多度大社の流鏑馬(やぶさめ)祭りを訪ねて(日本・三重)

視察日:2009年11月23日

 三重県桑名市人口142,090人、53,836世帯:2010年2月末日現在、面積136.61平方キロメートル)の多度大社で行流鏑馬祭りわれた流鏑馬(やぶさめ)祭りを訪ねてきました。全国各地に流鏑馬はありますが、多度大社の流鏑馬祭りは、毎年11月23日の勤労感謝の日に行われている神事です。

 多度大社の流鏑馬祭りは、昔から行われている新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい:神にその年に収穫した新穀を供えて神恩に感謝する祭り)に併せ、五穀豊穣を感謝する意味で平成3年より小笠原一門の奉仕により桑名市の祭りとして行っており、毎年多くの参拝者が訪れています。行った日も馬の走る馬場の周りには、多くの人が訪れていました。また、露店も多く出ていました。(新聞発表では、約2万2千人が勇敢な時代絵を見守ったとありました。)

 流鏑馬とは、疾走する馬上から的に鏑矢(かぶらや)を射る日本の伝統的な騎射の技術・稽古・儀式のことを言います。馬を馳せながら矢を射ることから「矢馳せ馬(やばせうま)」と呼ばれ、時代が下るにつれて「やぶさめ」と呼ばれるようになったと言われています。本来、流鏑馬は天下泰平、国家安隠の祈りを込めて行われてきました。時代とともに、疫病が流行ると行ったり、農業の豊凶を占ったり、祈願したりと様々な形に変化してきたようです。その所作についても小笠原流や武田流といったように現在でも昔ながらに伝えているものからかなり形が変わったものまであるようです。

 一番上の画像は、流鏑馬祭りのちょうど、走っている馬の上から的に向けて矢を射ろうとしているところを写したものです。一番上の画像上に多度大社見える馬が走る馬場は、多度大社からまっすぐ伸びる道路の横の一直線上にあります。馬場には3つの的が設けられており、一人の騎手が3つの的に向けて矢を射っていきます。馬場は約300メートルで70メートル間隔で約50センチメートル四方の3つの的があります。実際に射られ当たった的は縁起物として1,000円で頒布されています。この当的は一発必中というところから、受験生が多く受けられる姿が見られます。

 上から2番目の画像は、多度大社の入り口で流鏑馬を待っている馬に乗った騎手を写したものです。鎌倉武士の狩り装束などに身を包んだ女性騎手の姿をご覧いただけると思います。当日、流鏑馬を行った騎手は27名でそのうち2名が女性でした。当日は天候にも恵まれ絶好の行楽日和で、3枚の的をすべて射ぬくと大きな拍手と大歓声があがり盛り上がりました。馬が走り抜けていくすぐ横で見ていただけに、迫力満点でした。

 あと、多度大社で有名なのが毎年5月4日と5日の両日に行われている多度祭の中の「上げ馬神事」です。700年以上前の江戸時代から現在へと受け継がれてきた大祭で、人馬一体となり、急な絶壁を一気に駆け登る勇壮華麗な神事です。100メートル余りの馬場を助走し、境内に造られた高さ約2メートル余りの急な絶壁を駆け登ります。騎手の衣装は4日は陣笠裃姿で、5日は花笠武者姿にて乗馬します。4日に12頭の上げ馬が行われ、5日に6頭の上げ馬が行われます。

 多度祭の上げ馬神事には古くから農作の時期や豊凶が占われてきましたが、近年は景気の好不況など様々なことが占われています多度峡の紅葉。また、勇壮な神事・祭馬にあやかり、商売繁盛、社運隆盛、学力向上等を願う人も多いようです。上げ馬神事は、人馬一体となり躍動的な神事である反面、危険が伴うことから、祭の奉仕者は、神様の御加護が得られるように、昔ながらの精進潔斎が行われ、怪我のないように努めています。

 また今回、昼食は、多度大社の門前町にある「鯉料理 大黒屋」さんの鯉料理を堪能してきました。上から4番目が画像が大黒屋さんの外観を写したものです。趣きのある外観から歴史を感じとることができると思います。中に入っても純和風の佇まいで、食事をした部屋からは見事な庭園をみることもできました。そして、その庭園には、色とりどりの鯉が優雅に泳いでいる姿を見ることができます。

 今回食事した大黒屋さんの歴史は古く、今から280年ほど前の江戸中期にまでさかのぼるそうです。創業当時は鯉料理専門店でなく、多度大社への参拝客や旅人を相手にした茶屋・旅籠として栄えていたそうです。そして、現在のように鯉料理を出すようになったのが約180年前だそうです。約180年前に当時の女将が木曽三川にある船着場に水揚げされた豊富な川魚に目を付け、調理するようになったのが大黒屋の鯉料理の起源と言われています。昭和30年頃までは木曽三川で穫れる天然の鯉を利用していましたが、次第に適するものの入手が困難になり、現在は県外から仕入れているそうです。

 大黒屋さんの鯉料理は、これが鯉というほど、ぜんぜん泥臭くなく洗練された味と触感でした。鯉と言われなければ、わからないような感じ鯉料理の大黒屋で、鯉料理のイメージが変わりました。定番の鯉の洗いから鯉の塩焼き、鯉の皮の酢もの、鯉の唐揚げ、鯉の煮付けなど鯉三昧の料理を堪能しました。このうまさには、多度の水が関係しているとのことです。味の秘訣は、仕入れた鯉を多度の伏流水と湧き水で満たされた池に2カ月間、餌を与えずに泳がせるそうです。そうすると、きれいな水のおかげで、臭みがなくなり、身も引き締まって、赤っぽかった身がきれいな白色になるそうです。食事したところから見えた庭園の池の水が美味しい鯉をつくっていると言えます。鯉料理は水が命で、きれいな水が豊富に使えるところじゃないと、うまい鯉料理はできなく、鯉と水は切っても切れない関係のようです。また、鯉は鮮度が落ちるのが早く、その場、その場で出していくそうで、新鮮さも美味を醸し出しています。

 また、今回、流鏑馬祭りを見て、鯉料理を堪能するとともに、多度峡を散策し、多度山にも登ってきました。多度山は多度大社があることで広く知られており、大社創建以前は山全体を神体としていました。山中には正式な磐座(いわくら)が鎮座していたという記録が残っているそうです。磐座とは、日本に古くからある自然崇拝である古神道のなかの一つの信仰で、巨岩に対する基礎信仰の一種です。

 上から3番目の画像は、多度峡を写したものです。紅葉が始まりつつある時で、緑の中に少しずつ色づき始めた様子が画像上からもご覧いただけると思います。画像から少し上流に行った中腹には、夏になると川をせき止めてつくる天然プール(長さ36メートル、幅15メートル、最も深いところで80センチ)がお目見えします。夏になると、テレビの中継などでよく用いられご覧多度山からの眺めになった方もあると思います。また、天然プールの近くには、落下25メートルのみそぎ滝があり、なかなかの渓谷美です。

 上から5番目の画像は、多度山の山頂の多度山上公園から木曽三川、濃尾平野を写したものです。少しガスってはいましたが、遠くに名古屋駅のJRセントラルタワーズトヨタのミッドランドスクエアあたりが見えました。また、はるかかなたに御嶽山さんも望むことができます。多度山は標高403.3メートルの山ですが、なかなかの絶景です。河川はわかりにくいかも知れませんが、画像から濃尾平野がだだっ広く広がっている様子がご覧いただけると思います。

 多度山にはお勧めのハイキングコースが8つあり、今回、我々は多度山東・眺望満喫コースを登ってきました。距離にして約4.5キロメートルで、所要時間が約65分で、心地よいハイキングコースです。眺望満喫コースは、それほど急でもなく、ゆっくりと登っていくことができ、お子さんから年配の方まで幅広く登ることができます。また、脚自慢の方は、最短コースで結ぶ「山上公園近道・健脚コース」があり、頂上まで約25分(距離約1,680メートル)で行くことができます。

 皆さんも一度、春もしくは秋の多度大社のお祭りとともに、鯉料理を堪能して、その後、程よい運動として、少し足を延ばして多度山をハイキングされてはいかがでしょうか。

By Nagura

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