安城の中心市街地の学校と商店街挙げてのお祭り
“サンクスフェスティバル”を訪ねて 
(日本・愛知)

2003年10月26日

 愛知県安城市(人口166,770人、57,879世帯:2003年10月1日現在、面積86.01平方キロメートル)の中心市街地歩行者天国の子供たちで行われた地域挙げてのお祭り“サンクスフェスティバル”に参加してきました。サンクスフェスティバルは、収穫祭として毎年10月に行われています。

 サンクスフェスティバルは、中心市街地の活性化を図ることを目的として、中心市街地を市民みんなの「活動の場」として活用してもらうために、様々なイベントが開催されます。サンクスフェスティバルは、商店街のお祭りという枠を越えて、地元の安城学園高校や安城生活福祉高等専修学校の学園祭と連携したり、農家(生産者)と連携して産直市を開いたり、社会福祉協議会と連携して車いす体験・百歳体験を開いたり、警察と連携して子ども110番の家スタンプラリーを開いたりと市民挙げてのお祭りです。

 第6回目を迎えた2003年のサンクスフェスティバルは、2003年10月26日の日曜日に行われ、上記と重複する部分もありますが、雰囲気を掴んで頂くために、どのような催しが行われたのか少し紹介いたします。地域挙げてという視点で、商店街と地域の連携という観点でみていきます。一番上の画像を見て頂きますとわかりますが、車両を通行止めにして道路が歩行者天国となっています。その歩行者天国の道路を利用して、幼稚園児や小学生たちの交通安全パレードなどが行われ、また、上から5番目の画像に見られるように道路沿いに特設ステージを設けて、道路が観客席になっています。

 特設ステージでは、画像に見られるようにダンスパフォーマンスの他、幼車いすゲストのミス七夕稚園児や小学生たちによるマーチングバンド、中学生による沖縄エイサー踊りやソーラン節&太鼓、高校生の合唱部によるコーラス、服飾専門学校生によるファッションショー、もちなげなどが行われました。商店街と学校連携という視点では、中心市街地内にある高校と専修学校と連動して学園祭が一般公開されています。また、中心市街地の会場では、安城農林高校の高校生たちによる子供たち向けの動物ふれあい体験のコーナーもありました。大学生という視点では、地元の愛知学泉大学の学祭実行委員会の学生たちが屋台やきそばを出していました。

 次に農業と商店街との連携という視点で見ていきます。中心市街地内の会場では、生産者の農家の女性(農村生活アドバイザー)たちによる安城の農産物を直売する産直市が行われました。上から3番目の画像は産直市の模様を写したものですが、新鮮な野菜の数々が伺えると思います。また、上から4番目の画像は、子供たちに安城の農業、安城の農産物を紹介する紙芝居を農家の女性達自らが行っている様子を写したものです。紙芝居の前まで身を乗り出している子供たちが写っており、紙芝居のあとには、水あめがもらえ大変喜んでいました。今、食品の安全性が叫ばれ、地元のものを地元で消費する“地産地消”や食を通しての教育“食育”などが注目されており、その一環にもつながっていったと思っております。食環境の動きにつきましては、コラム「“スローフード”“地産地消”など「食環境」を見直す動きについて考察する」で紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 福祉と商店街との連携という視点では、安城の農作物の産直冒頭で少し述べましたが、社会福祉協議会、ボランティア連絡協議会、安城生活福祉高等専修学校の生徒たちと連携して、街中宝(バリア)さがし「車いす体験・百歳体験」が行われました。上から2番目の画像は、ミス七夕たちが中心市街地を回っている様子を写したものです。「車いす体験・百歳体験」については、コラム「街中宝(バリア)さがし“車イス体験・百歳体験”を取材して」で詳しく紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 その他、離れた地域との連携という視点では、数年前から北海道の留辺蘂(るべしべ)町とつながりがあり、今回も北海道の新鮮野菜のるべしべ物産展が行われました。商店街挙げて子供たちを守るという観点では、冒頭で示しましたが、警察と連携して、変な人に声をかけられたり、危ない目や怖い目にあった時にお店や家に駆け込む「子ども110番の家」スタンプラリーが行われました。また、お祭り開催にあたっては、行政、商工会議所、地元信用金庫などがバックアップしています。是非、お近くの方は、今年(2004年)のサンクスフェスティバルに参加されてはいかがでしょうか。

 地域挙げてのお祭り・サンクスフェスティバルを“連携”という視点で紹介してきました背景には、多くの中心市街地において空き店舗が増え、衰退化・空洞化している問題を抱えているなか、もはや商店街だけで中心市街地の活性化を考える時代ではなく、中心市街地の住民や地域との連携が重要であり、その良い事例として紹介したかったからです。

 それでは、地域挙げての連携を図った取り組みが行われているサンクスフェ安城の農業紙芝居スティバルにいたった経緯というか商店街の若手の努力を紐解いていきます。第6回目を迎えたサンクスフェスティバルを始めたきっかけは、壱番会という商店街振興組合の枠を越えた横断的な若手商業者の集まりです。壱番会は、若手商業者の親睦を目的としてスタートしましたが、今では、商業者以外に、市役所の職員や安城のまちが好きで、このまちを何とかしたいという想いを抱く若手メンバーが幅広く集まっています。

 安城には、昭和29年から続いている2003年で第50回を迎えた安城七夕祭りがあります。安城七夕祭り開催期間中の3日間には、中心市街地商店街には100万人を超える人が例年訪れます。壱番会は、この七夕祭りのイベント事業をきっかけにまちづくりを目指した勉強会を始めました。そして、勉強会を重ねていくなかで、まず取り組んだのが、商店街の花いっぱい運動や清掃活動です。これらの活動は、直接商店街の営業につながるものではなく、子どもたちのために住み良いまちを残したいというまちづくりの理念に基づいて行われたものです。このような損得勘定抜きのまちを良くしたいという思いの取り組みが、行政をはじめとする関係者の理解と協力につながり、サンクスフェスティバルが全市的な取り組みへと発展していきました。

 それでは、そのサンクスフェスティバルを始めるきっかけとなった核心部分に触れていきます。先程、安城七夕祭りには100万人以上の方が訪れると紹介しましたが、それは1年365日のうちの3日にすぎませダンスを道路で観戦ん。その他の362日はどうだろうかと壱番会のメンバーが考えたのが始まりです。イベント時の非日常と日常のまちが余りにもかけ離れており、まちづくりをしていく上では、日常のまちのあり方を考えなければならない。こう考えた壱番会のメンバーは、「まちはみんなのステージ」「人と人がつながる」を合い言葉に、新たな企画として考えたのがサンクスフェスティバルです。

 サンクスフェスティバルは平成10年からスタートして、回を重ねるごとに、人と人のつながりがどんどん広がっています。第6回目の概要は、先程述べましたが、中心市街地をステージ(舞台)として、商店街、学校、農業生産者、警察、行政など様々な連携が成されています。安城七夕祭りを市外からも人を呼び込む大々的なイベントとすれば、サンクスフェスティバルは、市民自らが作り上げ、参加する手づくり感覚の地域に根ざした交流会のような感じです。市民が「安城のまちがこんなまちだったらいいな」という想いをイベントを通して試行・実験して、安城のまちのあり方を創造していく場がサンクスフェスティバルと捉えることができます。

 サンクスフェスティバルは、交流(ネットワークづくり)の場、新たな出会い(仲間づくり)の場、活動の場、発表・表現の場、学びの場などさまざまな捉え方ができます。毎年サンクスフェスティバルに合わせて期間限定の地ビールパブ「南吉カフェ」が壱番会のメンバーによって開設されます。南吉カフェ(安城市にゆかりのある童話作家、新美南吉にちなんで名付けられています)は、言わば手づくり居酒屋といったところで、そこには、地元の商店主から市会議員、学校の先生、市職員など多くの人が集まり、仲間が仲間を呼び、そこからまた新たなネットワークの輪が生まれています。年々、仲間が増え、ネットワークが広がってきているだけに今後の展開が楽しみです。特に、安城市では、平成15年度に市民活動課が新たに立ち上がり、平成16年度はより、市民活動やNPO活動を推進していく動きが行政サイドにあるだけに、今年(2004年)は、これまでの壱番会の努力と結晶の成果が大きく花開く時ではないか思っております。まさに、チャンスの時を迎えており、これまでのサンクスフェスティバルを含めた取り組みの実績を大きく羽ばたかせて頂きたいと期待しております。

By Nagura

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