学生たちが商店街で活躍する
瀬戸市中心市街地を訪ねて 
(日本・愛知)

視察日:2002年2月1日

 学生たちが商店街で活躍する瀬戸市(人口約12.9万人)中心市街地商店街を訪ねて参りました。前回は、2年銀座商店街半ほど前(1999年8月)に視察レポート上で瀬戸市を紹介しましたが、今回は、前回見られなかった動きである“商店街で活躍する学生たちのパワー”に焦点を当てて訪ねて参りました。前回の視察レポートと併せてお読み頂きますと、瀬戸の歴史とともに、瀬戸のまちづくりが着実に進んでる様子が伺えることと思います。

 先日、瀬戸市長の平成14年度予算の大綱が発表されました。その文面の中から少しまちづくり関係のコメントを拾い出してみますと、「国際博覧会の開催まで残り3年、本市にとって、この博覧会を成功に導くことはもとより、21世紀におけるまちづくりの展開のなかで、成果をどう活かしていくかが極めて重要な課題である」とまちづくりの方向性なる考え方を述べた後、具体的な事業として、「博覧会の開催効果をまちづくりにつなげる“せと・まるっとミュージアム”を平成14年度はより一歩踏み込んだ事業とする」「核となるものとして、(仮称)産業・市民センターの建設と尾張瀬戸駅地区開発の二つのプロジェクトを積極的に推進する」「プロムナード線関連道路、街並み環境整備、陶の路など、ハード、ソフト両面にわたる総合的なまちづくりを展開する」などが挙げられています。

 上記の平成14年度予算の大綱の中で出てきました“せと・まるっとミュージアム”とは、瀬戸市域全体を美術館・博物館に見立てた魅力あるまちづくりを進める言わばまちづくり運動です。平成13年度には、先駆けて「シンボルマーク募集事業」「街角ギャラリー募集事業」「あなたが選ぶ瀬戸100景募集事業」が行われています。シンボルマークは、全国各地から367人(674作品)の応募があり、富山県在住のグラフィックデザイナーの方が大賞に選ばれています。赤い丸が印象的なデザ銀座茶屋インとなっています。街角ギャラリーは、第一回目として、やきもの工房、学校、書店など58件が登録されています。あなたが選ぶ瀬戸100景も第一回目の瀬戸100景を選考する組織を瀬戸市在住の方にこだわらず瀬戸市が好きな方から広く応募し“ひゃっけい隊”を立ち上げ、まち歩き、まちの催しの活用、観光案内にも使える地図づくりなど企画段階から話し合いを進めてきています。

 少し前置きが長くなってしまいましたが、次に、今回のメインである学生たちが活躍している中心市街地商店街を見ていきます。活動の主体となっているのが、地元瀬戸市にある名古屋学院大学のまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」と学生たちの有志です。人コミュ倶楽部の特徴は、名古屋学院大学の学生グループと教員グループの共同組織という点です。活動としては、瀬戸を中心にまちづくりや福祉ボランティア活動を行っています。“人コミュ”とは、人(ひと)コミュニケーションの略語で、人と人との出会いや交流によって、新しい自分、新しい価値が生まれるという意味合いを持っています。

 まちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の発足を少し紐解きますと、学生達が瀬戸のまちなかで、踊りを中心に商店街の活性化やまちづくりに積極的に参加するようになったのが始まりです。学生たちは、ただ単に踊りを楽しむだけが目的ではなく、踊りを通じてまちの人々と交流し、まちを活性化していくことに協力したいという熱い思いがありました。一方、教育者であり研究者でもある先生方も、地域にもっと明確な形で貢献する必要性を感じており、さらに学生の創造性や実践的な能力を伸ばす生きた教育として商店街の活用を探っていました人コミュ倶楽部。学生と教員の目指す方向性がマッチしていたこともあり、教員の有志が学生たちの活動に呼応する形で、設立に至りました。

 少し、余談ですが、先日、「まちづくりにおける大学の役割を考える」というシンポジウムに参加してきましたが、その中で三重大学教授であり三重環境県民会議代表(NPO組織)でもある朴恵淑氏の言葉が思い出されました。朴恵淑氏の言葉を紹介しますと、「教員の役割として、教育と研究という二つがクローズアップされがちであるが、私は、教育3分の1、研究3分の1、社会への役割3分の1と認識しており、そういう考えで私自身行動している」という主旨の発言でした。今回の名古屋学院大学の先生方も、教育、研究という面に加え、社会への役割という思いが伺え、瀬戸の中心市街地活性化にとって心強い支えになっていることと思います。シンポジウム「まちづくりにおける大学の役割を考える」については、コラムにて紹介しておりますので、合わせてご覧下さいませ。

 それでは、次に商店街における具体的な活動を見ていきます。TMO組織である瀬戸まちづくり株式会社における空き店舗対策事業の一つとして、中心市街地の銀座通商店街の中にまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の事務所を昨年(2001年)4月14日に構えています。また、同じ日に、商店街の有志と学生たちが一緒になってお休み処“銀座茶屋”も銀座通商店街の中にオープンし、初代店長には、学生の名古屋学院大学の田口さんがなっています。彼女は、現在4年生で今年卒業であり、次期店長には2年生の鈴木君への引き継ぎが決まっています。学生たちの商店街活動と言いますと、まだまだ短期的な一時的なものと受け止められがちですが、このような形で、後輩に引き継ぎ、継続されていくことは素晴らしいことと思います。

 ここで、“銀座茶屋”およびまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の事務所の場所を画像で紹介していきます。まず、銀座通商店街は、尾張瀬戸駅(名鉄瀬戸線)から学生の討議風景、東の方角に歩いて数分のところにあります。一番上の画像は、銀座通商店街を写したものです。アーケードがかかっており昔ながらの雰囲気が漂うノスタルジーが感じられるのではないでしょうか。上から2番目の画像は、お休み処“銀座茶屋”の入り口部分を写したものです。“銀座茶屋”は、昭和の初めに建てられた空き店舗を改装したもので、店内に入るともっと趣きがあり落ち着いた空間が広がっています。店内では、喫茶はじめ、焼き立てのお好み焼き、握り立てのおにぎり、手作りところ天、手作りういろなど手作りにこだわったメニューがそろっています。また、季節メニューは、学生たちの創作的な料理もあり、地元の人達にとって楽しみになっているようです。上から3番目の画像は、まちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の事務所を写したものです。画像を見て頂きますとわかりますが、事務所の隣の隣が先ほどの“銀座茶屋”です。隣の自転車が置いてある空き店舗になっているところがありますが、この空間は後ほど紹介しますので記憶にとどめておいて下さい。

 その他、商店街におけるまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の活動として、商店街においてまちづくり研究入門などの名古屋学院大学の公開授業、学生主催による英会話、パソコン教室など事務所を活用して行われています。また、昨年(2001年)11月から月1回「“楽”生(がくせい)の日」として、銀座茶屋を学生中心に運営したり、特別メニュー「楽生ランチ」を提供したりしています。関連イベントとして、まちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の事務所を活用して、バルーンアートなど子供向けイベント、ミニFM局「人コミュFM」を商店街内で公開放送スタイルをとるなど商店街の賑わいに貢献しています。

 先ほどの銀座茶屋の初代店長として1年間活躍(御苦労)された田口さんにお話を伺いましたので少し記載します。まず、店長として切り盛りされて“学生を信頼して下さる商店街の方々と良いスタッフに恵まれ、そのような方々との関わりがあったからこそ、がんばれた”という主旨の言葉が聞かれ、田口さんの明るい人柄もあるでしょうが、如何に人との信頼関係を大切にしてきたかが伺え、これから社会に巣立っていくにあたって、本当に良い経験をされたと思いました。後輩の店長に贈る言葉として伺ったところ“お客さんを迎えるにはスタッフの雰囲気が大切であり明るいお店づくりを心掛けてきました”“食べ物を提供するだけのお店はどこでもありますが、お客さまとのコミュニケーション、気づかいの心を大切にしてきました。たったひと言で本当に喜んでもらえます”“今、このお店を気に入って下さって、いつも顔を出してくれるお客さまがたくさんいます”などの言葉が聞かれました。また、最後に、多くの後輩たちに向けて“もっともっと多くの学生が、アイデアあふれる案を出し合い、もちろん地元の方々の意見も取り入れ「みんなのお店」になっていって欲しいです。他のお店とも協力し合い、瀬戸のまちづくりの拠点となることが可能と思います”とおっしゃっていました。次期店長の鈴木君是非、良き伝統を引き継いでさらにがんばってもらいたいとともに、まちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の後輩のメンバーの方々も積極的に関わっていって欲しいと思います。きっと、自分たちが想像する以上の考えてもみなかった成果(宝物)が得られることと思います。

 最後に、最新情報をお伝えします。先ほどの銀座茶屋と人コミュ倶楽部の間にある空き店舗を改装して、2002年3月9日(土)に名古屋学院大学の学生の有志が運営する名古屋学院大学「学生の店」がオープンします。このお店では、瀬戸商工会議所が主催する「瀬戸みやげ推奨品制度」で認定された瀬戸のお土産品が販売されます。店頭販売とともに、インターネット上でも販売されるいわゆる“クリック&モルタル”です。このお店の役割は、学生の柔軟なアイデアで商品を販売していき同時に彼ら自身も経営について学ぶとともに、商店街における学生とお客様はじめ商店街の方々との交流、学生と商品を提供する事業者との交流などからさらに新たな展開が生まれていくことが期待されています。「学生の運営による学生の店」として第一歩を踏み出す彼らの取り組みに期待したいものです。上から4番目の画像は、「学生の店」立ち上げに向けて、学生たちが夜遅くまで議論を交わしている様子を写したものです。

 お近くの方、瀬戸へ観光などで行かれる方がございましたら、尾張瀬戸駅から数分の銀座商店街の名古屋学院大学・学生の店を覗いて、学生たちを見て頂き、瀬戸の銘菓や陶磁器などをお土産でお買い上げ頂ければと思います。また、遠くでなかなか店頭まで行けない方は、インターネット上のバーチャルモールを覗いていただけましたらと思います。(店頭は、週末の土曜日、日曜日営業、ネットは常時お買い求めできます)補足:バーチャルモールは、shoplus(ショップラス)の中でオープンする予定です。オープンの3月9日以降にまた機会をみつけて、学生の店のURL等を紹介いたします)また、今回紹介しましたまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」、「瀬戸みやげ推奨品のおみやげガイド」は、当ホームページのリンク集からリンクされていますので、ご興味のございます方は、覗いてみていただけましたらと思います。

 今回、学生が商店街で活躍する瀬戸市中心市街地を訪ねるにあたりまして、まちづくりNPO「人コミュ倶楽部」の水野先生(経済学部助教授)、古橋君(大学院生)、銀座茶屋の(初代)店長の田口さん、そしてまちづくりNPO「人コミュ倶楽部」のメンバーの方々にお世話になりました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

追記(2002.9.2)上記の学生の店は、2002年9月7日にリニューアルオープンして、店舗面積を拡大して、雑貨に加えカフェが併設されました。新店舗名は「CAFE&ZACCA “Mile Post”」(カフェ&雑貨「マイルポスト」です。

追記(2005.4.6)
 瀬戸の視察レポート追加しました。併せてご覧頂けましたらと思います。
愛・地球博開催で変わりゆく瀬戸を訪ねて(2005年2月19日&3月30日)

By Nagura

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