名古屋ボストン美術館 (日本・愛知)

視察日:1999年5月7日

 名古屋ボストン美術館は、1999年4月17日に名古屋市金山総合駅前の新高層ビル・金山南ビルの中にオープンしました。名古屋ボストン美術館は、アメリカのボストン美術館との姉妹館形式で、美術館自体とし名古屋ボストン美術館ては所蔵品をまったく持たない新しい形の美術館です。本館・分館という形態では、グッゲンハイム美術館と同館ビルバオ(スペイン)の例がありますが、両者の関係が対等という姉妹館形式は世界初ということです。この世界初の試みは、バブル崩壊をはさんでいろいろあり、苦節7年半の末、ようやくオープンに至っています。

 名古屋ボストン美術館が入っている金山南ビルは、名古屋の新都心・金山地区の再開発の中核として建てられた複合ビルです。建物は地上31階、地下4階、延床面積約6万1100平方メートル、高さ134.5メートルあり、名古屋駅に来年(2000年)4月にオープンするセントラルタワーズ(高さ245メートル)の規模には及びませんが、金山周辺ではひときわ目立つのっぽビルです。金山南ビルには、全日空ホテルズ・ホテルグランコート名古屋、名古屋都市センター、公共駐車場(地下)、そして目玉でもある名古屋ボストン美術館が入っています。金山総合駅には、地下鉄、名鉄、JRが乗り入れており、乗降客も年々増えており、現在では36万人(1日の乗降客数)を数えるほどになってきています。名古屋都市センターの詳細につきましては、コラム「変わりつつある姿が見え始めた名古屋」(1999.5.9)の中で述べておりますのでご参照下さいませ。金山は、2005年に常滑沖(伊勢湾)に開港する中部新国際空港への鉄道アクセスの拠点にもなるだけに、ポテンシャルを秘めた地区でもあります。

 アメリカにあるボストン美術館は、1870年に創立(1876年開館)され、古代から現代に至る約50万点もの所蔵品を持っています。中でも日本をはじめとする東洋美術品の数々は世界第一級レベルと高く評価されています。名古屋ボストン美術館そんな膨大かつ優れたコレクションをアメリカまで行かなくても名古屋で見られるということは、何とも言えない醍醐味だと思います。メトロポリタン美術館、ルーブル美術館、バチカン美術館、シカゴ美術館など数々の著名な美術館は、所蔵品を数多く抱えており、展示品をローテーションするにしてもかなり長く眠っている所蔵品も多く存在します。そういう点から考えますと、今回の名古屋ボストン美術館の試みは、所蔵品の有効活用が図れるとともに、多くの人に本物の感動の機会が提供できる点が特に大きいと思います。今後、日本のみならず世界的にもこのような姉妹館形式の美術館が増えていくかも知れません。

 一番上の画像は、名古屋ボストン美術館の入り口部分を写したものです。画像の中で見られるガス灯は、アメリカのボストン美術館周辺にあるガス灯をイメージして設置されたものです。ビル前の市道には26基のガス灯が設置されており、“ボストン通り”という通称もつけられています。夕闇せまりガス灯に火がともる頃は、さぞかし趣が感じられることと思います。上から2番目の画像は、全日空ホテルズ・ホテルグランコート名古屋に通じるインターコモン(屋内公開空地)部分を写したものです。名古屋ボストン美術館に入場する人たちの行列の様子が伺えると思います。金曜日の11時頃に行ったのですが、行列が出来ていたので、先に名古屋都市センターを見てから、昼時の12時半頃に行った時は、けっこうすんなり入ることが出来ました。平日というあり、圧倒的に女性が多く、3階の入り口部分にあるミュージアム・ショップでは、グッズを買い求められる人で込み合っていました。

名古屋ボストン美術館 ここで、少し現在行われている展示内容と姉妹館の形態を紹介します。アメリカのボストン美術館と名古屋ボストン美術館の姉妹館契約期間は20年間で、名古屋ボストン美術館側は作品を借り受ける代わりに、総額5千万ドルをアメリカのボストン美術館に寄付します。そして、契約が切れる3年前に協議して、再契約をして事業を継続するかどうか決めることになっています。名古屋ボストン美術館では、今後20年間にわたって、年2回の企画展と5年ごとに入れ替わる常設展でアメリカのボストン美術館の所蔵品を紹介していくことになります。ですから、年2回、20年間で計40回行けば、展示内容をすべて見ることができるというわけです。現在行われている企画展は「モネ、ルノワールと印象派の風景」、常設展は「エジプト・ギリシャ・ローマ古代地中海世界の美術」です。
 企画展の「モネ、ルノワールと印象派の風景」は、19世紀のフランス絵画が60点余り紹介されており、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、コロー、ミレーらの代表的な印象派画家の作品が紹介されています。印象派の絵画は、明るいタッチで太陽の光のもとやわらかい開放感がありますので、多くの人に受け入れられると思います。パンフレット、入場券には、モネの「積藁、日没」が印刷されていますが、本物を前にしますと、沈んでいく太陽の光がやわらかく積藁を包みこんでおり、繊細な色づかいと鮮やかさには目を奪われます。
 常設展の「エジプト・ギリシャ・ローマ古代地中海世界の美術」は、企画展とはがらっと雰囲気が変わり、古代文明のかおりが漂っており、石碑、土器、彫刻、ミイラの木棺などが200点以上展示されています。紀元前2000年〜3000年という時代にこのようなものがつくられたのかと見ていくだけでも古代へのロマンが感じられます。上から3番目の画像は、美術館の入り口に上がるエスカレーターから見えるアメリカのボストン美術館の石柱をモチーフにしたモニュメントを写したものです。

春日井サティー 余談になりますが、少し足を伸ばして1999年3月末にオープンした春日井サティを見てきました。金山からですと30分ほどで行けます。中央線のJR勝川駅(金山から約15分)で下車して10分ほど歩きますと着きます。規模、店舗イメージは、視察レポートで紹介してあります「豊川サティ」とほぼ似ています。テーマレストランのギャオもありますし、ボーリング、ゲームなどのアミューズメント施設もあります。店内レイアウトは「子供の街」「婦人の街」「紳士の街」「食品の街」などとテーマごとに別れており、広々としていて見やすいです。上から4番目の画像は、「子供の街」の中にある遊び場を写したものです。特に子供向けの商品、アミューズメント施設が充実しているのが目につきました。また、正面入り口の左手一等地には、大垣共立銀行のインストアブランチ(店内店舗)があります。ここのインストアブランチは、一般公募から選ばれた主婦が店長をやっており、行った日は利用客でけっこう込み合っていました。

 今回、名古屋ボストン美術館を見てきましたが、絵画は、近くで見たり少し離れて見たりすると趣、感じ方も違ってきますので、なるべく空いた時に行きたいものです。ちなみに企画展の「モネ、ルノワールと印象派の風景」は1999年9月26日までです。お近くの方、また遠くの方でも名古屋にお越しの際は、一度覗かれてみてはいかがでしょうか。

By Nagura

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