900年の歴史をもつ常滑焼き
のふるさと常滑を訪ねて 
(日本・愛知)

2007年1月20日

 900年の歴史をもつ常滑焼きのふるさと愛知県常滑市(人口52,778人、19,123世帯:2007年3月1日現在、面積55.63常滑散歩道・煙突平方キロメートル)を訪ねてきました。平安時代末期ころからの「古常滑」と呼ばれる焼き物の産地として知られ、瀬戸、信楽、越前、丹波、備前と並び、日本六古窯のひとつとされています。

 常滑は、中部国際空港・セントレアのあるところで、愛・地球博(愛知万博・日本国際博覧会)における海外からの玄関口ともなり、知名度が上がっているまちです。中部国際空港・セントレアが愛・地球博の年に併せて2005年2月に開港し、2年あまり経ちますが、古い町並みを残しつつも、空港ができたことにより利便性が向上し、都市の開発も進みつつあります。今は、開発と文化的な資産を継承していく狭間にあるとも言えます。地域住民にとって、文化的な資産というものは、必ずしも日々の日常生活には、便利とは言い難く、自分たちのまちをどのように残し、まちの良さを次の世代に伝えつつ、日々の生活との暮らしやすさのバランスをどうとっていくかが課題となっています。

 これから紹介していきますが、常滑は“古きよき日本”の原風景が残っているところです。今回の常滑のまち歩きは、常滑のまちへ熱い思いを持っているタウンキーピングの会の伊藤さんにご案内頂きました。タウンキーピングの会は、独特の景観と産業を有する常滑やきもの散歩道をベースに、歴史・ものづくりなど生活の視点からみたまちづくりに関する提案と事業を行っています。タウンキーピングの会は、街並み保存・再生・活用提案事業、まちづくりに関する情報発信事業、やきもの散歩道内の空き工場・空き店舗・空家活用支援事業など行っており、今回はそのなかの昔ながらの風情が残っているやきもの散歩道を中心にご案内頂きました。

 また、今回ご案内いただきましたタウンキーピングの会の伊藤さんは、常滑屋というお店を経営されています。常滑屋はいろいろな顔(場)をもってお常滑散歩道・小道り、のちほど詳しく紹介しますが、今回、常滑屋で地元の素朴な家庭料理(2,100円のランチ)を一緒に行ったメンバー12名とともに堪能してきました。それでは、まず「やきもの散歩道」を紹介していきます。名鉄常滑駅から5分ほど歩いたところにある陶磁器会館からスタートします。

 一番上の画像は、やきもの散歩道で、タウンキーピングの会の伊藤さんから煙突の説明を受けているところを写したものです。昔の最盛期には煙突がそこかしこにあったそうですが、今では煙突の数も少なくなり、写真に見えるような煙突の先を切った煙突の下部分のみを残しているところが多くなっているそうです。少し、数値的なものを述べますと、40年ほど前まで数百本の煙突から石炭の煙りを吐き出していたそうです。それが現在では、90本ほど残っているそうですが、一番上の画像のように途中で切られたものもあり、完全の姿のものは50本ほどだそうです。ちなみにやきもの散歩道は、AコースとBコースの2つがあり、今回はAコースをご案内頂きました。Aコースは約1.5キロメートルで約60分コースで、Bコースは約4キロメートルで約2時間30分コースとなっています。

 「やきもの散歩道」は1972年頃に自然発生的に生まれたものです。ですから、新たに作り上げたものではなく、焼き物のまちらしい雰囲気が残っています。上から2番目の画像は、やきもの散歩道にある路地を写したものです。画像からもご覧頂けますが、石垣の代わりに土管と焼酎瓶が埋められてお常滑散歩道・焼酎サーバーり、路面にも焼き物の赤いかけらが敷きつめめられています。この坂は、やきもの散歩道の中でも目玉の一つで、土管坂と呼ばれており、「日本名坂30カ所」の一つにも数えられています。

 また、この土管坂をのぼった辺りからは中部国際空港の管制塔を見ることができます。今回、載せている5枚の画像は、すべてやきもの散歩道内で写していますが、上から1番目、4番目、5番目では、木造家屋の壁がコールタールで黒々と塗ってあるのがご覧頂けます。この黒壁がまちの雰囲気を醸し出しており、これは、知多半島の潮風による腐食を防ぐための知恵だそうです。

 やきもの散歩道には、やきもの散歩道の心と風景を守るための「やきもの散歩道心得」というものが定められています。“心と風景を守る”何ともいい言葉であり、地元の方たちの自分たちのまちへの思いが伝わってきます。心得は5つから成っており、以下のような文言となっています。「常滑らしい歴史と文化の薫る風景を守り、伝えます」「ふれあいとぬくもりを大切に、訪れる人をあたたかく迎えます」「あいさつと気づかいで、散歩道をゆっくり楽しみます」「住む人、働く人、訪れる人が手をたずさえ、この町を支えます」「食、ひと、モノの常滑らしさにこだわり、町の魅力を育みます」

 やきもの散歩道の中ほどに、市指定文化財の「廻船問屋(かいせんどんや)瀧田家(たきたけ)」があります。もう一つの常滑の顔をちょっと寄り道し常滑散歩道・陶芸店て、覗いてきました。常滑はやきものの町であるとともに、江戸時代から明治前期にかけては廻船の町でもありました。今でこそ、埋め立てが進み、海まで距離がありますが、昔は、ここ廻船問屋瀧田家のあたりから海が広がっていました。常滑湊に近接する常滑・北条・多屋には多くの廻船主が住んでいたそうです。常滑の船は、伊勢湾周遊の地域(尾張・伊勢・美濃・三河)と上方、江戸方面を結んで、当時の人々の生活を支えていました。

 また、やきもの散歩道の中に名古屋芸術大学の常滑工房があります。上から5番目の画像は、工房の外観を写したものです。ここでは、大学の生涯学習センターの講座「常滑工房陶芸教室」を行っています。8週間にわたり開催され、日常に使う食器作りを中心に行っています。手ビネリ、タタラ板成形、電動ロクロ成形の技法で形を作る基本の方法で成形し、素焼した後、絵付け釉薬をかけ、電気窯で焼成します。初歩講座ですから、土と楽しむような感じで、名古屋芸術大学の先生が教えてくれます。ちなみに昨年(2006年)は、9月30日から11月25日までの毎週土曜日8回、定員15名、受講費用:14,000円(8,000円と材料費・焼成費6,000円)、受講対象者は特に制限はありません。

 上から3番目の画像は、工房の外にあった製作中のやきものを写したものです。何かわかるでしょうか。たいへんな人気商品です。画像で見られる状態に取っ手が付いて“焼酎サーバー”として完成となります。取っ手以外は、すべて陶器でできており、焼酎を入れて1週間で味がまろやらかに変わ常滑散歩道・大学工房るとのことです。この陶器の焼酎サーバーでうまい焼酎を味わってみてはいかがでしょうか。大きさや色合い、形などもいろいろあり、作家さんによって違います。上から4番目の画像は、自作の作品などを並べて即売する工房を写したものです。うんちくを伺いながら買い物をすることができます。

 冒頭で述べましたが、やきもの散歩道を散策した後、ご案内頂きました伊藤さんのお店「常滑屋」で食事をしました。常滑屋の案内パンフレットをみると「常滑を愛し、常滑にこだわり、常滑の魅力を伝える場所として」「常滑づくし、心づくし」などの謳い文句が踊っています。女将さんの伊藤さんを見ていましても、常滑の良いところを伝えたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。

 常滑屋にはいろいろな顔があり、今回、我々は昼食を堪能してきました。近海でとれる魚介類と旬の野菜をつかった地元の素朴な家庭料理を堪能してきました。食後にコーヒーも飲んできましたが、コーヒーにもこだわりがあり、京都のイノダコーヒーを出しています。その他、毎週金曜日に地酒の酒「白老」を呑み交わす地酒宴会処もあります。また、ギャラリースペースでは、作品の展示、パーティ・会合、コンサートなど自由な発想で使われています。交流の場であり、情報発信の場となっています。

 最後に、常滑を取り巻く旬な話題を紹介いたします。愛知県は2007年3月13日、中部国際空港の周辺に県が造成した企業用地「中部臨空都市」のうち空港島対岸の前島地区に、ショッピングセンター進出を表明していたイオンと基本協定を結び、進出事業者に正式決定したと発表しました。敷地面積は約16ヘクタールで、20年間の借地契約です。2007年3月13日時点では、イオン側は開業時期を明らかにしていませんが、県は「2008年度開業を期待している」としています。

 また、2007年3月、知多半島の見どころや食べ物などを満載した観光ガイドブック「ぶらりぐるり知多半島」が、知多半島の5市5町でつくる知多地区広域行政圏協議会から発行されました。行政の壁を越えて知多半島の魅力を発信しようと、協議会として初めて取り組みました。縦21.5センチ、幅10センチで38ページ、「祭」「食」「街並み」などの項目を立てて紹介しているのが特徴で、関心がある項目を開けば、半島全体が見渡せます。このうち、「巡」では、「知多四国霊場めぐり」の全コースと、正しいお遍路さんスタイルを図解で掲載しています。「モノづくり」ではコーラやケチャップ、鍛造などの産業観光施設の案内もあります。1万部つくり、各市町と中部国際空港に置き、無料です。

 古き良き日本が感じれる常滑のまちをみなさんも一度、足を運ばれてはいかがでしょうか。地元を愛する人たちに、まちをご案内いただきますと、さらに新たな発見もあることと思います。そして、地元の食を堪能されてきてはいかがでしょうか。

By Nagura

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