縁日で賑わう巣鴨地蔵通り商店街を訪ねて (日本・東京)

視察日:2001年12月4日

 東京都豊島区にある巣鴨地蔵通り商店街を訪ねて参りました。巣鴨地蔵通り商店街は、JR山手線巣鴨駅から5分ほど歩いたところに巣鴨地蔵通り商店街あります。ここは、とげぬき地蔵で有名な高岩寺などの門前町として発展してきた商店街で、昔懐かしい江戸情緒あふれる庶民的な雰囲気が今も残っています。ちょうど行った時は、とげぬき地蔵尊の縁日でたいへんな賑わいをみせていました。その賑わいの様子は、画像から十分伺えるのではないかと思います。個々の画像の紹介は後ほどいたします。縁日は、毎月4のつく4日、14日、24日に行われています。

 巣鴨地蔵通り商店街は、1980年代半ばに、マスコミで「おばあちゃんの原宿」と言われ全国的に知名度が上がりました。時代が進み高齢化が急速に進んでいる今日では、元祖シルバーマーケティングのお手本として、様々な業界から注目されています。今後さらに増えていくお年寄りが、どんな商品、どんなサービス、どんな店づくり、どんなまちづくりを望んでいるのかなど、巣鴨地蔵通り商店街にはそのヒントが満ちあふれていると言えます。約1300兆円と言われる個人金融資産の過半数は、高齢者が占めているという状況を考えますと、各業界が注目することも伺えます。

 画像の紹介をしますと、一番上の画像は、巣鴨駅側からの巣鴨地蔵通り商店街の入口部分を写したものです。上から2番目と4番目の画像は、とげぬき地蔵として親しまれている高岩寺を写したものです。上から3番目の画像は、賑わう巣鴨地蔵通り商店街の通りを写したものです。視察した日は縁日だけあり、200軒近くの露店商が地元店の店先まで商店を並べており、歩くのもたいへんなほどの賑わいでした。画像上から高齢者の方の多さが伺えるのではないかと思いますが、通りを歩いていて元気なお年寄り、派手な服装のとげぬき地蔵お年寄りが目につきました。また、若い女性のグループやカップルなども見られました。あと、仕事と思われる方は、ネクタイ姿の視察らしき人やフリーのカメラマン風らしき人も見られました。

 巣鴨地蔵通り商店街の概要を少し紹介しますと、総延長780メートルの間に参詣の土産物や地元市民の生活必需品など約200の店舗が軒をならべています。そして、とげぬき地蔵で有名な高岩寺は、その商店街の間にあります。お詣りの行き帰りにぶらっとするのにまさに適しています。

 巣鴨地蔵通り商店街を歩いていてまず気がつくのが、道路と店舗の入口の段差がないことです。ほとんどの店舗でスロープなど段差をなくす配慮が見られました。ちょっとした段差でも、お年寄りの場合つまづいて怪我をすることがありますので、お年寄りにやさしくいわゆるバリアフリーが施されていると言えます。その他、商店街内を見回して、横文字のアルファベットの記載が少なく、漢字や仮名表示が目立つ点、値札やPOP(店頭広告)の文字が大きい点など目につきました。歳をとると腰が曲がってくることもあり、見やすいように値札やPOPなどをおばあちゃんの目線の床や地面に置いている店もあるほどです。また、お年寄りはトイレがちかくなり、公共トイレ、高岩寺のトイレだけでは不十分なこともあり、商店街内の各店舗がトイレを来街者に開放(全部ではありませんが、多くの店が協力しています)しています。人気商品としては、砂糖を控えめに塩味をきかせた塩大福、通気性の高い絹の腹巻き、カラオケ用の派手なスカート、深蒸し茶(通常の約2倍の時間をかけて蒸して茶葉のアクをとるため胃もたれせずに高齢者の健康に良いと評判)などがあります。

 門前町という視点でみていきますと、歴巣鴨地蔵通り商店街史的には旧中山道に面しており、画像上の「とげぬき地蔵尊高岩寺」の他に、商店街の入口に「江戸六地蔵尊眞性寺」、逆側の北の入口に「巣鴨庚申塚」があり、昔から信仰の町として成り立っています。

 とげぬき地蔵尊の名で親しまれている高岩寺は、正式には「曹洞宗萬頂山高岩寺」と言います。慶長元年(1596年)に江戸湯島に開かれ60年後、下谷上車坂町に移り、巣鴨には明治24年(1891年)に移転してきています。ご本尊は、とげぬき地蔵として霊験あらたかな延命地蔵尊(秘仏)です。行った時は、境内にある「洗い観音」は、ものすごい行列ができていました。位置的には、上から2番目の画像の中央右手にあります。洗い観音は、病気や痛いところを洗うと、効き目があると言われています。以前の洗い観音は、たわしで洗っており、あまりに多くの方がお願いのため洗ったため磨滅し、現在は、2代目の洗い観音の後ろにある厨子に納められています。今は、たわしではなく、白い布で洗うようになっています。また、縦4センチ、横1.5センチの和紙の中央に尊像が描かれている「とげぬき地蔵尊御影」は、痛いところに貼ったり、のどに骨が刺さったときに飲んだりすると治るといわれています。

 江戸六地蔵尊眞性寺は、江戸六地蔵尊の一つとして知られており、正式には「真言宗豊山派医王山真性寺」といいます。境内には、大きな傘をかぶり、杖を持つお地蔵様があります。江戸六地蔵尊は、江戸の六街道の出入口に置かれ旅とげぬき地蔵の安全を見守るために建てられました。ここ巣鴨は、六街道の一つ中山道の出入口としてあるわけです。また、境内には、旅人である松尾芭蕉の句の石碑もあります。

 巣鴨庚申塚は、江戸時代から中山道の立場(たてば:休憩所)として賑わったところで、地名にまでなった例は全国でも珍しいようです。巣鴨庚申塚は、江戸名所図解にも描かれており、いかに古く由緒あるかがわかります。

 今回、縁日で賑わう巣鴨地蔵通り商店街を見て参りましたが、元気なお年寄りの人気のほどが伺えました。お年寄りが仲間とともにわいわい楽しむこともできますし、お年寄りが一人で来ても十分楽しんでくつろげる空間が広がっています。この巣鴨地蔵通り商店街のそういう気持ちにさせるものは、お店・店員の気配り、細かいところに手の届く心配りだろうと思います。高齢者のニーズをつかんだ品揃え、展示や店構えなどのバリアフリーなどの基本的なベースがある上で、至れり尽せりの気持ちの良いサービスがお年寄りの心をしっかり掴んでいるのだろうと思います。

 また、巣鴨地蔵通り商店街に行くのに、行きはJR巣鴨駅を利用しましたが、帰りに都営地下鉄三田線を利用したところ、長い階段を降りた改札のすぐ前に休憩所が設けられているのには感心いたしました。ちょっとした休憩所ですが、地下へ降りる長い階段を歩いてきて、疲れたなーと思ったところに休憩所があるのは、お年寄りには助かるのではないかと思います。このような心配りが、商店街だけでなく町全体としてできているところが素晴らしいと感じました。お年寄りが商店街にたどり着くまでが難儀では、もう一度来ようという気が起こらないことと思います。これだけ巣鴨地蔵通り商店街が賑わい、何回も何回もリピーターとして訪れる人がいるのは、とげぬき地蔵という集客力だけでなく、町全体としてのお年寄りを迎え入れる体制が整っていることが大きいと思います。

 日本の伝統と庶民的な生活感の漂う巣鴨地蔵通り商店街の雰囲気をいつまでも持続していって欲しいものです。

By Nagura

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