東京・丸の内の生まれ変わった“丸ビル”
&リニューアルされた東京の北の玄関口
“上野駅”アトレ上野を訪ねて 
(日本・東京)

視察日:2002年9月21日

 今回の視察レポートでは、2002年9月6日に新装オープンした東京・丸の内の“丸ビル”と2002年2月22日にガラリと姿を変丸ビル・吹き抜けえて、コンコースがたいへん明るくなった上野駅の二つをあわせて紹介します。

 まず、“丸ビル”から紹介しますと、日本を代表するオフィス街、東京・丸の内が今生まれ変わっています。丸の内のランドマークとも言える新装オープンした“丸ビル”を訪ねてきました。丸ビルは、東京駅・丸の内側を出た正面にあり、地下で東京駅と直結しています。非常に便利な立地にあります。新生“丸ビル”を訪ねた時は、オープンして2週間目の週末の土曜日ということもあり、人人人でごった返していました。一番上の画像は、1階から6階まで吹き抜けの空間を写したもので、各階に小さくですが、人があふれている様子がご覧いただけるのではないでしょうか。オープン1カ月後に発表された“丸ビル”への来場者数は、なんと約280万人です。1日あたり10万人近くの方が訪れていることになります。

 丸の内界隈は、ここ最近オフィス街という顔だけでなく、高級ブランド店が集積するなどショッピング街としての顔も整ってきており、今回の“丸ビル”のリニューアルオープンで核となる施設ができたと言えます。丸の内界隈は、昨年11月にも視察レポート「再開発が進んでいる東京オフィス街・大手町〜丸の内〜有楽町を訪ねて」で紹介しておりますので併せてお読み下さいますと全体の流れがお分かり頂けると思います。また、丸の内では、現在、「永楽ビル」の建て替え工事も進んでおり、旧ビルと打って変わってガラス張りとなっています。さらに、2004年には「新丸の内ビル」の建て替え工事も始まります。まさに、ただ今“丸の内界隈”は変貌中と言ったところです。ちなみに、新幹線側の東京駅・八重洲側も大丸百貨店が20丸ビル・コンランショップ08年をメドに移転・増床して開業する予定となっています。移転といっても、現在の東京駅隣接のビルを解体して、新たに、北側部分(現在:国際観光会館)の敷地にまたがる形で大きな高層ビルを建てる計画です。オフィスという観点では、東京都内においてここ丸の内はじめ、汐留地区、品川地区、六本木地区でも巨大なオフィスビルの建設が進んでおり、深刻な供給過剰に陥る“2003年問題”が危惧されています。

 それでは、建て替えされた新生“丸ビル”の内部を見て行きます。丸ビルは、地上37階建て(高さ180メートル、総事業費630億円)で、低層部の外観は旧丸ビルのデザインを再現しており、かつての面影を残しています。旧丸ビルは、1923年に地上8階建て(高さ31メートル)で誕生し、当時は日本を代表するオフィスビルでした。70年以上経ち、老朽化が進んだため、1997年から解体・建て替えに着手して今回の新装オープンに至ったわけです。

 新装オープンした“丸ビル”は、地下1階から地上4階までがショッピングゾーン、5階、6階と35階、36階がレストランゾーン、7階、8階が会議室や多目的ホール、9階〜34階がビジネスゾーンとなっています。ショッピングゾーンには、ビームスハウス、ザ・コンランシップ、ビアッジョブルー、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング、レストローズ、マーラーなど100店が入っており、若い女性向けのショップが主体となっています。レストランゾーンは、カサブランカシルク、天まる、ブルーズ・オブ・トウキョウ、招福楼など40店が入っています。ショッピングとレストランの両方を合わせた初年度の売上目標を180億円としていますが、今のペースなら200億円を軽く超すような感じもいたします。

 上から2番目の画像は、イギリスの人気デザイナーのテレンス・コンラン氏の生活雑貨を扱う店「ザ・コンランシップ」(世界主要都市で30店舗以上展開)を写したものです。国内では、新宿本店、福岡店に次いで3店目となる丸の内店は2階、3階にまたがる2層で展開しており、画像からもお分かり頂けると思いますが、ゆったりとした店内が広がっており、ソファーに座ったりしながらショッピングが楽しめます。

 あと“丸ビル”は、ビジネス街への大学誘致として、9階に大学専用スペース「丸の内アカデミックスイーツ」を用意しています。すでに、アメリカのハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が日本リサーチセンター、スウェーデンのストックホルム商科大学が欧州日本研究所(EIJS)の東京事務所、東京大学大学院経済学研究科・経済学部がサテライトオフィスなど開設しています。また、「丸の内アカデミックスイーツ」内ではないですが、10階には一橋大学大学院の産学連携センターも入居しています。

 仕事だけの街から“大人が楽しめる”街に変わりつつある丸の内を訪ねてみられてはいかがでしょうか。東京以外の方も東京駅隣接ですので、出張次いでにも立ち寄れます。

 次に、コンコースが明るくなった上野駅を紹介します。上から3番目の画像は、コンコース部分を写したものです。以前を知ってアトレ上野・コンコースいる方は、暗く雑然とした構内が、明るく開放的な空間に一変したことに驚かれることと思います。昭和7年(1932年)に完成した歴史ある上野駅を今回、大改装して、構内にレトロとモダンを併せ持つ商業施設「アトレ上野」(2002年2月22日オープン、グランドオープンは3月25日)を誕生させました。

 上野駅は、東京の北の玄関口と呼ばれ、古くは石川啄木が「ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく」と詠んで上野駅を懐かしみ、戦後は買い出し列車や集団就職列車、井沢八郎のヒット曲「あゝ上野駅」を生み出しました。しかし、1991年に東北・上越新幹線が東京駅まで延伸されると、次第に乗降客が落ち込んでいき、一日の平均乗降客もかつての44万人前後から、ここ数年は35万〜38万人程度に落ち込んでいます。ところが、今回の改修工事で、乗降客は改修前に比べて10%以上増えています。

 それでは、上野駅がどのように改修されたのか見ていきます。まず、中央コンコースを外の光を通す幕屋根に改修したことで、明るく開放的な雰囲気を醸し出しています。さらに、駅長室などがあった正面駅舎を吹き抜けの広場やギャラリーを備えたおしゃれな飲食店街に変身させ、高架下部分を整備することで新たに6,000平方メートルのスペースを生み出し、合わせて54店舗をもつショッピング・飲食街「アトレ上野」が誕生しました。上から3番目のコンコースを写した画像における写真奥が改札口になり、右側のアーチ型に見えるところが駅舎を改装した部分で、左側が高架下部分を整備した店舗が広がっています。上から4番目の画像は、高架下部分を整備した通路部分を写したところですが、ちょっとしたおしゃれな待ち合わせ場所もあります。「アトレ上野」は、コンコースを挟む形で両側に店舗が配置さアトレ上野・店舗通路れています。ハードロックカフェ、スターバックス、ドトール、ラーメン一蘭、麻布茶房、サザビー、ナチュラルボディなどが入っています。アトレ上野は、全体で日商目標2,800万円に対し、平日で平均3,400万円、週末・休日で平均3,600万円と大きく目標を上回っています。客数も一日平均2.5〜3万人を集客しています。

 上野はおじさんの街というイメージが強いですが、改装され明るく開放的になり、商業施設「アトレ上野」の相乗効果もあり、20歳代の女性の姿が増え、飲食店では順番待ちの行列も出来ています。「アトレ上野」の運営は、JR東日本の100%子会社の東京圏駅ビル開発が行っており、アトレ上野の開設にあたり、欧米の鉄道駅の商業施設を研究し、ニューヨークのグランドセントラル駅のコンセプトを狙ったということです。グランドセントラル駅は、ニューヨークに行った時に見てきましたが、思い起こせば何となく似ているような感じもしてきます。

 今回紹介しました上野駅は、“通過する駅”から“集う駅”への発想の転換を実際に実現した場と言えます。JR東日本では、駅の利便性向上と高収益化を目指す「ステーション・ルネッサンス」計画を展開中で、上野駅の大改装は、このステーション・ルネッサンス計画の第一号です。上野は、その他に、国立博物館や東京都美術館が集積する文化的な顔、動物園や公園、アメ横などの庶民的な顔を併せ持つ、ユニークな街でもありますので、リニューアルされた上野駅と上野界隈を散策されてはいかがでしょうか。

By Nagura

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