学生たちが商店街で活躍する
高崎市中心市街地を訪ねて 
(日本・群馬)

2003年3月14日

 群馬県高崎市(人口約24万5千人、面積110.72平方キロメートル:特例市)を訪ねて参りました。高崎は、東京から新幹線で1時間ほどで行くことができます。たかさき活性剤本舗高崎駅には、新幹線のホームから降りたところに大きなだるま(達磨)があり、迎えてくれます。それも、丸い目玉を入れただるまではなく、波形(半円の線)の目を入れた笑顔のだるまが迎えてくれます。

 高崎は、全国シェア80%を占めるだるまの産地です。高崎の名産品「福だるま」は、江戸時代から200年余りの歴史があります。高崎市の西側の丘陵にある小林山達磨寺が福だるまの発祥の地といわれています。江戸時代の天明の大飢饉のあと苦しい生活をしていた近隣の農民たちの副業にと当時の住職“東嶽和尚”がだるまの作り方を伝授し、毎年1月7日の七草大祭に売り出したのが始まりとされています。また、高崎の風土がだるま作りに適しており、上州名物“からっ風”とおだやかな陽ざしの中で長時間乾燥されただるまは、鮮やかな色とつやをはなちます。いろいろだるまを見てきましたが、たしかに鮮やかな“つや”のある赤いだるまが目につきました。

 帰り際にせっかく高崎まで来ましたので、私も福が来るようにと、小さい“福だるま”を一つ買ってきました。もう少しだるまネタを紹介しますと、福だるまは、昔から商売繁盛、社運隆盛、家内安全、交通安全など幸せな日々を願い、暖かく見守るだるまです。その他、先月、統一地方選挙が終わりましたが、選挙風景に欠かせないのが“必勝だるま”です。“勝利は気迫から”と思いあふれるのが必勝だるまで、さらに必勝だるまに加えて、はちまきだるまも必勝の願いを強く感じさせるものです。だるまの基本的な目の入れ方は、右利きの人は向かって右目に墨を入れ、願いがかなったら反対の目を入れます。また、本当かウソかわかりませんが、逆の目に墨を入れると人生が大きく変わるという説もあるそうです。

 高崎市の中心市街地では、高崎経済大学の学生たちがまちづくりで活高崎駅界隈躍しています。高崎経済大学・地域政策学部の横島庄治教授のゼミの学生たちを中心に、学生の視点から中心市街地の活性化に対して調査、研究、提言を行う組織として「たかさき活性剤本舗」を1999年6月1日に立ち上げました。今年度(2003年度)で誕生して5年目を迎え、これまで先輩から後輩へと高崎市のまちづくりが受け継がれてきています。2年目から“たかさき活性剤本舗Part2”となり、今年度は5年目を迎え、“たかさき活性剤本舗Part5”となります。一番上の画像が、たかさき活性剤本舗の事務所を写したものです。中心市街地商店街のなかにあり、高崎駅から歩いて10分程です。ちなみに、高崎経済大学は、高崎市の郊外にあります。

 「たかさき活性剤本舗」という名前には、中心市街地の衰退を都市の病ととらえ、病気を治す“活性剤”になれるようにという願いが込められています。私が訪ねた2003年3月は、年度の変わり目であり、学生たちが春休みで帰省や就職活動などで、残念ながら休みであり、直接学生たちと話すことはできませんでした。しかし、行く前にたかさき活性剤本舗の学生さんとメールでやり取りさせて頂き、資料など送付頂くなど親切に対応して頂きました。

 これまで、4年間の「たかさき活性剤本舗」の活動実績のテーマを挙げてみますと、初年度が“高崎市の中心市街地活性化基本計画策定(平成12年3月策定)に向けてのアンケートやヒアリング調査、高崎まつり参加”、2年目が“歩くまちをテーマに、高崎見聞録、学生討論会「まちと学生」、市街地活性化市民フォーラムなどを開催”、3年目が“住民と一緒に楽しむまちづくりをテーマに商高崎城掘り店街の中で、闇市参加、中山道街道絵巻作製、たかさき活性剤本舗の事務所内でギャラリーを展開、フォーラム「活性化大作戦in高崎」を開催”そして、昨年度の4年目が“本舗からTMO〜たかさき・みんなで・おもてなし〜をテーマに、中心商店街ショッピングマップ作成、裏町マップ作成、憩い・もてなし空間の創出でIKO・IKO(いこいこ)広場の開催”などです。ここに挙げた以外にもさまざまな活動をしています。

 彼らの活動において素晴らしいことは、学生たちは卒業していき年々変わっていくなかで、継続的に行っており、中心市街地の商業者はじめ、市民、行政、他大学などと連携して、地域とのつながりを深めてきている点です。なおかつ、過去の実績と経験を活かしながら、さらなるアイデアを出して事業展開を毎年しています。そして、一番大切なのは、彼らが中心市街地の活性化を楽しみながら行っている点です。今年度で5年目を迎え、他の地域や他大学とのネットワークも生まれてきています。中山道街道絵巻作成では、高崎芸術短期大学と協働し、前橋工科大学の建築学科とは建築物や交通政策などで連携したまちづくりを行っています。また、北海道千歳市や長野県中野市はじめ他の地域からの視察も数多く、イベントでも、日本商工会議所での活動講演や大垣市での「まちづくりカレッジin大垣」などに参加しています。ちなみに、大垣市の岐阜経済大学の学生たちの中心市街地での取り組みは以前に視察レポートで紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 ここで、今回の画像を紹介します。上から2番目の画像は、高崎駅前にあるビブ高崎市商店街レの前を写したものです。隣には、高島屋もあり、人通りの多い賑わいのある場所です。上から3番目の画像は、高崎城跡の水掘部分を写したものです。高崎城跡には、現在、市役所や音楽ホールなどの公共施設が立ち並び、残っているのは三の丸の土塁、移築された乾櫓と上記の画像の水掘などです。高崎城は、関東と上信越を結ぶ交通の要衝として、徳川四天王の一人である伊井直政によって1598年(慶長3年)に築かれた城です。高崎城を築いた1598年に地名も和田から現在の高崎となりました。1600年の関ヶ原の合戦の時には、小山から関ヶ原に向かう徳川秀忠率いる大軍が高崎城に3日間滞在したそうです。上から4番目の画像は、高崎駅から少し離れますが中心市街地のなかにあるアーケードのある商店街を写したものです。

 高崎市の中心市街地商店街において、「たかさき活性剤本舗」は、商店街および地域にしっかりと溶け込んだ取り組みを行っています。昨年度のたかさき活性剤本舗Part4の数々の取り組みのなかで、私がいいなあと思ったのが、“IKOIKO(いこいこ)広場設置”事業です。“IKOIKO(いこいこ)広場設置”事業は、高崎の中心市街地において買い物や散歩途中で気軽に足を止めて休憩できるスペースがないことから作ってみようと始まったものです。私が感心したのは、ただ休憩スペースをつくるのではなく、“おもてなし”の心で接する場として、学生の彼らが市民のなかに飛び込んでコミュニケーションをとったことです。第一弾として、高崎まつりの時に、駐車場の一角で行ったそうですが、好評だったようです。常設で設けるのは、難しいですが、さまざまなイベント時には今後も是非続けていって欲しいと思います。

 この“IKOIKO(いこいこ)広場設置”事業のきっかけとなったのが、彼らが東京の巣鴨地蔵通り商店街に視察に行って、巣鴨での取り組みを自分たちの目で見てきたことだったようです。実際に、巣鴨地蔵通り商店街における気軽に足を止められるベンチ、お茶だしサービス、個店のトイレの開放など“おもてなし”の心を学んできたことが今回の事業につながったようです。上記に「たかさき活性剤本舗」のこれまで4年間の取り組み実績を簡単に示していますが、年を重ねるごとに、本物のまちづくりというか本来あるべき姿のまちづくりに彼らの活動が近づいてきているように感じます。たいへん頼もしい限りです。

 今年度、たかさき活性剤本舗Part5が立ち上がりますが、昨年度のPart4メンバーが、今後の課題として挙げたのが「地域住民が危機感と問題意識を持ち各々の役割を発揮」「地域(住民・商店街)・行政との連携と協働をさらに密に」の2点です。学生たちの面々は変わっていきますが、これまで4年間の先輩が築いた実績と先輩たちの声に応えて、今年度の学生たちもがんばって頂きたいと思っております。商店街という学びの場を生かして、自分自身を成長させ、大きく社会に羽ばたいていって欲しいと思っております。

 今回、高崎市を訪ねるにあたりまして、3月はお休みにも関わらず、たかさき活性剤本舗Part4のスタッフの小暮さんにメールで対応頂くとともに、たかさき活性剤本舗Part4店長の造士さんから活動のさまざまな資料をお送り頂きました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

 学生はじめ大学と自治体や商店街との連携は、ざまざまなところで進んでいます。視察レポートとしては、まだまだ少ないですが、検索項目「学生・大学における連携の取り組み事例(商店街・行政などとの連携)」を設けています。クリックして頂きご覧頂けましたら幸いです。学生・大学とまちづくりという観点では、これからも数多く紹介していきたいと思っております。

By Nagura

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