西新道錦会商店街 (日本・京都)

視察日:1998年9月4日

 西新道錦会商店街は、全国に先駆けて「御用聞きの現代版」の宅配サービスに取り組んだ商店街です。ファックスで商品の注文を受け、無料(宅配サービス)で夕方までに宅配するというものです。現在では、各地の西新道錦会商店街イメージ商店街やコンビニエンスストアのエーエムピーエムなどでも宅配サービスの取り組みを始めています。
 西新道錦会商店街は、京都市中京区の南西部に位置し、節分祭や壬生狂言で有名な壬生寺から西へ500mほど行ったところにあります。京友禅の板場友禅(型染め)の中心的産地であり、職人の町でもあります。また、壬生地域は、江戸末期に活躍した新撰組の屯所があった所です。商店街は、住宅街の中にあり生鮮品や日用雑貨などの最寄り品を扱う店舗が150店ほど軒を連ねています。日々、毎日利用される商店街として地元の人からの支持も高く、綾部の農家と直接契約栽培を行っている低農薬野菜を売り物にする店や季節ものの野菜でがんばっている店などが多く見られます。

 午後3時過ぎに行ったのですが、この日はけっこう蒸し暑かったです。歩いて買い物されている高齢者の方や子ども連れのお母さんなどに混じって自転車に乗って買い物に来られている方がけっこう目につきました。細い路地が広がっており、下町情緒たっぷりで、昔ながらの懐かしい郷愁と人間的な温かみが感じられる商店街です。奥行きが狭く対面販売の商店が多いので、店主とお客さんの距離が近く言葉を交しながらの買い物される風景が見られました。写真を見ていただきますとわかりますが、商店街の通りは幅5〜6メートルほどで、そこに間口4〜5メートルほどの小さな店舗が並んでいます。西新道錦会商店街の北の端は四条通りに面しており、東へ2キロほど行けば京都一の繁華街が広がっています。

 「商店街を生活ネットワークの核に」という意気込みで行われてい西新道錦会商店街イメージる御用聞きサービスのファックスネットは、身障者や高齢者、共働きの家庭などから週に数回、一度に3千円〜4千円程度の注文があるようです。文頭でも述べましたように消費者は無料で御用聞きサービスを受けられますが、手数料として売り上げの5%を店サイドから取り、経費にあてています。西新道錦会商店街の事務局長は「無理なく続けるために収益は必要です。地域を守るのは商店街だ、と認められるようなことを仕掛け、大型店との違いを訴えたい」とある新聞紙上で述べています。
 ファックスがない家庭には、月800円でレンタルで貸し出し、現在約300世帯に貸し出しています。また、ファックスは商品の注文だけでなく、組合事務所のパソコンや病院、金融機関と結んで、買い物情報やO157対策などの生活情報の提供や健康相談なども提供しています。

 各地で行われいる御用聞きサービスは、ここのように消費者の負担はなく、店サイドから徴収しているケース以外に、消費者から利用料金を徴収したり、消費者と店サイドの両方から徴収するケースなどいろいろあります。しかし、システムの構築や維持費、宅配する人件費などを考えますと採算が取れているところはほとんどないように思われます。多くは、県、国などからの補助金で賄う方向性で調整しているところが多いようです。商店街の生き残りをかけて始めた御用聞きサービスの試みは、試行段階を終え、これからが本当の生きたサービスへと変わっていくように思います。そして、いろいろな波及効果が出てくることと思います。「御用聞きサービス」に限らず、商店街ならではの地域に密着した温かみの感じられる取り組みを行っていって欲しいものです。商店街が新たに生まれ変わるチ西新道錦会商店街イメージャンスは到来しています。

 西新道錦会商店街は、御用聞きサービスの「ファックスネット」で全国的によく知られていますが、他にもポイントカードの「エプロンカード」や京都は修学旅行として訪れる多い土地柄ということもあり、修学旅行生の商店街半日体験学習などの取り組みも意欲的に行われいます。

 ポイントカードの「エプロンカード」について少し述べますと、厳しい環境の中、生き残りをかけて、顧客獲得・固定化を目指してポイントカードを導入する商店街が近年増えてきていますが、ここでは92年4月という早い時期に導入しており、もう6年以上続けています。
 ここのエプロンカードの特徴は、普通のポイントカードの他、加盟店で現金を渡せばカードにその金額が記憶されるプリペイド(先払い)型、クレジット・キャッシュカード機能付きなど種類が豊富で多機能型です。そして、他の商店街に比べてポイント率の高さが目につきます。多くの商店街がポイント率1%(100円で1ポイント=1円)程度ですが、エプロンカードは2%で、プリペイドでは倍の4%と他の商店街に比べかなり高い率です。最近、いろいろ出回っている外国の金融商品のハイリスク、ハイリターンではないですが、これだけの高いポイント率を維持していくためには、リスクもかなり考えられ、商店街の団結というか強い信念がないとなかなかできないことのように思います。
 このポイント率の高さに商店街を何とかしていこうという商店主たちの強い思いが感じられます。その思いが消費者にも伝わり、リスクを背負った分、いろいろな形で波及効果でリターンが帰ってくるのでしょう。
 西新道錦会商店街は、今後新たなサービスに対応するために、カードのバージョンアップも進めています。現在のエプロンカードは、ICメモリーカードですが、近い将来のさらなる多機能化に備えて、来年度からは国際規格であるISO(国際標準化機構)基準のカードの導入も決めています。

 京都には、京セラ、オムロン、村田機械などの企業をとってみても、発想豊かで世界的に先駆けて産み出していく力を持った企業が多く見られます。ここ西新道錦会商店街のユニークな発想の取り組みを見ていても、京都ならではの風土が生きているように感じます。
 古きを大事にしながらも、常に新しい営みが行われている街・京都は、何となくロンドン的な趣も感じられます。柔軟思考の西新道錦会商店街の取り組みは、これからも期待が持てると同時に、全国の商店街のお手本、拠り所となっていくことでしょう。

By Nagura

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