学生たちが商店街で活躍する
守口市中心市街地を訪ねて 
(日本・大阪)

2003年2月7日

 大阪府守口市(人口約15万2千人)を訪ねて参りました。守口市へは、日本商工会議所主催の第9回地域振興セミララはしば商店街ナー「にぎわい創出に学生の知恵」で行ってきました。セミナーは2日間にわたり、2日目が守口市で、1日目が兵庫県三田市の商店街で活躍する関西学院大学の学生たちの様子を視察してきました。

 中心市街地商店街と学生(大学)たちの取り組みは、今や全国各地で行われていますが、商店街側には、空き店舗が増えて衰退化する中心市街地商店街の活性化の何らかのきっかけにしたいという思いがあり、逆に大学側も18歳人口が減少するなか、大学の生き残りをかけて、“地域貢献”を通して、地域に根ざした大学を打ち出していこうという意味合いがあります。商店街と大学の両者の歩み寄りは、時代背景を色濃く映しているとも言えます。

 兵庫県三田市の商店街で活躍する関西学院大学の学生たちの取り組みで紹介しました関西学院大学の片寄教授は、「いま、日本でダメなのは“大学”と“商店街”。これが手を組むと意外に面白いコトが始まる」とおっしゃっています。言うだけではなく実行力がともなっている片寄先生だけになかなか説得力がある言葉です。また、片寄先生の持論で実践していることが「商店街は学びのキャンパス」という考え方です。毎日が勝負の百戦錬磨の商業者たち、そして、お客様との対応の懐の深さなど商店街には、驚くべき教育力があると言っています。この商店街の驚くべき教育力に、商店街の方々はまだまだ灯台下暗しで自分たちの魅力に気づいていない面もあるように思います。私自身も仕事で商店街とここ5年ほど付き合っていますが、さまざまな人間模様があるだけに、学生たちにとって本当に生きた実践の場としてうってつけと思って多趣多彩店内います。自治体などがCMや映画の撮影場所を提供するフィルムコミッションという言葉がありますが、商店街が大学(学生)向けに学びの場を提供するカレッジコミッションなるものができないかなあと私自身はアイデアを温めています。どこかの商店街で実践できたらと考えています。商店街の次なる収益源の柱として、“カレッジコミッション”や“コミュニティビジネス”はキーワードではないかと考えています。

 学生(大学)たちと商店街との連携には、大きく分けて、政策系の連携と事業系の連携が見られます。政策系の連携は、バリアフリーのまちづくり、子育てのまちづくりなどまちづくりのあり方を商店街の方々と議論していくなかで連携していく形で、事例として、岐阜県大垣市の岐阜経済大学兵庫県三田市の関西学院大学、群馬県高崎市の高崎経済大学、愛知県豊橋市の豊橋技術科学大学などが挙げられます。事業系の連携は、直接的に商店街のなかで商売を行うことで連携していく形で、愛知県瀬戸市の名古屋学院大学や今回紹介する守口市の大阪国際大学などが挙げられます。

 だいぶ前置きが長くなりましたが、大阪国際大学の女子学生(補足:大阪国際大学は現在は共学であるが以前は女子大であり、今回運営している4年生は共学になる前に入学した学生で全員が女性です)たちが運営しているお店(ショップ)を紹介します。守口市にある“ララはしば商店街”の空き店舗を活用して、昨年(2002年)10月にオープンしたお店で、大阪国際大学・人間科学部の縄田先生のゼミの一環として、ゼミ生の学生たちが運営しています。定休日は、月曜日の週1日で、営業時間は10時30分から19時まで営業しています。

 お店の名前は「多趣多彩」です。お店のコンセプ多趣多彩外観トには、「委託販売形式のボックス型フリーマーケット」「商店街の個店のアンテナショップ」「学生がショップ経営を学ぶ場」という3つが挙げられています。画像の紹介をしますと、一番上の画像が、“ララはしば商店街”の雰囲気を写したものです。上から3番目の画像が、お店の「多趣多彩」の入り口部分を写したものです。そして、上から2番目と4番目の画像が、「多趣多彩」の店内を写したものです。店舗面積は、20坪弱でスペースの内装工事や看板作成などすべて学生たちが手作業で進めたとのことです。

 商品の販売手法の特徴を説明する前に、お店そのものの経営の特徴を紹介します。上記のコンセプトの一つに「学生がショップ経営を学ぶ場」と挙げられているように、店長を一人に特定せずに、すべての学生がローテーションで店長を務めることで、ショップ経営の基礎を学んでいきます。のちほど、今、けっこう流行っている「委託販売形式のボックス型フリーマーケット」を紹介しますが、学生ひとりひとりも、各自ボックスを持っています。縄田先生の机上の空論ではない、より実践的な力を養う(ビジネスの実体験)場を提供したいという思いが出ています。

 「多趣多彩」のマーケットとしては、商店街の各個店が定番商品を販売するのに対し、バラエティに富んだ商品を狙っており、ターゲットとする顧客層も、商店街の各個店に比べ幅広く設定しています。また、お客様の買い物の仕方として、ボックスマーケット商店街の各個店が目的買いが多いなか、見る楽しさ、掘り出す楽しさを提供しようとしています。

 それでは、販売手法である「委託販売形式のボックス型フリーマーケット」と「商店街の個店のアンテナショップ」をみていきます。委託販売形式のボックス型フリーマーケットとは、上から4番目の画像に見られるように、ロッカーサイズの棚を月額数千円で貸し出すものです。画像の棚をみますと、小物や本や酒などが並んでいるのがご覧頂けると思います。ボックスのオーナーは、好きな物を好きな価格で置くことができ、基本的には「何でもあり」の雑貨店のような感じになります。個を大切にした商売とも言えます。「多趣多彩」の店頭には、ボックス待ちの人数が掲示されており、視察時点でもかなり待ちの人が出ていました。それだけ人気のあることを表しています。

 「多趣多彩」のボックスが人気のように、最近このボックスが流行っています。東京・下北沢に昨年(2002年10月)開店した「風呂敷」では、住居を改造した空間に220個の箱がカイコ棚のように並んでいます。メインの箱は、1辺32センチで、レンタル料は月額3000円です。ボックスの借り手は、学生や会社員からデザイン事務所勤めのプロまで幅広く、中には11歳の店主もいるようです。また、小箱ショップの先がけとなった東京・恵比須のホビー店「ミスタークラフト」が2000年に同店5階に開いたマイショップには、375区画の箱が整然と居並んでいます。1箱は高さ35センチ、幅70センチ、奥行き50センチのガラスケースで、月額8000円からです。その他、東京・神保町の「B-space」では、白が基調の店内に114個並ぶ40センチ四方の箱が月額4200〜4800円で、借り手の多くが30代後半から50代の女性だそうです。また、横浜市の六角橋商店街では、空き店舗を改装して、貸ボックスをそろえた店舗「すぺーすろっかく」を開設しました。貸ボックス70個を用意して1辺50センチの大きさで月額2000円から利用できます。

 上記のように、ボックス貸しが流行っていますが、「多趣多彩」では、一般にボックスを貸し出すとともに、学生たちにもそれぞれボックスがあります。さらに、「商店街の個店のアンテナショップ」という主旨で、約60店舗ほどある“ララはしば商店街”の個店の店主さんにそれぞれボックスを持ってもらっています。期待する効果として、既存のお店では取り組めない実験をボックスで試みてもらい、今後のマーケティング戦略立案のためのヒントを獲得してもらいたいという狙いがあります。「多趣多彩」では、ボックス貸し以外に、上から2番目の画像に見られるように、学生たちの自主企画商品も数々並んでいます。

 「多趣多彩」は、オープンしてまだ半年あまりですが、女性ならではの視点からの自主企画商品も数々あり、今後の展開が楽しみです。商売繁盛に伴う経営やマーケティング能力を高めて頂きたいと思っています。試行錯誤しながらの成功体験が何よりの勉強であり、周りの商店街の店主たちにも刺激を与えていくことと思います。全国各地の商店街で見られる事業系の学生や高校生のショップ運営は、補助金などの助成でまかなっている場合が多いですが、商店街のプロの店主と肩を並べるだけの大きく化けるようなショップが今後出てくることを願っています。そうすると、かなり面白い展開になるのではないかと思います。

 学生はじめ大学と自治体や商店街との連携は、ざまざまなところで進んでいます。視察レポートとしては、まだまだ少ないですが、検索項目「学生・大学における連携の取り組み事例(商店街・行政などとの連携)」を設けています。クリックして頂きご覧頂けましたら幸いです。学生・大学とまちづくりという観点では、これからも数多く紹介していきたいと思っております。

 今回、守口市を訪ねるにあたりまして、主催の日本商工会議所、開催地の守口門真商工会議所はじめ、大阪国際大学の縄田先生、大阪国際大学の“多趣多彩”の学生たちにご説明いただくとともに、ご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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