店街空き店舗対策事業」「まちなかスペースプロモーション事業」「共通駐車券事業」「都心買物カード事業」「ショッピングサポート事業」「歩行者優先道路、ゾーン導入の検討」「自転車ネットワーク整備事業」「新規商業者・後継者育成事業」「ベンチャー企業育成支援事業」「地域産業PR拠点整備の検討」などです。

 ここで、そのなかの「商店街空き店舗対策事業」の取り組みに焦点をあてて紹介していきます。文頭で豊橋市の3大学における研究会の話題を出しましたが、学生たちもこの事業に参加して、学生自らがチャレンジショップとして店舗を運営しています。そのチャレンジショップの取り組み・体験を発表会の場でも紹介していました。

 チャレンジショップ事業(新規創業者育成事業)の第一弾として、豊橋駅近くのときわアーケード内に10店舗が入居できる“ときわパレット”を2001年7月19日にオープンさせました。“ときわパレット”は、商店街の空き店舗をTMO(株)豊橋まちなか活性化センターが借り上げ、改装費や家賃などの負担を軽減させてテナントに転貸する形で創業者を育成していく施設です。次世代の商店主を育成するインキュベータ(ベンチャービジネスを軌道に乗せるまでの施設・機器・資金などの援助を行う場のこと)としての役割を担っています。空き店舗を10のブースに仕切り、1ブース約2坪を月額3万円で貸しています。契約期間は、半年間で、契約更新で最長1年間の継続出店が可能です。サポート体制として、帳簿の付け方や商品陳列といった商売の基本を指導するセミナーを開催するなど、広小路ダイエー跡多方面から出店者の事業をバックアップし、出店期間中に実践的な経営ノウハウを身につけ、独立の足がかりとなるようきめ細かな支援体制が整っています。

 さらに、2001年12月15日には、今度は、広小路通りに空き店舗を活用したチャレンジショップ“PASAR TOYOHASHI(パサールとよはし)”が新たにオープンしました。今後、この二つの施設から、創業者が育ち、新たな商店街の活性化につながっていくことを期待しております。前回の視察レポートにおける瀬戸市の紹介では、学生たちが、商店街の空き店舗を活用して“学生の店”をオープンさせた話題を提供しましたが、今回の豊橋のチャレンジショップにおいても学生たちが参加しています。

 ここで、画像の紹介をします。上から2番目の画像は、昭和6年に建てられた豊橋市公会堂(半球ドームと四方に配置された羽ばたく大鷲がシンボル:中村與資平氏の設計)を写したものです。ちなみに後ろに見える建物は、豊橋市役所で、最上階のレストランは、展望も良く人気があります。誰でも利用できます。また、豊橋市公会堂は登録有形文化財に指定されていますが、現在もホールとして利用されています。建物を眺めていましたら、子供の頃、ここの大ホールでコント55号(欽ちゃん(萩本欽一氏)と二郎(坂上二郎氏)さんのコンビ)を見たことが思い出されました。

 上から3番目の画像は、ダイエー跡地前の広小路通りを写したものです。現在、ここの再開発も計画されています。上から4番目の画像は、ときわ通りを写したものです。この通りには、懐かしいスマートボール場があります。スマートボールとは、斜めに置いた盤上に釘などの障害物を植え、盤上にある穴にピンポンを入れて遊ぶゲームです。パチンコの前進のようなものですが、大きな玉が表からゆっくりとゴロゴロ転がってくる様は、なかなか趣きがあります。

 最後に、最新情報を3つお伝えします。消え去りつつある方言の豊かさを後世に伝えようと、豊橋市はこのほど「豊橋の方言集」を初めて発刊しました。東三河地方で使われてきた方言による会話や民話を市民から募って編集ときわ通りしたものです。豊橋地方の方言は、濃尾平野の名古屋弁、西三河地方の岡崎の言葉とともに、東三河に根付き、豊橋市、豊川市、田原町などがほぼ同じ言葉を使ってきたと言われています。

 方言集は、会話などを吹き込んだCDも付いており、耳でも楽しめるようになっています。作製した方言集は、会話、体験談、詩歌、民話の4つのジャンルに分けられています。方言の部分は、カタカナで表記されており、例えば会話編の「地震の話」の一部を紹介します。“「コナイダ、エライ地震があったノン」「フン。4月3日の夜中だったノン」「震度4だとか5チュー割には、アンマシカ被害がなくてよかったノン」「そーだて、昭和19年の東南海地震の時には、うちの壁にもエミがいってノン」”お分かりになるでしょうか。注によれば、「コナイダ」は「この間」、「エライ」は「ひどい」、「フン」は「はい」、「アンマシカ」は「余り」、「エミ」は「ひび」という意味です。「ノン」は、名古屋弁で言う「ナモ」のように末尾につく言葉です。方言集は、2,000部作られ、豊橋市役所の「じょうほうひろば」の他、2002年4月9日からは、市の文化施設や地区市民館でも1部600円で販売されます。

 次の最新情報として、2002年4月15日から豊橋青年会議所が、住民の街づくりへの取り組みを支援する地域通貨「ヒーロー」を試験的に運用(2002年9月15日まで)します。市民団体による清掃奉仕など、社会に貢献する活動に参加した住民に渡し、協力店でサービスを受けてもらう流れです。「ヒーロー」は、奉仕活動をする市民団体の申請を受けて豊橋青年会議所が団体に発行し、活動への参加者に渡っていきます。半日の活動で「ヒーロー」1枚が目安で、この地域通貨に賛同して協力する飲食店などで、コーヒー1杯程度のサービスが受けられます。現在、市内のスポーツクラブなど、約20の事業所が協力を約束しており、東三河地方で50前後の協力店を目指しています。

 最後の最新情報は、豊橋市が2006年度に市制100周年を迎えるにあたり、記念事業の基本計画を策定する市民会議の委員を募集するというものです。豊橋市は、記念事業を通して、行政と市民が連携してまちづくりを進めるモデルを確立したい考えです。市民会議は、記念事業全体のテーマや基本方針などを定め、個別の事業を選定します。委員会は、25人で構成され、うち8人を市内に在住、在勤、在学する人から公募し、残りの委員は、観光、福祉、産業など各界の代表や有識者、地域団体の関係者から市が任命する流れとなっています。市民と行政がアイデアや労力を出し合う関係を築くことを目指し、2005年夏から2006年秋まで行う一連の記念事業も民間の活力を積極的に生かしたい考えです。

 今回は、豊橋の中心市街地界隈を紹介しましたが、本当に気候の良い季節を迎えていますので、豊橋に行かれる機会のある方は、春の風に誘われてのんびりと街並みを散策されてはいかがでしょうか。また、豊橋在住、在勤、在学の方は、地域通貨、市制100周年などまちづくりへの取り組みに参画される良い機会と思います。

 私の住んでいる愛知県安城市でも、本年度、市制50周年を迎え、さまざまな取り組みが計画されていますが、50周年事業計画策定にあたっては、豊橋市同様に市民に参画してもらい計画づくりを行ってきた経緯があります。ちなみに、安城市の50周年の3つのメイン事業は、安城市民博覧会(2002年10月26日〜27日:健康・スポーツ・環境・交流をテーマにした博覧会)、DanSpoANJO(2002年8月3日〜4日:七夕まつりの中で行われる一大ダンスパフォーマンス)、「安城の絶品」誕生!(通年事業:2002年6月中旬頃から郷土の農産物等を素材にしたアイデア料理を公募し、安城の絶品をつくりあげます)です。第49回安城七夕まつり(2002年8月2日〜4日)や「花・みどり・暮らしの提案」をコンセプトにつくられた農業公園“デンパーク”などと連携を図って、さまざまな50周年イベントが展開されます。市外の方も大歓迎ですので、機会がありました足を運ばれたり、アイデア料理に公募されましたらと思います。

By Nagura

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