福祉の先進地として名高い高浜市を訪ねて (日本・愛知)

視察日:2001年7月10日

 福祉の先進地として名高い愛知県高浜市(人口約3.9万人:高齢化率約15%)を訪ねて参りました。今年の8月、高浜市長選挙がありものづくり工房あかおにどん、無投票で森貞延氏が再選を果たしました。3期12年間にわたり市政を担ってきて、4期目に入っています。高浜市の介護保険制度は「高福祉、高負担」と言われています(東海3県で最も高い)が、同保険制度のすべてのサービスを、市内で受けることができるほか、デイサービスを毎日受けられます。森市長は、4期目の就任あいさつで“高齢化対策や子育て支援など地域や市民ニーズを重視した独自性のあるオンリーワンのまちづくりを目指す”とさらなる意気込みをみせています。

 高浜市は、愛知県の三河平野の南西部に位置しており、東は安城市、西は衣浦港をへだてて半田市、南は碧南市、北は刈谷市に接しています。衣浦大橋によって、知多半島と結ばれています。高浜市は、三河に位置していますが、知多半島ともつながりの強いまちと言えます。

 高浜市は、市のなかでは、愛知県内で人口、面積とも最も小さいまちです。高浜と言えば、三州瓦と言われるほど瓦をはじめとする窯業が有名です。市内には、「かわら」をメインテーマとした日本唯一の“かわら美術館”もあります。館内には、瓦(かわら)を美術として楽しむ仕掛けがちりばめられいます。瓦の歴史を学び、瓦文化の奥深さに触れ、やきものづくりを体験し、さらに美術館内にフランス家庭料理のレストランもあり食事も楽しめます。

 また、高浜市では、ウォーキング・トレイル事業が進められいます。このウォーキング・トレイルとは、聞き慣れない言葉ですが、歴史や自然を感じながら歩いて楽しい道を作っていこうというものです。“海のみち”“川のみち”“鬼のみものづくり工房あかおにどんち”の3つのみちを整備するもので、現在、高浜の伝統産業である飾り瓦を楽しむ“鬼のみち”の整備が進められています。“鬼のみち”は、名鉄三河線「高浜港駅」から「三河高浜駅」までの4.5キロメートルの散策コースです。出発点である高浜港駅には、巨大な鬼がわらがあります。

 高浜市の概要はこのくらいにしまして、まず、高浜市の最新情報を紹介します。2001年10月6日(土)に、今回紹介します宅老所・ものづくり工房「あかおにどん」に次ぐ、介護予防拠点施設としてIT工房「くりっく」(高浜市青木町3丁目)がオープンします。IT工房では、ボランティアスタッフが、利用者個々の目的やニーズに応じ、パソコンなどに関するアドバイスや指導を行います。
 また、初心者の方でも気軽に参加できるパソコンに関する企画も準備しており、パソコンに触れてみたいと思っている方やパソコンを覚えたいと思っている方にとっては、気軽に参加できる施設となると思います。市内にお住まいのおおむね60歳以上の方を対象にしており、利用日は水曜日、土曜日、日曜日の週3回で、午前10時から午後4時までとなっています。来年(平成14年)3月までは、利用料が無料となっていますので、お近くの方は、訪ねてみられてはいかがでしょうか。

 一番上の画像は、ものづくり工房「あかおにどん」(高浜市青木町9丁目)における作業の様子を写したものです。会社をリタイアした高齢者の方々が、ものづくりに熱中している姿がご覧いただけるのではないでしょうか。ものづくり工房は、昨年(2000)年)10月に仮オープンし、今春(2001年4月)に本格的にオープンしました。ものづ高浜いきいき広場くり工房は、公私協力方式で運営されており、地域のものづくり拠点として高浜市が設置して、市の委託を受ける形で日本福祉大学が市民ボランティアの協力を得ながら運営しています。
 高浜市には、大手メーカー(トヨタ系の企業も多い)に勤める技術者も多く、製造業の現場で長年仕事をしてきた人など「手に職のある」高齢者が多くいます。ものづくり工房は、そうした彼らの力を生かす機会をつくり出し、外に出ていつまでも元気でいてもらいたいという狙いもあります。

 ものづくり工房の目指す事業は、「福祉用具を含めたユニバーサルデザインの提案」「手づくりの良さを活かした暮らしの用品の提案」「ものづくりの推進・普及(手づくり体験・イベントなど)」などです。上から2番目の画像が、ものづくり工房で作られた商品です。実際に販売されています。私もサラリーマン時代は、ものづくりの現場にいましたので、ものづくり工房でものづくりに取り組んでいる高齢者の方々が生き生きとしている姿は、懐かしく感じるとともに目に焼きつきました。
 ものづくり工房は、将来的には高齢者自身による自主運営も目指しています。ものづくり工房は、今春に立ち上がったばかりですが、地域の人たちの眠った技術を発掘しながら新産業創造につながっていくことを期待しております。

 上から3番目の画像は、三河高浜駅に隣接している「高浜市いきいき広場」内にある介護・福祉機器のショールームを写したものです。高浜市いきいき広場は、地域の活性化と市民のQOL(Quality of Life:生活の質、人生の質)の向上を目指して設置されたものです。福祉、健康づくり、生涯学習といった時代が求める分野においてサービスを提供し、新たなまちづくりに向けた事業が展開されています。この施設も先ほどのものづくり工房同様に、公私協力方式で運営されており、高浜市が設置して、市の委託を受ける形で日本福祉大学が運営しています。施設内には、画像の福祉機器のショールームはじめ、フィットネス(マシンスタジオ、エアロビクススタジオ)、ホール、市の出先機関、日本福祉大学高浜専門学校(介護福祉学科、作業療法学科、社会福祉学科)などが入っています。

 福祉の先進地の高浜市が、国家資格の「社会福祉士」を数多く輩出している日本福祉大学とパートナーシップをとって取り組んでいるまちづくりは、これからの時代を示唆しているような感じを受けました。大学もこれから淘汰の時代を迎え、厳しい中、地域密着で生き残りをかけようとしています。また、同様に、自治体も財政的に厳しい時代を迎え、大学を含め地域住民の力を必要としています。まさに、自治体と大学を中心として、地域住民のボランティアをも巻き込んだ取り組みは、今後、さらに深まっていくとともに、他の地域においても広がっていくことと思います。地域から見ますと大学という世界は、敷居が高いように思われがちですが、大学が持っている“知”を地域が大学とパートナーシップを結んで活用する時代を迎えています。

 今回、高浜市を訪ねるにあたりまして、ものづくり工房では青野さん、高浜いきいき広場では杉本さんにご説明いただくとともに、ご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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