なにわの元気な商店街
天神橋筋商店街&粉浜商店街を訪ねて 
(日本・大阪)

2006年11月29日

 「なにわ商人」が奮闘している大阪の元気な2つの商店街(天神橋筋商店街&粉浜商店街)を訪ねてきました。天神橋筋商店街は、天神橋寄席6年半ほど前にも視察レポート「天神橋筋商店街〜HEP FIVE」で紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。今回、愛知県の職員の方、商工会、商工会議所の経営指導員の方々と共に行きまして、天神橋筋商店街では、土居年樹連合会会長、そして、粉浜商店街では、富永高文副理事長にお話を伺ってきました。

 まず、天神橋筋商店街から見ていきます。土居年樹さんは、日本の観光カリスマ100選にも認定されておりご存知の方も多いことと思います。天神橋筋商店街は、平安時代ごろから大阪天満宮の門前町として生まれたと言われています。前回のレポートでも紹介しており、参照頂きたいと思いますが、天神橋筋商店街は、これでもかこれでもかというほど、アイデア溢れる取り組みを行っています。日本の観光カリスマ100選に選ばれた土居さんは、いわゆる街のプロデューサー的な存在で、土居さんの街商人(まちあきんど)としての信条は、「人に惚れ、店に惚れ、街に惚れる」というものです。

 前回のレポートで商店街のソフト事業を紹介しておりますので、今回のレポートでは、熱く語って頂きました土居さんの語録と土居さんが先頭に立って、地域住民、地域企業と協力して実現した手作りとも言える寄席を中心に紹介いたします。これまで天神橋筋商店街が歩んでいた経緯の語録として、「30年間この仕事をやってきました。(土居さんは1937年生まれの69歳です)ひどかった時は暗い商店街で中心街に人は住まない、郊外へ出ていく、人口は減っていく状態でした」「商店街の中央にあった堀川をつぶして、高速道路の柱を立ててしまった。これは景観をダメにして、文化をつぶしてしまった。文化は残さなあかん」「ここは1100年前の天満宮の歴史を脈々とつないできています。天満へ行ってきたら、大阪に行ってきたと言われたほどの伝統文化の華やかな歴史があります」とおっしゃっています。

 全国的に中心市街地の衰退が叫ばれていますが、ここ天神橋筋商店街は、全国でも元気のある商店街として日々努力しており、マンションが立つなど中心街への居天神橋商店街住も進んでいます。堀川をつぶして景観をダメにしてしまったという点は、東京の日本橋に通じる部分もあり、高度成長時代の産物であり、東京の日本橋では景観の復活の動きが見られますが、ここ大阪でも今後の動きに注目したいものです。

 次に商人(あきんど)としての熱い土居さん語録を紹介します。「“商店街は文化遺産”ということに商人が目覚めないといけない。商(あきな)い文化を残していかないと日本の社会はおかしくなってしまう」「通り一遍等のコンサルの発言に憤りを感じました。やはり自分たちの信念こだわりをもってやらないといけない」「そこに住むことが文化である。住むことがまちを良くして、発展していくと思います」「商人がまちを考えて、人も考えて、そういう存在感がないと生き残れない」「多くの商店街が、商店街自身が消費者を味方にすることができていない」とおっしゃっています。

 商人(あきんど)の意気込みが伝わってくるのではないでしょうか。“商(あきな)い文化を残していかないと日本の社会はおかしくなってしまう”まさに同感いたします。商人(あきんど)が自分のまちのことを考え愛してこそ、そこから周りの応援団も出てきて良くなっていくのだろうと思います。天神橋筋商店街におけるその一つの動きが、2006年9月に60年ぶりに上方落語の定席寄席として誕生しました「天満天神繁昌亭」です。一番上の画像は、天満天神繁昌亭の外観を写したものです。天満宮のすぐ横にあります。というのも、寄席の復活にはお宮(天満宮)を巻き込む形で、お宮から土地を提供してもらう形で実現しています。

 お笑いの本場といわれる大阪で、戦後は、漫才ブームの人気に押されるなどして落語がいつでも聴ける定席が絶えていただけに天神橋商店街天神橋界隈は賑わいを見せています。時代背景に落語の人気が戻ってきている時だけに、オープンして3カ月が経った現在も“天満天神繁昌亭”の名前の通り繁昌しているようです。大阪天満宮が土地を提供したのも驚きですが、さらに驚くのが建設費の1億8,000万円を寄付で集めたことです。土居さんが中心になって、市民や地元企業の寄付を集めて復活した寄席で、まさに手づくりと言えます。土居さんの心意気というか、大阪人の心意気を感じました。

 上から2番目と3番目の画像は、日本一長い商店街と呼ばれている天神橋筋商店街を写したものです。ちなみに、約2.6キロメートルの天神橋筋商店街を完歩しますと、「満歩状」という賞状が頂けます。あと特記事項として、2006年3月に天神橋筋商店街自らが商店街の本をつくりました。本のタイトルは「商店街の本 天神橋筋に活きる街あきんど」で東方出版から945円で販売されています。是非、みなさんも一読されてはいかがでしょうか。街商人(まちあきんど)とは、街に住んで街とともに生きるという意味で、土居さんが提唱したものです。

 次に、関西一の参拝を誇る1800年近い歴史のある神社「住吉大社」のお膝元にある粉浜商店街を見ていきます。上から4番目の画像は、住吉大社を写したものです。画像上の手前に線路が見えると思いますが、懐かしいチンチン電車(路面電車)も走っています。昔は馬車鉄道だったそうです。粉浜商店街は、昔ながらのアーケードのある古き良き時代を思わせる人と人の距離の近い人情味あふれる商店街です。粉浜商店街は3つの商店街が合体してできた全長350メートルの大正8年誕生の歴史ある商店街です。

 今回、お話を伺いました粉浜商店街の富永高文副理事長の持論は「イベントなどでいくら集客したところで、店舗に魅力がなければ商店街は活性化しない」住吉大社というものです。まさに同感です。当方自身も、個店の活性化と商店街としての組織の活性化を車の両輪にたとえ、同時に行っていかなければ、どっちつかずで活性化につながらないと思っております。

 富永さんは、大阪府商店街振興組合連合会の青年部長もやっており、先ほどの持論を2年前から始めた「大阪あきんど繁盛塾」で実践しています。大阪あきんど繁盛塾は、意欲のある若手商店主を支援することで、個店の魅力を高めて商店街の活性化を狙うことが目的です。富永さんは推進していくにあたって「重要なのは店を保護するのではなく、お客様に必要とされるよう努力することだ」とおしゃっています。

 富永さんから大阪あきんど繁盛塾について熱く語って頂きまして、少し印象に残った語録を併せて紹介します。「あきんど繁盛塾では、1年間かけてお店の指導に入り、コンサルタントから新商品の開発、ファサードの見直しなどを行って、ぼちぼち店からモテる店に変えることを目指しています」「個店というのは男性がいくと、親父さんが出てきて、ああでもないこうでもないという話になってしまう。しかし、女性が行くとスムーズにいく。あきんど繁盛塾では、2名の女性のコンサルタントにお願いしています」「やる気のない人をいくら引っ張ろうと思っても無理です。そうではなく、何とかしたいと思っている人をあきんど繁盛塾で勉強してもらい、その人たちを束ねていくことが商店街としての活性化につながっていくと思っています。組合員全員を引き上げるのは無理です」

 上から5番目の画像は、粉浜商店街のアーケードを写したものです。通るお客さんが肩を触れあうようなイメージが伝わるのではないで粉浜商店街しょうか。平日の午後2時頃で夕食の準備にはまだ早く、それほど込み合ってはいませんでしたが、お店の人が店頭に出て、声をかけているのが何ともいい光景でした。粉浜商店街界隈は、戦火で燃えてなく、道は狭いですが、ごちゃごちゃした居心地の良さが残っています。

 大阪ならではのテンポの速い「ボケとツッコミ」のキャッチボールが聞こえてくるのが心地良いです。商人(あきんど)の町の伝統が「笑い」を生んだとも言われています。大阪のおばちゃんの元気が伝わってくる商店街です。ご存知の方も多いと思いますが、興味深いデータとして、振り込め詐欺の被害が飛び抜けて大阪は低いです。各都道府県の警察がまとめた振り込め詐欺の認知件数や被害額(2005年)は、東京都が断然トップで約2900件、総額で52億円、愛知県も約1100件、13億円に達していますが、大阪府は約400件、4億円と飛び抜けて少ないです。

 大阪の振り込め詐欺が少ない要因として「知らない人から電話がかかってきても、大阪人はふだんから機転の利いた会話に慣れているからうろたえることなく、疑問には突っ込んで切り返す」「分からんことがあったら、何で?と聞くのが大阪人」「地元のおおばちゃん連中が気いつけやって言うてくれる」などがよく言われています。

 今回、紹介しました天神橋筋商店街と粉浜商店街は、経済産業省のがんばる商店街77選(平成18年5月)に選ばれています。これは、全国各地の商店街からがんばっている商店街を選んだものです。今回紹介しました両商店街に通じるのは、お話を伺いました商店主が自分たちのまちに愛着をもって、自分たちで真剣に取り組んでいることです。それも、明るさがあり、大阪ならではのおもろい会話を通しての商店主とお客さんとの濃いつながりはじめ、元気な源というか笑いの底力というか機転の利いた行動に感服しました。

 皆さんも機会がありましたら、元気のでる天神橋筋商店街と粉浜商店街に出かけてみられてはいかがでしょうか。補足ですが、帰りがけに道頓堀にも寄り、商店街は商店街でも、フードテーマパークの道頓堀極楽商店街も見てきました。ビルのなかに、昭和を感じさせる懐かしい商店街が展開されており、こちらもけっこう楽しめました。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ