東京の沖縄タウン”和泉明店街“&
“街のコンシェルジェ”中延商店街を訪ねて
(日本・東京)

レポート記載日:2008年9月9日(視察日:2007年10月30日)

 東京都杉並区にある和泉明店街と東京都品川区にある中延商店街の両商店街を商工会議所と商工会の経営沖縄タウン指導員の方々と一緒に視察してきました。まず、和泉明店街から紹介していきます。和泉明店街は、時代とともに店舗数が減少していく中、存続の危機に立たされていました。そんな時に起死回生として行ったのが、沖縄をテーマにした取り組みで、今や「沖縄タウン」として商店街の再生を図っています。

 沖縄タウンとして再生を図った商店街の役員の方7名にお会いするとともに、商店街再生に駆ける熱い思いを伺ってきました。まさに、7人の侍といった感じです。本題の沖縄タウンの取り組みの紹介に入る前に、まず、立地的なところを紹介していきます。和泉明店街は、京王線の代田橋から甲州街道方面に歩いて3分ほどのところにあります。甲州街道を渡ったところに、ゲートがあり、沖縄タウンと書かれた大幕が掲げられていました。和泉明店街は、よく東京にあるようないい感じの道幅で歩くのに適した路地風で、近隣の方が利用する商店街というイメージです。商店街の大きさも歩くのに、ほど良い店舗配置で、隅から隅まで歩いても400メートルほどくらいです。古き良き懐かしさが感じられる商店街です。

 それでは、商店街の7人の侍の方々から伺ってきました熱い思いを紹介していきます。きっかけは、冒頭で述べたように、全国どこの商店街でも同じように寂しくなっていく商店街を何とかしたいといった思いからです。商店街や地域の活性化でよく言われるのが、地域の歴史や文化などその地域の持っている良さを生かすことですが、和泉明店街の場合、この地域には何も資源はないというところからアイデア出しが始まったということです。

 ですから、もしかしたら「沖縄タウン」でなく、北海道タウン、九州タウン、京都タウン、鹿児島タウンなどもあったわけです。実際に、北海道か沖縄タウンら沖縄までいろいろな地域を調べたそうです。その中で、沖縄がぴったりきたそうです。和泉明店街にはいろいろな業種のお店がありますから、沖縄の幅広い商品群の魅力によって、いろいろなお店が参加できるというところが大きな決め手だったようです。少し沖縄の商品を挙げてみますと、ゴーヤ、海ぶどう、石垣牛、沖縄そば(ソーキそば)、ウコン茶、泡盛などの飲食関係、シーサ、琉球ガラスなどの雑貨はじめ、沖縄三味線、沖縄衣料、沖縄の自然水や自然水を使った化粧品など出てきます。商店街挙げて沖縄タウンとして再生を図っていくために、一緒にやっていく仲間を増やしていくためにも、多岐にわたる業種で扱える豊富な沖縄の商品の品揃えは魅力的だったようです。

 次にどんなお店があるか紹介していきます。一番上の画像に映ってるお店は、「沖縄家庭料理 たきどぅん」です。竹富島出身のオーナーが沖縄の家庭料理を提供しています。ここで、商店街の方々からお話を聞くとともに、食事もご一緒にさせていただきました。沖縄の味を堪能してきました。

 上から2番目の画像に映っているお店は八百屋さんで、沖縄の商品関係では、沖縄直送の生きている海ぶどうを水槽で管理して販売しています。その他、季節に応じた沖縄の新鮮な野菜も扱っています。上から3番目の画像は、おきなわすば専門店の首里製麺を写したものです。その他、沖縄の物産を扱ったお店や沖縄県産の三味線の専門店などもあります。

 最後に、うまく言っているキーワードとも思える組織について触れたいと思います。ベースには商店街の再生に動沖縄タウンき始めた7名の商店主の熱い思いがまずありますが、沖縄タウンの取り組みをしていくにあたって、テナント事業や沖縄物産品卸売業等を経営する「株式会社 沖縄タウン」を立ち上げたことです。その背景には、和泉明店街は振興組合ではなく、法人格のない任意団体ということもあり、事業計画及び予算も単年度計画で、役員任期も1年で、中長期計画ができない状況だったこともあります。

 なかなか、商店街組織というのは、皆が同じ方向を向いてやっていくには、かなりの労力もかかるので、株式会社沖縄タウンを立ち上げ、直営のテナントや卸売りを担って、和泉明店街という組織とうまく棲み分けをしながら、一心同体でやっているところが一番の強みかなと感じました。あと、話を聞いてきてうらやましいなあと思ったのが、沖縄大好きのメンバーがボランティアで「沖縄タウン応援団」を結成して、商店街だけでなく、周りのファンをうまく取り込んでやっている点です。

 次に、東京都品川区の中延商店街を紹介していきます。中延商店街は、東急池上線「荏原中延」駅から東急大井町線・都営浅草線「中延」駅に伸びる約330メートルの商店街です。上から4番目の画像は、中延商店街を写したもので、ご覧いただけるようにアーケードがあり、地域密着型の商店街といった感じです。中延商店街へは、「街のコンシェルジェ」の取り組みを中心に視察に行きました。中延商店街では、商店街の副理事長さんとNPOバリアフリー協会の理事長さんにお話いただくとともに、意見交換して参りました。

 中延商店街は、商店街とNPOがうまく連携しながら、商店街の活性化のみならず、まち・地域の活性化にもつながっている点に感心した次第です中延商店街。まず、「街のコンシェルジェ」とは、どのようなものかを紹介していきます。街のコンシェルジェは、高齢世帯の困りごとを有償ボランティアが支援するNPO事業です。コンシェルジェとは、正式には「コンシェルジュ」ですが、中延商店街では、「コンシェルジェ」の方が呼びやすいということでそのように呼んでいるそうです。コンシェルジュは、よくホテルの職名として使われており、宿泊客のあらゆる要望、案内に対応する「総合世話係」「よろず相談承り係」というような職務を担う人のことです。

 街のコンシェルジェでは、様々な高齢世帯の困りごとをしていますが、少し挙げてみますと「家事支援(掃除や洗濯)」「軽修理(電球・パッキン取替からエアコン掃除)」「庭木の剪定」「パソコン指導や簡単料理教室」「送迎サービス」などしています。次に、仕組みを少し紹介します。まず、利用する側は、年会費1,000円(2008.9.9時点)で会員になる必要があります。そして、有償ボランティアですので、依頼した仕事の時間に応じて、時間あたり800円(2008.9.9時点)で現金ではなく事前に購入したクーポン券(1枚800円相当のクーポン券:2008.9.9時点)で支払います。いわゆる地域通貨のような感じです。

 仕事を受ける側の「コンシェルジェ」は、仕事時間に応じて、クーポン券を受け取るわけです。そして、そのクーポン券は、月に1回、商店街でお買い物として使える商品券に交換することができます。コミュニティビジネス(地域ビジネス)のような感じで、地域で困っていることを地域の方々が「街のコンシェルジェ」として活躍して、その報酬としてのクーポン券は、商品券に交換でき、商店街での消費につながり、地域の活性化とともに、商店街の活性中延商店街化にもつながっていくという流れです。また、地域という限定したエリアということで出張費は一切とっていません。有償ボランティアによる安心価格で提供しています。

 上から5番目の画像は、商店街のアーケード内にある「街のコンシェルジェ」を受け付ける事務所と商店街の交流施設の「街中サロン」を写したものです。「街中サロン」では、クーポン券が使える「パソコン教室」「料理教室」「書道教室」「絵画教室」なども行われています。最後にお伺いしましたお二人のお話や意見交換の中で、印象に残っている言葉を紹介します。

 まず、商店街の副理事長さんの印象に残っている言葉を少し紹介します。「個店がよくならないと商店街がよくならない」「商店街は俺らが守るしかないと思っている。そして、後輩につなげていく」「まちをにぎやかにしておけば、店をやめる人がいても、すぐに次の人が入ってくる」「組合員は遊び好きが多い。街の元気は、遊びが基本です」などです。

 次に、NPOバリアフリー協会の理事長さんの印象に残っている言葉を少し紹介します。「まちのコンシェルジェとまちなかサロン(学習教室)は車の両輪だ」「まちのコンシェルジェとして活動することで、血糖値が下がった人がいる。活動することで元気になっている」「商店街に同じ業種が2店あってもいい。競争があるからサービスの進化が始まる」などです。

 商店街の再生、活性化に向けて、商店主自らが汗をかいて頑張っている姿には、本当に頭が下がりました。全国の元気がなくなっている商店街が和泉明店街と中延商店街の商店主の心意気を感じて、是非、それぞれのまち・商店街で頑張って欲しいと思っています。そのような観点から和泉明店街と中延商店街に皆さんも訪ねられてはいかがでしょうか。

By Nagura

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