日米欧が出揃った幕張の流通事情 (日本・千葉)

視察日:2001年3月31日

 昨年(2000年)末に千葉県幕張新都心界隈に、日本、フランス、アメリカの流通業が相次いでオープンしましカルフールた。先頭をきって、まず2000年12月1日に日本の流通業のハイパーモールメルクス新習志野(ミスターマックス)がオープンし、次いで12月8日にフランスの流通業のカルフール幕張、12月13日にアメリカの流通業のコストコホールセール幕張と、ほんの2週間ほどの間に集中してオープンしています。
 アメリカのコストコについては、1999年4月に福岡市郊外の商業施設・トリアス久山にオープンしたのに続き、日本では2店目となります。商業施設・トリアス久山については、既に視察レポート上で紹介してありますので、併せてご覧下さいませ。世界第二位の小売業であるフランスのカルフールは、ここ幕張が日本初進出となる第1号店です。2001年4月現在で、幕張に続き、東京都町田市の南町田店、大阪府和泉市の「光明池店」と3店舗を相次ぎオープンさせています。ちなみに世界第一位の小売業は、アメリカのウォルマートです。そのウォルマートも日本進出を表明おり、後ほど、ウォルマートの日本進出の動きを紹介します。

 それでは、日米欧の3店舗をそれぞれ見ていきます。一番上の画像は、カルフールの店内を写したものです。通路がゆったりと広くとられているのが伺えるのではないかと思います。天井高が5メートル、主通路が幅8メートルと広々としたイメージを打ち出しています。カルフールは、世界26カ国で約9000店舗を展開しており、業態としてはハイパーマーケット、フランス語でハイパーマルシェと呼ばれるフォーマットです。マルシェとは「市場」、カルフールは「十字路」という意味で、市場の中の十字路の持つにぎやかさが、カルフールのコンセプトになっています。
 カルフールは、半径5〜10キロメートルを商圏と考え、年間約430万コストコ人の来店客を見込んでおり、テナントを除く自店だけで85億円を売り上げる計画です。テナントとしては、ユニクロ、マックハウス、オレンジハウス、スターバックスコーヒー、ケンタッキーフライドチキンはじめ47店舗が入っています。敷地(3万3634平方メートル)は、千葉県企業庁から20年リースで借りている形となっています。建物は、鉄骨造2階建てで、延べ床面積5万1799平方メートル(建物面積:2万9941平方メートル)あり、駐車場は1200台を確保しています。
 行った日は、土曜日の昼頃で、あいにくの雨模様でしたがけっこう人が入っており、フードコートは特にごった返していました。しかし、買い物を終えてでてくるお客様をみていると、それほど買い物袋を持ってなく、ユニクロの袋の方が目立つほどでした。買い物のくるというよりも、まだまだ目新しさでテーマパークにくるような遊び感覚でくる人が多いのかも知れません。

 上から2番目の画像は、コストコの店内を写したものです。カートでお客様が買い物している様子と、倉庫のような店内に天井あたり(天井高8.5メートル)まで積み上げられた商品のパレットがご覧いただけると思います。コストコは、商業施設・トリアス久山の視察レポート時に既に紹介しておりますが、会員制ホールセールクラブの業態の店です。一般のお客様に対応する小売りだけでなく、業者を対象にした卸も兼ねた店です。コストコで買い物するには、まず会員になる必要があり、一般のお客様で4200円(ゴールドスター会員)、業者で3675円(ビジネス会員)の年会費を払います。
 コストコのような業態は、メンバーシップ・ホールセールクラブ(MWC)と呼ばれており、直訳すれば会員制卸売業であり、当初ミスターマックスは小売店や飲食業、中小企業や自営業などの事業者をターゲットとしてつくり出された仕組みです。それが一般消費者にも利用されるようになってきたのです。この業態の最大に売りは、“安さ”です。安さをどうつくりだしているかといいますと、まず物流センターをもっていないこと、店舗にバックヤード(商品等を保管しておく場所)がないことが挙げられます。上から2番目の画像を見て頂きますとわかりますが、店内にパレットごと高く積み上げられた商品そのものが在庫でもあります。メーカーから出荷された商品が、工場出荷時のパレット積みの状態のままフォークリフトで店内にパレットごと積み上げられますので、物流センターをもたず、バックヤードをもたないで済むわけです。
 その他、特徴としては、扱いアイテムを絞り込むことによる単品大量販売、広告宣伝・サービスを抑えている点などが挙げられますが、何と言っても、会員の年会費で利益を生み出して、商品を低価格にしている点です。他の業態に比べ、極端に低い粗利益率を実現でき、商品売買によって利ザヤを得る小売業とは根本的に違う利益構造と言えます。コストコの敷地(1万6504平方メートル)は、新日本製鉄から20年リースで借りている形となっています。建物は、5階建て(1階と2階が店舗で、3階以上は駐車場)で、延べ床面積3万2857平方メートル(建物面積:1万5715平方メートル)あり、駐車場は750台を確保しています。初年度売り上げ目標は、150億円です。
 コストコは、ウィークエンドということもあり、業者というよりも一般のお客さんが目につきました。確かに安いですが、ひとつひとつの商品の購入単位のボリュームはものすごく多く、腐らないものは大量に購入しても困らないにしても、日本人にも一度に大量購入の生活パターンが入りつつあるという感さえ覚えました。

 上から3番目の画像は、ハイパーモールメルクス新習志野のミスターマックスの店内を写したものです。画像からも確認できますが、店内に「他店が高いのでなく、当店が安いのです」という垂れ幕がかかっており、自信のほどを伺わせています。
 ハイパーモールメルクス新習志野は、九州・西日本を中心に展開するミスターマックスの首都圏攻勢をかける戦略店舗(核店舗のミスターマックスとしては関東で5店目)という意味合いをもっています。核店舗のミスターマックスはじめ、テナントとして、アカチャンホンポ、スポーツデポ、ザ・ファミリーダイソー、PCデポなど25店が入っています。ハイパーモールメルクス新習志野の敷地(2万7964平方メートル)は、千葉県企業庁から20年リースで借りている形となっています。建物は、鉄骨造2階建てで、延べ床面積4万1650平方メートル(建物面積:2万4053平方メートル)あり、駐車場は1100台を確保しています。初年度売り上げ目標は、120億円です。
 ミスターマックスの店内をみますと、カルフール、コストコに比べると地味な感じは受けますが、アカチャンホンポ、スポーツデポ、PCデポなどのカテゴリーキラーを備えたカルフールともコストコとも形態が違う相乗効果を狙ったパワーセンターです。

 今回、幕張で激しく競争している日米欧の3店舗を紹介しましたが、それぞれの店舗がまだ他店を意識しながらの試行錯誤をしている段階のように感じました。今は、オープン効果とマスコミ効果もあって、観光気分でショッピングというような遊び感覚で訪れる人がかなり多いように感じました。消費者の気持ちをどう引き付けていくか、これからが勝負と思います。3店それぞれ持ち味は、違いますが、この周辺には大手スーパー、専門店、アウトレットモールなどがひしめいており、競争に破れたところは撤退もあり得るのでしょう。

 最後に、さらに幕張に波を起こすかもしれない世界ナンバーワンの小売業のウォルマートの動きを紹介します。ウォルマートは、今夏にも日本法人を設立し、2002年に1万5千平方メートル級の大型ディスカウントストアの展開に乗り出す計画を打ち出しています。その1号店を現在日本各地で物色しており、出店候補先として今回紹介した幕張や名古屋などが挙がっています。業態として、衣料や家電を扱うディスカウントに食品スーパーを組み合わせた「スーパーセンター」が有力とされています。
 しかし、ドイツの状況をみますと、ウォルマートは、2003年末までに50店を新たに設けるとしていた拡張計画を撤回しています。2001年の新規出店は3店で、2003年末までの出店数も50カ所を大幅に下回る見通しです。拡張計画の撤回は、ドイツでの黒字化が遅れ、既存店の立て直しが急務なためと説明しています。1990年代から順調に拡大してきた海外事業で初めてつまずいた格好であり、日本を含む今後の海外進出計画に影響がでる可能性もあります。

 世界を視野に入れた流通事情は、まさに激変の時期を迎えており、世界的な流れに巻き込まれる日本の流通事情もこれからますます目が離せなくなりそうです。

By Nagura

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