らくだ書店・東郷店 (日本・愛知)

視察日:1999年4月18日

 名古屋郊外のベッドタウンに位置する愛知県東郷町にある“座り読み”のできる本屋さん「らくだ書店・東郷店」を見てきました。らくだ書店は、名古屋を中心に3店座りよみの風景舗ほど展開しています。らくだ書店・東郷店は、ロードサイドに立地しており、ベーカリーレストランも併設されています。その他、インターネットカフェが併設されている店舗もあります。行った日は、日曜日の12時半頃でしたが、雨ということもあり、本屋で時間をつぶそうという人が多いためか、けっこう込んでいました。

 ここ1〜2年ほどで、店内にベンチを設け、座り読みができる書店が増えてきており、今や、日本においても珍しくない光景となってきています。今回、座り読みしているお客さんの様子を眺めていましても、利用者サイドも板についてきたというかすっかりなじんで、自然体でベンチを利用しているという感じがいたしました。
 1997年10月にアメリカに行った時に、座り読みのできる書店「バーンズ&ノーブル」(海外視察の項で紹介してあります)を初めて見た時は、書店というより図書館という感覚を覚えたことが記憶に残っています。その後、日本においても座り読みのできる書店を数店舗見ましたが、1年以上前の1998年1月に座り読みのできる書店「カルコス」(国内視察の項で紹介してあります)を視察した時は、まだまだ座り読みそのもの珍しい頃で、利用者サイドも何となくぎこちなさが感じられたものです。しかし、今回、座って読んでいる人達の様子を見ていまして、日本人の書店というもの利用の仕方というか意識(認識)も随分と変わってきていると感じました。ロードサイドの書店を訪れる8割近くの方が、目的買いでなく、何かいい本や雑誌はないかと探しに来ていると言われていますが、それだけにじっくりと座って試し読みながら探せるのはもってこいでしょう。私自身もけっこう本が好きで子供たちの風景、ぶらっと本屋で数時間過ごすことがありますが、立ちっぱなしというのは、けっこう疲れるものです。
 1番上と上から2番目の画像が、座り読みしている様子を写したものですが、特に1番上の画像からは、お客さんが自然にくつろいで利用している様子が伺えるのではないでしょうか。また、上から2番目の画像は、入り口にあるエントランスホール部分で子供たちが真剣に本を読んでいる様子を写したものです。将来を担っていく子供たちが、小さい頃から本に親しんでいくことは大切なことだと思います。また、先日名古屋ボストン美術館がオープンしましたが、美術館、博物館なども、学生(子供たち)たちに文化・芸術に常日頃から触れてもらうためにも、無料開放するなどの長い目でみた取り組みもあってはどうかと思います。

 かなり前置きが長くなってしまいましたが、「らくだ書店・東郷店」は、もともとスーパーマーケットだったものを全面改装(1997年11月11日にオープン)したものです。上から3番目の画像が外観を写したものですが、パッと見た目には、本屋と思えないようなしゃれたプロバンズ風の外観となっています。460坪ほどの店内には、書籍、CD・ビデオレンタル、ベーカリーレストランなどが入っています。
 今回は、併設されているベーカリーレストラン・ナギーで昼を食べようと正午過ぎに行きました。書店に併設されているベーカリーレストランですから、味はあまり期待していなかったのですが、予想に反しておいしかったです。オープンキッチンで中で焼いており、焼き立てのパンが店頭に並び、値段もそこそこでらくだ書房ファサード、コーヒーも200円でおかわり自由です。テイクアウトもできるため、既に売り切れになっているパンもありました。ずっしりと重みのあるドイツパンを売り物にしており、ドイツビールもありました。また、さすがに本屋併設だけあり、雑誌類は豊富に揃えられています。ベーカリーレストランの奥には、無料ギャラリーもあります。
 一番下の画像が、書店内からのベーカリーレストランの出入り口から店内を写したものです。客層を見ていましても、若者から老夫婦、ジャージ姿の家族連れなど普段着で日曜日の午後をのんびりと過ごしていらっしゃる方が目につきました。
 また、ベーカリーレストランでおいしいパンを食した後、書店部分に入ってきますと、パンづくり関係の本が並べられている棚がまず目に飛び込んできます。なかなか心憎い演出です。さぞかし、自分でもパンを焼いてみようと買って行かれる方もいるのでしょう。

 話を座り読みに戻しますが、今回実際にベンチに座って試し読みをしましたが、1番上の画像からもわかると思いますが、ベンチの背もたれの角度がちょうどよく、座りごごちは抜群です。一度座ってしまうと、立つのが面倒くさくなるほどでした。

 今回、らくだ書店・東郷店を訪ねて、普段着で気軽に利用できる居心地の良さが印象に残りました。従業員の気配りのあるひとつひとつの行動がよりよい雰囲気をつくりだしていることと思います。そして、お客さんのすっかりとなじんできた座り読みの様子をみていて、最初にバーンズ&ノーブルで見た雰囲気に近いものを感じました。これからの書店というのは、情ベーカリーレストラン報力をどれだけ持っていて、発信していけるかがより重要になってくると思われます。そして、今回の東郷店は、ベーカリーレストランが併設されていましたが、他業態との相乗効果も今後、より重要な戦略となってきます。

 そして忘れてはならないのが、インターネットを利用した書籍のネット通販が飛躍的に伸びていることです。カルコスの項で述べましたが、私も紀伊國屋のウェブショップをよく利用しています。ウェブショップは、専門書などを探す時など、キーワード検索できる点は、本当に重宝しますが、本屋そのものの雰囲気が好きな私にとっては、実店舗も欠かせません。私自身は、実店舗とウェブ上の使い分けはけっこう明確で、雑誌、ベストセラーの書籍以外の目的買いの本は、ほとんどウェブ上で購入しています。
 ですから、書店に直接足を運ぶのは、先ほど示しましたデータに出ていましたように、私にとっては、何かいい本や雑誌はないかとネタ探しの意味合いが多く、本屋そのものの雰囲気を楽しみにいくという感じです。ですから、私自身が書店を選ぶに当たっても、やはり情報量の充実度と店全体の雰囲気がかなりのウエートを占めます。

 その他、本屋さん関係では、名古屋発信の遊べる本屋さんヴィレッジ・ヴァンガード(国内視察の項で紹介してあります)もなかなか面白い味を出しています。個性ある書店が、続々と出てきており、利用者サイドにとっては、楽しみな時代を迎えています。皆様方にも居心地の良い、お気に入りの本屋さんがきっとあることでしょう。

By Nagura

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