奈良市を訪ねて (日本・奈良)

視察日:1999年10月7日

 奈良県奈良市(人口:約36.2万人)を訪ねて参りました。数十年ぶりに行きました。京都〜奈良というコースは奈良町物語館、観光や修学旅行などで、皆さんも一度は行かれたことがあるのではないでしょうか。国内における有数の観光地の一つでもあります。奈良市街地のスポットだけでも、鹿のいる奈良公園、大仏さんのある東大寺、猿沢池から望む興福寺の五重塔、春日大社、若草山などが挙げられます。

 最近は、海外やテーマパークなどに修学旅行に行かれる学校が多くなっていますが、それでも97年度の修学旅行見学先ベスト10を見てみますと、4位法隆寺、5位奈良公園、6位薬師寺と奈良県が3つも入っています。ちなみに、1位は東京ディズニーランド(千葉)、2位清水寺(京都)、3位ハウステンボス(長崎)となっています。また、環境学習、農業体験、企業見学など“体験学習”型へと変わってきているそうです。私自身(愛知県の学校)、過去の記憶を紐といてみますと、確か、小学校が京都・奈良、中学校が東京・日光、高校は、今、流行りの体験学習ともいうべき、鳥取県の大山の麓へ農業体験と岡山のホテルでテーブルマナーを行った記憶が残っています。高校時代と言っても今から数十年以上前ですから、その当時はあまりピンときませんでしたが、画期的だったとも言えます。

 奈良を訪れた日は、午後から京都で用事が入っており、2時間ほどしか滞在できませんでしたが、効率よく奈良市内を巡ってきました。ポイントとしては、多くの方がご存じのメジャーな観光スポットは通り過ぎる程度で、これからスポットがあたりそうな場所、新しい奈良の風景などを見てきました。

 一番上の画像は、江戸時代の末頃から明治時代にかけての町家のJR奈良駅面影を今に伝える“ならまち”にある「奈良町物語館」の外観を写したものです。行政地名としての奈良町という場所はありませんが、猿沢池の南に広がる一帯(約60ヘクタール、58町、人口5,623人、世帯数2,257世帯、高齢化率20%:1990年データ)が「ならまち」と呼ばれています。この一帯は、もともと大半が元興寺の境内であったとも言われています。江戸時代には、奈良の産業の奈良晒(さらして白くした綿布または麻布)、奈良筆、墨などが盛んで、ならまちには、格子戸の長屋や町家、商家が当時の面影を残しつつ今も軒を並べています。

 「ならまち」のことを知ったのは、ここへ来る4日ほど前に岐阜県で行われましたまちづくり交流フォーラムにいらっしゃっていた奈良まちづくりセンターの前理事長(NPO政策研究所代表幹事)の木原氏が奈良町のまちづくりについて話されていたからです。ならまちの地域保存・再生におけるまちづくりには、10の民間団体と奈良市はじめ3つの行政関係機関が関わっています。木原氏が言うには、混沌とした状態を維持しながら、行政はじめそれぞれの活動主体と協働関係の構築をすすめてきたことが良い結果につながっているとおっしゃっていました。先ほどの「奈良町物語館」が、まちづくりの活動拠点、交流サロン、町家生活文化の発信基地となっています。ならまちの町並みをゆっくりと歩いてきましたが、奈良市の中心部と思えない風情が感じられました。また、無料で入れる昔ながらの建物も多かったです。
 上から2番目の画像は、JR奈良駅を写したものです。宇治の平等院鳳凰堂を模してつくられたそうです。

 次に、話はがらりと変わりますが、奈良市ハイタッチリサーチパークの商業状況を見ていきますと、人口約36万を抱える都市にしては、大型スーパーなどがあまり多くありません。どこを掘っても遺跡が出てきて、開発がスムーズに進まないという点もあると思いますが・・・。中でも、奈良市の商業施設として一番人気(集客の高い)のある「奈良ファミリー」を見てきました。ここは、近鉄百貨店とジャスコの二つを核店舗として、その他各種専門店が入った複合商業施設です。よく見られる郊外型の低層ではなく、近鉄西大寺駅に隣接している高層(地下1階〜地上6階)の都市型です。しかし、駐車場は2,000台とかなりのスペースがあり、車で買い物に来られる方の多さも伺えます。イメージ的には、JR下関駅に隣接している“シーモール下関”に似ています。しかし、奈良ファミリーは、アミューズメント機能は弱いです。ちなみに、シーモール下関は、大丸百貨店とダイエーの二つの核店舗に専門店が入っています。それに加え、たしか、セガワールドだったと思いますが、アミューズメント機能も入っています。

 最後に、新しい奈良の展望が見えたというか私自身の古都・奈良というイメージを変えさせた場所を紹介します。そこは、奈良市の郊外に広がっている関西文化学術研究都市です。21世紀に向け、文化、学術、産業の拠点を目指す未来型都市といったところです。京都、奈良、大阪に及ぶ広大なエリアに建設が進められており、すでに研究施設や企業、ホテルなども始動しているところもあります。上から3番目の画像は、曇っていたこともあり、画像が少し暗いですが、「21世紀のライフスタイルの創造」をテーマに、異業種企業13社が集まった研究活動をするハイタッチ・リサーチパークを写したものです。また、2002年度には、国立国会図書館関西館(仮称)も開館されます。この“、国立国会図書館関西館”が今後の奈良の発展のためのキーワードになっていくような感じがいたします。図書館が充実している街は、文化的にも豊かになり、多くの歴史的な文化遺産をかかえる奈良には、もってこいのような感じがいたします。また、最近は図書館の充実した街に住みたいという声も高くなっているだけに、これからの成長ぶりが楽しみな地域です。

 今回、久しぶりに奈良に行くにあたって、昔の記憶を呼び戻しながら奈良のイメージを思い起こしましたが、実際に行ってみて、裏切られることなく、奈良という雰囲気が十分感じられました。特に、奈良市の中心市街地近くに広がっている豊かな緑は、見ているだけで本当に気持ちが良いです。今回、時間がなく、散策できませんでしたが、これからの季節、散策するのには、もってこいでしょう。奈良には、世界遺産、文化遺産、各種史跡などが数多くありますが、都市部における緑の多さも、大きな財産だと思います。私もそうでしたが、小学生が修学旅行で奈良を訪れて印象に残っているのは、文化的な遺産よりも、若草山や奈良公園の緑というかイメージ・雰囲気が鮮明に記憶に残っているのではないでしょうか。もちろん、まくら投げなどはもっと鮮明でしょうが・・・。
 他の都市ではあまり見られない奈良市ならではの、この市街地における豊かな緑の風景は、これからも変わることなくあって欲しいものです。また、今回、新しい奈良の一面が見られましたが、“文化”というキーワードで昔ながらのものとつながっているように思います。奈良県の場合、文化遺産の保護と開発という面のジレンマは常につきまとうことと思いますが、グローバルな視点からバランスよく進めていって欲しいものです。日本の宝であるとともに、世界の宝でもありますから・・・。

 今回は、時間があまりなく慌ただしく、メジャーな観光スポットには行けませんでしたが、次に行くときは、昔ながらの修学旅行のコースを改めて巡ってみたいと思っております。皆様方も古都の奈良と新しい奈良を見に行かれては、いかがでしょうか。

 今回、奈良市を訪ねるにあたりまして、以前にホームページをご覧頂きお便りいただきました奈良市在住の米田さんと米田さんが勤められている会社の社長の川井様にご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。短い滞在時間だったのにも関わらず、効率よく数多くのスポットをご案内いただきまして、たいへん感謝しております。

By Nagura

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