中村玉緒さんが名誉村長の
日本昭和村を訪ねて 
(日本・岐阜)

2006年2月5日

 岐阜県美濃加茂市(人口52,133人、18,116世帯、面積78.81平方キロメートル:平成17年国勢調査)にある中村玉緒さん昭和村節分祭が名誉村長を努めている平成記念公園「日本昭和村」を訪ねてきました。日本昭和村は、“昭和30年代の山里を再現した体験型テーマパーク”で2003年4月にオープンしました。

 日本昭和村の謳い文句を少し挙げてみますと“昭和30年代、里山には豊かな自然があふれ、みんな元気に輝いていました。皇太子ご成婚、東京オリンピックや新幹線の開通などさまざまなことがありました。日本昭和村には、どんぐりの森、棚田、茶畑、ホタルやメダカの生息する渓谷など、昭和30年代のなつかしい里山風景とともに、なつかしのおもちゃや伝統芸能、郷土料理など、昭和30年代の文化や風俗などももりだくさん”などの描写が見られます。

 日本昭和村は冒頭で述べたように、バブル後の2003年4月にオープンして、かつてバブル期に多くつくられ、経営困難に陥っているテーマパークの教訓を得て、運営手法などに工夫が見られます。特に、公営のテーマパークといえば、うまくいかない事業の代名詞のように言われています。東京ディズニーランドは別格ですが、地方のテーマパークは、第三セクターが経営する施設を含めて、多くは巨額赤字に苦しみ、閉鎖に追い込まれて、閉鎖してしまったり、資本が移って、形態を変えてリニューアルオープンしているところが多いです。

 日本昭和村も岐阜県が平成記念公園としてつくったもので、公営と言えば、公営ですが、詳しくみていくと「公設民営」という形態をとっています。公設昭和村電柱民営とは、言葉の通り、公が建設して、民間が運営する仕組みのことです。ですから、日本昭和村は岐阜県が建設して、運営を民間会社の株式会社ファームに委ねています。日本昭和村は、日本初の“公設民営”のテーマパークとして誕生しました。

 株式会社ファームは、全国で20箇所以上の農業公園を手掛けている会社です。ここ日本昭和村以外では、少し挙げますと、「岡山農業公園 ドイツの森 クローネンベルク」「滋賀農業公園 ブルーメの丘」「江戸崎農業公園 ポティロンの森」「神崎農業公園 ヨーデルの森」「京都 丹後あじわいの郷 ゆーらぴあ」「長崎市いこいの里 あぐりの丘」「四国ニュージーランド」「淡路ファームパーク イングランドの丘」「奥飛騨 平湯大滝公園」「愛媛わんわん村」「信州塩尻農業公園 チロルの森」「高宮虹の家族村 広島ニュージーランド村」など手掛けています。

 日本昭和村は、敷地面積が約80万平方メートル(東京ディズニーランドとほぼ同じ敷地面積)あり、約221億円(うち用地費98億円)の事業費がかかっています。公設民営のメリットをみていきますと、運営は運営のプロに任せるという考え方で、日本昭和村の場合、委託費は、入園料収入の範囲内との契約のため、岐阜県は維持費の負担をしなくても済みます。極端なこと言えば、岐阜県側にとっては、例え入園者数が増えなくても、管理運営にかかわる維持費の岐阜県からの持ち出しはゼロということです。

 赤字の場合は、その分、委託を受けた民間の株式会社ファームがかぶるわけです。日本昭和村の運営会社の株式会社ファー中村玉緒名誉村長ムは、入園者数を増やし、園内の物販などで稼がないことには利益がでないどころか、赤字をかぶってしまうということです。純粋な公営や第三セクターの場合は、赤字補填を行政が行っている状況ですが、公設民営の場合は、赤字分の補填は、運営会社の民間がかぶる形です。株式会社ファームは、さきほど少し挙げましたが全国20以上のテーマパークの運営委託を受けており、集客力には絶対の自信を持っており、農業のため、地域のためという志しを持ってやっているようです。

 岐阜県のメリットとして、先ほど、運営にかかわる維持費はゼロと書きましたが、作ってからの後年度の負担が必要ないということです。それどころか、土産物売店やレストランなどの営業権料として毎年1000万円ほど入るようです。営業権そのものは、株式会社ファームにありますから、一定の営業権料は取られますが、飲食・物販の売り上げが上がれば、上がるほど、民間側の利益が生まれていくわけです。民間の株式会社ファームのメリットとしては、テーマパークの経営が難しいのは初期投資の負担が重いことが挙げられますが、この初期投資の用地の買収、建設の費用を岐阜県が受け持ってくれることです。日本昭和村には、約221億円の用地・建設費がかかっていますから、この分の負担が軽減されたわけです。要するに、民間の株式会社ファームにとっては、運営に専念できるので、ノウハウさえあれば、利益が上げやすいということが言えます。現在、「官」に属していた市場が民間に開かれている流れが進んでおり、テーマパークだけでなく、様々な分野に広がりつつあります。

 テーマパークのノウハウ的な紹介が長くなってしまいましたが、日本昭和村の施設内容を紹介していきます。上記で運営形態を紐解いてきましたように、バ昭和の懐かしいものブル期のテーマパークの教訓が生かされており、日本昭和村には、パビリオンや大型の遊戯類などがあまり見られません。基本コンセプトが「里山」であるだけに、なごみ空間というか、ホッとするような空間づくりがなされています。ただの公園と言ってしまえばそれまでですが、手を変え、品を変え、訪れる人を飽きさせない努力というか、運営ノウハウで経営されている有料公園といった感じを受けました。

 日本昭和村は、大きく「正面広場ゾーン」「自然ふれあいゾーン」「昭和村ゾーン」「野外活動ゾーン」に分かれています。正面広場ゾーンには、昭和銭湯「里山の湯」、産直の青空市場、岐阜県特産品販売店「おんさい館」などがあります。昭和銭湯は、露天風呂と足湯が温泉で、足湯は無料です。浴場には銭湯のタイル画の富士山がどーんと構え、なつかしい昭和の情緒が味わえる仕掛けづくりなどなされています。

 「自然ふれあいゾーン」「野外活動ゾーン」は、芝生広場、お花畑、動物広場、ふわふわ、アスレチックなどのあるこども広場はじめ、ボート、カヌー、ゴーカート、乗馬、アーチェリーなどの遊びも用意されています。そして、メインは、「昭和村ゾーン」で、なかでも“体験”が最大の売り物となっています。なつかし工房と名づけられた建物では、岐阜県産の原料を使ってパンやバター、豆腐、こんにゃく、そばなどをつくることができ、つくったものは試食したり持ち帰ったりできます。

 創作体験館「わらべ」では、竹馬、竹とんぼ、凧、お手玉、こまなどの作り方を指導してくれて、なおかつ遊び方も教えてくれます。子どもたちの舞いこの他、手織り、染色、和紙クラフト、陶芸、つるかご編み、炭焼きなどのメニューがあります。季節によっては、田植え、稲刈り、野菜やくだものの収穫、茶摘み体験などもすることができます。

 一番上の画像は、ちょうど行った日が、節分後の最初の週末ということで、節分のイベントをやっている風景を写したものです。子ども向けの鬼に豆を投げてあたると賞品がもらえるイベントと画像は、寅さんのものまねを芸人がやっており、観客が見ているところを写したものです。上から2番目の画像は、日本昭和村の園内を写したもので、左側の建物は、昭和のなつかしいレトログッズや先ほど紹介しました食の工房が体験できる施設です。そして、上から4番目の画像では、懐かしいレトログッズが写っています。

 上から3番目の画像は、名誉村長でもある中村玉緒さんの生い立ちや思い出の品の展示、オリジナルグッズ、お菓子なども販売されている「玉緒の店」の外観を写したものです。等身大に近い玉緒さん人形も置かれており、記念撮影する方が多く見られました。上から5番目の画像は、芝居小屋と映像館の「昭和座」で演じている子どもたちを写したものです。この芝居小屋は、一般の方が舞台で演じています。太鼓が好きな人は太鼓を、能を舞う人は能を、踊りの人は踊りをというふうに日頃の成果発表の場として使われているようです。行った時は、踊りの発表会のようで、お年寄りから子どもまで順番で演じていました。観客は、ほぼ身内で占められているようでしたが、観光客もふらっと楽しめます。

 上から6番目の画像は、昭和初期に建てられたなつかしい木造校舎の「双六学校」を写したものです。画像から前日の雪が残っているのも伺えると思いま昭和村雪景色す。木造校舎の中には、昔の農機具やテレビなどの家電が置かれていたり、黒板があり教室の面影がそのままあったり、フラフープなどのなつかしい昔遊びも楽しめます。昼食は、昭和の大食堂「やまびこ食堂」で食べましたが、なつかしいメニューやふるさとの味など揃っています。

 今回の視察レポートでは、日本昭和村を紹介してきましたが、バブル期に多くつくられた地方のテーマパークとは違った趣(おもむき)があります。見方によってが、自然が広がっており、何も見るところがないという見方もできますが、自ら体験するとか、心をリフレッシュするホッと一息つく空間など来場者が楽しみや居心地の場をみつけていくテーマパークとも言えます。日本初の公設民営という形で、まだまだ発展途上という感じはしますが、一つのバブル期の教訓を得て、地域住民をも巻き込んで地域おこしのスタイル提案をしているように思います。

 働いてる人の人員を紹介しておりませんでしたが、約400人のスタッフで、正社員は約60人、高齢者のパートタイマー約140人、残り200人は、地元のボランティアスタッフです。身の丈にあった地域の人たちとつくりあげているテーマパークと言えます。東海環状自動車道が出来て、美濃加茂インター下りてすぐですので、皆様方も一度、足を運ばれてはいかがでしょうか。また、この界隈には、明治村(愛知県犬山市)、日本大正村(岐阜県恵那市)もありますので、併せて観光して、明治、大正、昭和を全制覇されてはいかがでしょうか。ちなみに、当方は、3つをすべて制覇しました。

By Nagura

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