セルフガソリンスタンド実験店 (日本・愛知)

視察日:1998年1月30日

 石油業界では、今春(4月以降)にも解禁されるドライバー自らが給油するセルフ給油への関心が一段と高まってきています。出光ではすでに東京、札幌などでセルフ方式の実験店を開設しています。
 東海地方でも初めてのセルフ方式セルフスタンドイメージのガソリンスタンドの実験店が1月22日に愛知県一宮市に誕生しました。一宮市に本店をもつ大森石油が経営する「日本石油」のガソリンスタンドです。名古屋と岐阜を結ぶ22号線沿いにあり、日石のマークの下に緑地に白文字の「SELF」とかかれた看板が掲げてありますのでセルフと一目でわかります。

 実際にセルフを体験してみましたが、思ったより簡単です。初めてという興味本位を考慮しても、それほど煩わしさも感じませんでした。ただし、現在は、セルフ解禁前なのでノズルを差し込む給油作業だけは従業員が行い説明を受けるのみですが、解禁後は、完全セルフ給油となります。
 それでは、簡単にセルフ方式の一連の流れを示しましょう。まず、給油口の場所を確認し、空いたレーンに入ります。ここまでは従来のガソリンスタンドと変わりません。そして、エンジンを止め、車から降りて左上の写真に示してあるタッチパネルの操作で、支払方法(現金、カード)、ガソリンの種類(レギュラー、ハイオク、軽油)、量(満タン、10P、20Pなど)などを画面上の指示に従いすべて入力していきます。そうすると、受付伝票が打ち出されます。そして、次の給油作業は先程述べたようにユーザーが実際に行うのは解禁後となります。ちなみに給油作業は、キャップを取り、タッチパネルの隣にあるノズルを給油口に差し込み注入し、止まったらノズルを取り出し、キャップを締めるというセルフスタンドイメージ作業です。これで給油は終了です。それほど難しい作業ではありません。中央の写真を見ていただければわかりますが、ガソリンの種類によってホースが色分けされていますので間違えることもないと思います。もし、万一間違えたとしても、機械の方でエラーメッセージが出されますので安心です。
 あとは支払いを残すのみです。支払いは、敷地内にあるオイル専門店(下の写真参照)内のレジで受付伝票を渡して行います。これですべて終了です。慣れてしまえば、従来スタンドとそれほど時間的には変わらないと思います。(ここでは、やっていませんでしたが、クレジットカードによる自動精算による支払い方法もあります)
 また、このオイル専門店がただものではありません。ここの日石は、セルフ給油、セルフ洗車の他に快適オイル交換を売り物にしています。ピット(作業場)が3つあり、なんとオイル交換を7分でやってくれます。店内には、25ブランド170種類のオイルが揃っており、その中から選ぶことができます。
 ここの場合、支払いはオイル専門店でしたが出光の実験店では、コンビニが敷地内にありそこで支払いを済ませます。セルフの場合は、価格以外にどれだけ魅力的な複合施設をもってこれるかも成否のカギとなることでしょう。
 セルフの作業そのものは、銀行のキャッシュコーナーにあるATMを操作する感覚でタッチパネルに従ってできるので、よっぽど機械アレルギーの方でない限り問題はないと思われます。また、窓ふき、灰皿の掃除などのサービスはもちろんありません。タオルとごみ箱が用意されていますので、必要な方はセルフでどうぞということでしょう。

 それでは、皆さんが一番気になると思われる価格をレギュラーガソリンで見ていきます。セルフは、84円/Pです。一宮周辺の一般ガソリンスタンドの相場は、88円/P(現金カード使用で87円/P)ですセルフスタンドイメージので、1P当たり3〜4円安いといったところです。ただし、日石発行のクレジットカードを使えば、さらに2円安く、82円/Pとなります。
 皆さんは、地域相場価格より3〜4円安いこの価格に気持ちを動かされたでしょうか。家の近くにあるとか通勤途中などにあれば利用するでしょうが、ガソリンだけを入れる目的のためにわざわざ遠くにあるセルフスタンドまで足を伸ばすまでの魅力的な価格ではないでしょう。ダイエーが経営するハイパーマートの敷地内にあるガソリンスタンド(第1号店を1997年12月6日に愛知県岡崎店にオープン。解禁後セルフ化に踏み切る予定)のように、買い物の次いでに入れるのならまた話は変わってくるのでしょうが・・・。ちなみに私は地元(愛知県安城市)では、85円/Pで入れているので、個人的には1P当たり1円安いだけでした。
 この3〜4円安いという価格は、実験段階の価格ですので、解禁後、どの程度の価格設定で出してくるかはわかりませんが、各社とも数円程度と思われます。セルフの設備投資に2,000万程度、セルフと言えども、危険物取扱主任者の監視員を置く必要もあり、なおかつ全国のガソリンスタンドの80%は営業赤字という現状を考えますと厳しいと思われます。
 スーパーがガソリンスタンドを経営したり、ガソリンスタンドとコンビニ、マクドナルド、カー用品店などとの複合店化、外資系メジャーの進出(群馬県伊勢崎市に1998年12月イギリスのBPが進出)など、規制緩和により動きが多様化しています。セルフ化により淘汰、再編がいっそう進むものと思われます。

 私は、オイル交換とか洗車などをガソリンスタンドでやらないので、めったにガソリンスタンドで車から降りることはなかったので、今回、車から降りるという行動が意外に新鮮なものに感じました。皆さんもガソリンスタンドを日常利用されていると思いますが、トイレなどの利用は別にしてオイル交換などの有料サービスを利用するために降りる機会はどれほどあるでしょうか。私のように、あまり車から降りない方は、「ガソリンを入れるために車から降りる」という行動が新鮮に感じられると思います。是非一度セルフを試してみられてはいかがでしょうか。そして、コンビニで支払いを済ませようものなら、次いでに何かを買ってしまうのではないでしょうか。
 コンビニエンスストアの出現が日本人の行動様式を変えたように、セルフ方式のガソリンスタンドの出現が、日本人の行動様式をもガラッと変えるかも知れません。これから給電(電気自動車用)スタンドも出てきます。10年後ぐらいには、想像もできないような姿、利用の仕方になっていることと思われます。

 また、行った時は、オープン1週間ほどたったばかりで、従業員の方の話によると、東海初ということもありこれまでにテレビ局、新聞社など取材がものすごく来たということです。この日もテレビ愛知が取材にきていました。カメラがずーと回っていましたので、多分私も映っていると思います。もし、ニュースとか特集番組で使われれば、もしかしたら画面の角の方にでも出てくるかもしれません。

 また、1997年10月21日付けのコラム「ガソリンスタンド業界の今」も併せてお読み下さると背景がよりいっそうご理解いただけると思います。

By Nagura

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