名古屋屈指の文教地区・
桜山商店街界隈を訪ねて 
(日本・愛知)

2007年6月16日、7月12日、8月9日

 名古屋市昭和区の桜山商店街を訪ねてきました。桜山商店街の周辺地域は、閑静な住宅街であるとともに、大学や高校、名古屋市博物もちつきイベント館などが立地しており、名古屋屈指の文教地区の地域特性を有しています。1キロメートル圏内の商圏エリアの大学・高校には、名古屋市立大学はじめ、名古屋女子大学、名古屋女子大学短期大学部、名古屋柳城短期大学、瑞穂高校、向陽高校、享栄高校、名古屋大谷高校、名古屋国際高校などがあります。

 公共機関としては、地下鉄の駅に隣接しており、桜山商店街は、地下鉄・桜通線の桜山駅を中心に広がっています。ここ桜山は、今は、地下鉄やバスが主な公共機関ですが、昭和40年代まで市電(路面電車)が走っていました。当時、道路沿いには、桜が咲き乱れ、市電の車窓からは切れ間なく花見ができたそうです。当時、桜山の交差点の近くにあった名古屋市立大学のけんりゅう食堂や昭和税務署(共に今は建替えや移転で桜山からなくなっています)などは、大きな桜の木がたくさんあり春になると建物が桜のなかに埋もれてしまうほどだったそうです。

 その後、桜がなくなってしまいましたが、平成6年3月の地下鉄桜通線の今池駅から野並駅まで延伸され、桜山駅の開設に伴い、歩道の拡幅、電柱の地下埋設等の街路整備事業に合わせて、桜の木が植えられました。この桜の木を植えるきっかけは、商店街の青年部が中心となって「桜山」をその名の通り、桜で彩りたいという思いから始まりました。今では、10数年経ち、昭和40年代の桜が咲き乱れる当時の姿に徐々に近づきつつあります。

 なかでも現在、地下鉄桜山駅8番出口近くでは、天然記念物に指定されている岐阜県の薄墨桜と群馬県鬼石町の冬桜が華麗な姿を見せています。特に鬼桜山商店街交差点石町の冬桜は1年に2度(冬と春)花が咲くという珍しい種です。桜山商店街の周辺の桜の名所としては、山崎川の桜がありますが、桜山の街で見る「さくら」もまた趣深いものがあります。後ほど、商店街と学生たちの商学連携の取り組みを紹介しますが、一番上の画像は、冬に行われたイベント「ウキウキ冬なのに元気さくら祭」を写したものです。冬のイベント名にも、しっかり桜山商店街ならではの「さくら」という名称が使われています。

 あと、桜山商店街界隈の特徴として、医療、福祉施設が充実しています。商店街に隣接してあるのが、高度先進医療に取り組んでいる名古屋市立大学病院です。また、桜山商店街エリアには、福祉施設も多くあります。障害をもった方が外に出たい、働きたいなど人並みの生活がしたいという素朴な気持ちから、障害をもった方たち自身が立ち上げた「AJU自立の家」があり、関連施設の働く場として「わだちコンピューターハウス」、交流の場として「サマリアハウス」などがあります。

 以前、愛知県の人にやさしい街づくり連続講座に参加した際、「AJU自立の家」さんから車いすの一日体験をスタートして、地下鉄を使って名古屋駅まで行き、食事も兼ねて一日中車いすで過ごしたことがあります。その際に、名古屋市立大学病院や桜山商店街を車いすで通ったことがあります。人にやさしい街づくり連続講座の模様は、「人にやさしい街づくり連続講座を受講して」「“人にやさしいまちづくり”について考察する」「名古屋の下町・弁天通商店街を訪ねて」で載せておりますので、併せてお読み頂けましたら幸いです。

 その他、桜山商店街には、郵便局はじめ都銀、信金含め金融機関が充実しています。昭和郵便局は、桜山の交差点の学生手づくりかるた角にあり、上から4番目の画像の後ろに見ることができます。ちなみに、郵便局の隣が名古屋市立大学病院になります。そして、もう少し瑞穂区側に歩いていきますと、名古屋市博物館もあります。

 このような立地にある桜山商店街では、現在、名古屋市立大学の学生たちと一緒になって、商店街含むまちの活性化事業を展開しています。この商学連携の経緯を少し紐解いていきます。

 発端は、平成16年度に愛知県が主催した商店街活性化事業の提案に名古屋市立大学の経済学部のゼミ生が応募したことです。テーマは、「地域特性を取り入れたユニークな商標の創世とそれを生かした商品の開発」というものです。この取り組みは実際に事業予算まではついておらず、提案者と商店街の出会いの場としてのマッチング事業でした。

 そして、具体的に動いていくのが、名古屋市が平成17年度から始めた商店街再生事業です。名古屋市内の商店街の中から商店街再生事業として選定した10の商店街の中に桜山商店街が選ばれました。平成16年度の愛知県への提案を名古屋市が引き継ぐ形で、実際に事業展開していきました。うまい具合に、愛知県と名古屋市との連携がとれた事業展開となっています。

 平成17年度に名古屋市が支援した商店街再生事業では、桜山商店街の再生コンセプトとして、「テーマ:地域の根ざした“縁側的な商店街づくり”」「めざす姿:“地域ブランドづくり”“地域の困った問題を解決するビジネスを地域住民と展開する”」を定めました。現在、この再生コンセプトをベースに商店街と学生NHK生中継風景たちが一緒になって、商店街・まちの活性化に動いています。現在進行形でもありますが、これまでに、商店街シンボルマークの制作、イルミネーション事業、数多くのまつりなどのイベントの実施、商店街の絵本づくり、学生たちによる店舗審査など行ってきています。学生たちは、卒業していきますので、先輩から後輩へと引き継がれています。

 一番上の画像と上から3番目の画像は、商店街のイベントに企画段階から学生たちが参画して、一緒に取り組んでいる様子を写したものです。ちなみに上から3番目の画像は、子ども向けのカルタ取りを行っている様子を写したものですが、その画像上にみえるカルタは学生たちの手づくりです。商店街カルタで、各お店やお店の商店主たちを紹介した学生たちの力作です。

 愛知県の取り組みを名古屋市がうまく引き継ぎ、その成果として行った事業展開を一つ掘り下げて紹介します。それは、商店街のシンボルマークづくりに取り組んだものです。平成17年度に、デザイン案を地元の小中学生を中心に公募し、商店街や学生、弁理士などの審査を実施して、名古屋市立大学芸術工学部の協力を得て手直しを行いシンボルマークを完成させました。きっかけは、名古屋市立大学の経済学部でしたが、さらに同大学の芸術工学部の先生や学生も巻き込んで作り上げました。注目する点として、シンボルマークは多くの商店街等で作られておりますが、桜山商店街の場合は、商店街としては珍しく、特許庁に商標の出願をして、数カ月の審査を経て、平成18年秋にみごと商標登録されました。

 流れとして、平成17年度にシンボルマークのデザイン決定、そして、平成18年度にシンボルマークのネーミング(愛称)募集をイワタのおばあちゃんの案内行いました。ちなみにネーミングは、応募された中からイベント時に一般の人気投票により「さくらっぴー」に決まりました。デザインは、小学生の子が描いた手がピース(グー、チョキ、パーのチョキ)の形をベースにそこに顔と耳がありような感じで、うさぎの耳のようにも見えるような親しみの感じられるデザインに仕上がっています。「さくらっぴー」は、さくらとピースをかけているようです。

 このシンボルマーク「さくらっぴー」は、いろいろなところに使われ始めています。商店街のアーケードと街路灯に「さくらっぴー」が描かれています。また、先ほどの学生たちの店舗審査の取り組みを紹介しましたが、優良店に認定された額入りの認証状にも「さくらっぴー」のシンボルマークが描かれています。さらに、学生たちが、「さくらっぴー」を主人公にした絵本もつくりました。これからが本格的な取り組みとなり、今後「さくらっぴー」の商標をつけた商品づくりなどが予定されています。

 上から4番目の画像は、NHKの生中継された模様を写したものです。ご存知の方も多いと思いますが、全国放送の昼(0時20分〜0時43分)の「ふるさと一番!」で桜山商店街から生中継されました。2007年4月12日(木)に「学生パワーで商店街にサクラサク」というテーマで生中継されました。さすがNHKだけあり、うまいタイトルで、学生に焦点を当てつつ、学生と一緒に取り組んでいる商店主が出てくる番組構成でした。「ふるさと一番!」は、アナウンサーとタレントが地域を紹介する番組で、この時のタレントは、大沢逸美さんでした。この時は、「さくらっぴー」のフラッグ(旗)もつくって、商店街に飾り付けました。

 上から5番目の画像は、テレビでもよく取り上げられる「石焼&ワインのイワタ」の“おばあちゃんのコロッケ”で有名なイワタさんのおばあちゃんに、異業種交流会・TMCのメンバーとともに、桜山の歴史および商店街を案内して頂いているところを写したものです。画像上に見える店舗は、現在、空き店舗で、週末八百屋さんやいろいろなイベントなどで活用されています。現在、先ほど述べました再生コンセプトにおける目指す姿の“地域の困った問題を解決するビジネスを地域住民と展開する”事業展開をこの空き店舗を活用してやろうと商店街、大学・学生はじめ福祉施設、シルバー人材センター、生涯学習センターなど地域の方々と話し合いが進められています。

 イワタさんのおばあちゃんにご案内頂いた後は、TMCのメンバーとともに、おばあちゃんを囲みながら、「石焼&ワインのイワタ」さんの石焼昼会席をワインとともに堪能してきました。たいへん美味しかったです。皆さんも、機会がございましたら学生たちが頑張っている桜山商店街を訪ねてはいかがでしょうか。キャラクターの「さくらっぴー」が迎えてくれます。年末(2007年12月)頃には、空き店舗を活用した地域住民と展開する新たな商店街と学生たちの取り組みが始まる予定です。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ