ソフト重視の西新道錦会商店街を訪ねて (日本・京都)

視察日:1999年12月1日

 数々のソフト化事業を手がけている商店街として有名な京都府京都市の西新道錦会商店街を訪ねて参りました。私が、西商店街風景新道錦会商店街を訪ねるのは、これで3度目になります。初めて訪ねました昨年(1998年)9月の時に、一度、視察レポート「西新道錦会商店街」上で紹介しておりますので、併せてご覧いただけましたらと思います。また、ハード面における商店街そのもの外観は、ほとんど変わっておりませんので、外観写真もそのまま参照いただけます。

 前回の西新道錦会商店街における視察レポートの時は、商店街を自分なりに視察しただけですが、今回も含め、その後の2回は、西新道錦会商店街振興組合の安藤理事長のお話も実際に伺ってきておりますので、今回のレポートでは、安藤理事長の話も踏まえ、ソフト事業を中心に、最新情報も交え紹介していきます。

 まず、最新情報、旬な話題として、ちょうど西新道錦会商店街を訪れた時に、商店街カードのエプロンカードが、“ローコストICカード”から電子マネーにも対応できる“高容量のICカード”に切り替えられているところでした。一番上の画像と上から3番目の画像の中で見られますが、エプロンカードののぼりが商店街のそこかしこに立てられていました。組合の事務所には、たくさんの切り替え用のICカードが積まれているのが見られました。高容量のICカードに切り替えることにより、記憶容量で従来の128バイト(128文字相当)から16キロバイト(1万6千文字相当)と大きく変わるとともに、JIS及びISO(国際標準)準拠のICカードとなります。
 また、カードそのもの以外で見逃せないのが、高容量のICカードの切り替えと同時に、機械の方の端末機も新しくなり、持ち運び可能な携帯端研修会風景末は、電子手帳くらいの大きさになったことです。西新道錦会商店街のICカードであるエプロンカードは、1992年(平成4年)から始められていますが、当初開発時に掲げられたのが、「上からぶらさげたざるに小銭を放り込むような商売」を考慮するという点です。カードを持って端末機の方に向かうのではなく、端末機の方からカードの近くにやってくるというハンディータイプの端末機の開発(メーカーと共同で)に力を入れています。前回の西新道錦会商店街の視察レポート時に述べましたが、この界隈は、京友禅の型染めの中心的産地であり、職人の町でもありました。江戸末期には、新撰組の屯所があったところです。言わば下町の情緒を存分に残しており、高齢化も進んでいる地域で、西新道錦会商店街には青果、鮮魚、精肉などの生鮮類を取り扱う店舗が多く、まさに先ほどの開発時に掲げた言葉「上からぶらさげたざるに小銭を放り込むような商売」そのものの世界が広がっています。

 一番上の画像を見ていただきますとわかりますが、昔ながらの商店街の外観をしており、懐かしささえ覚える方が多いのではないでしょうか。しかし、外観とは裏腹に、この商店街には、全国から数多くの視察団が訪れています。多い日には、安藤理事長が3回説明(3組の視察団に対応)するほど、お忙しいようです。視察に訪れた方の多くが、まず、西新道錦会商店街に入ると、商店街の外観に驚くとともに、一様に「うちの商店街の方がよほど立派だ」と実感されるようです。しかし、実際に安藤理事長からソフト面、組織面などのお話を伺うと、刺激を受けて帰られる方が多いようです。
 この西新道錦会商店街には振興組合外観、商店街近代化3点セットと言われる“アーケード”“街路灯”“カラー舗装”はなく、ハード面においては、まったく無防備といったところです。一番上の画像に見られます戦前から戦後しばらく見られた紐で開閉する布製の黄色い日除けがあるだけです。ハード面に関しても、これからまったく計画がないわけではなく、自然の石畳(現在はアスファルト)を敷いたりする案、すぐ脇を走っている京福電鉄嵐山本線に「西新道駅」を設置案や近くの堀子川の改修・親水公園建設案の話も出ています。お金さえ持っていれば、ハード面はいつでも始められるという気概感は話を聞いていて伺えました。

 西新道錦会商店街が、そもそもソフト重視に向かった背景を見ていきますと、最初は、カラー舗装も考えていたようです。ところが京都市にかけあったところ、当時の担当課長が「全国同じカラー舗装で個性をなくすより、これからはソフトの時代が来ると思いますよ」という返答を受け、そこから西新道錦会商店街のソフトの研究が始まっていったようです。少し、1992年(平成4年)に始まったエプロンカード(ICカード)以前の流れを振り返ってみますと、1966年(昭和41年)にエプロンカードの前身であるスタンプシール事業のラッキーシールが開始されています。そして、1972年(昭和47年)には、西新道錦会商店街振興組合として法人化されます。
 エプロンカード事業以降は、1995年(平成7年)に、ファックスを利用したご用聞き宅配サービスのファックスネット事業が開始されています。そして、今年(1999年)末、先ほど紹介しましたエプロンカード(ICカード)の高容量への切り替えが行われました。今後は、来年(2000年)秋を目処に、ケーブルテレビ回線を利用したローカルインターネット事業を立ち上げる計画です。(エプロンカード事業及びファックスネット事業の詳細は、視察レポート「西新道錦会商店街」を参照して頂ければと思います)

 安藤理事長のお話は、今までに2回聞きましたが、その中で印象に強く残っている部分を少し紹介します。上から2番目の画像は、西新道錦会商店街振興組合事務所(上から3番目の画像)の2階で安藤理事長から説明を受けている風景を写したものです。西新道錦会商店街振興組合は、エプロンカード事業、ファックスネット事業、宣伝チラシ、ダンスパーティーなどのイベント、外商、空き店舗貸し出しなど年間40以上の事業を展開しており、その一つ一つの事業が、「独立採算性」「単年度決済」で行われています。一つ一つの事業に白黒がつけられ、常に、“経済性”が追求されています。まさに、一般の民間企業に近いイメージです。そして、毎年、2つの新規事業が立ち上げられ、事業として成り立たないものは消えていく運命にあります。事業の根底には、当り前ですが「消費者主義」が貫かれており、消費者のニーズにマッチした事業が伸びているおり、消費者の支持を得ていると言えます。

 アメリカへ流通業の先進視察に行きますと、これでもかこれでもかという取り組み、試みが多く見られますが、ここ西新道錦会商店街においても、これでもかこれでもかという商魂たくましさが伺え、21世紀に生き残っていく商店街の姿がかいま見られました。西新道錦会商店街の取り組みを見ていましても、カード化事業一つで終わる(満足する)ことなく、次々と新しい発想を取り入れながら、人材を育て、継続的に取り組んで行っているところに今の成功があるように思います。企業で言う“ゴーイング・コンサーン(継続企業体)”をまさに実行している商店街と言えます。

 また、コラム「日本全国における先進地カード事業を考察する」で、商店街カードの取り組みを紹介しておりますので、併せてご覧いただけたらと思います。

By Nagura

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