観光資源を創出した長浜&
情緒ある街並みを生み出した彦根を訪ねて 
(日本・滋賀)

2004年1月8日

 観光資源を創出した滋賀県長浜市(人口62,106人、22,042世帯:2004年1月1日現在、面積45.50平方キロメートル)と情緒ある町並みを生み出した彦根市(人口109,230人、長浜オルゴール堂39,285世帯:2003年12月末現在、面積98.15平方キロメートル)を訪ねて参りました。長浜と彦根には、半年ほど前にも行っており、視察レポート「黒壁スクエアの長浜&井伊家35万石の城下町・彦根を訪ねて」で紹介しておりますので、合わせてご覧頂けましたらと思います。

 今回は、前回の視察レポートと重複しない形で、最新情報を交えながら、少し視点を変えて紹介していきたいと思っております。今回の視察は、愛知県安城市の都市再生プロジェクト推進事業の市民メンバーの一員として行って参りました。30名ほどの視察団で行きましたが、視察当日は、かなり冷え込んでおり、特に、長浜では、激しい雪の降るなかの視察でした。長浜市では、商工会議所の方に、彦根市では、市役所の方に説明をお伺いするとともに、街歩きをしました。

 まず、愛知県安城市の都市再生プロジェクト推進事業について紹介いたします。今回の長浜と彦根の視察の主旨は、まちづくりについて努力されている長浜市・彦根市の両市の取り組みを見学し、そのプロセスを学ぶことにより、将来の安城のまちづくりを考える糸口を見つけようというものです。安城市では、平成11年度に中心市街地活性化計画を策定し、JR安城駅を中心とした区域における“まちづくり”の様々な事業を計画・実施しています。その中でも、特に中心市街地にあった病院が郊外に移転したことによる病院跡地並びにその周辺市街地の活用策は、中心市街地の活性化を図る上で重要な懸案となっています。安城市は、地域住民とともに、中心市街地の今後の具体的な活用方法について考えていくことが必要と考え長浜まちづくり役場外観、内閣府都市再生本部及び地域振興整備公団の協力を得て、今回の都市再生プロジェクト推進事業が始まりました。

 あと、今回の都市再生プロジェクト推進事業の特色として、地域住民だけでなく、高校生や大学生をも巻き込んだまちづくりが展開されています。大きく3つのワークショップに分かれており、中心市街地内の住民の方々による「都市再生大学校芸術学院」、まちづくりや都市再生を専門とする大学生による「都市再生大学校」、そして次世代のまちづくりを担う高校生による「都市再生大学校附属安城高校」から成っています。3つのワークショップは、互いに連携を図りながら進められていきます。私は、そのなかの「都市再生大学校芸術学院」に地域住民のひとりとして参加しています。都市再生プロジェクト推進事業は、昨年(2003年)12月に始まり、既に、今回の視察含め3回開催されており、今年(2004年)3月まで行われます。

 前置きが長くなりましたが、観光資源を創出した長浜をみていきます。観光資源を創出したキーワードは、“黒壁”と“ガラス工芸”です。長浜は、昭和の全盛期には、400店舗以上が集中する中心商店街が形成されていましたが、1980年代の郊外大型店の出店攻勢で瞬く間に80店以上の空き店舗ができ、衰退していきます。このような動きは、日本全国多くの商店街でみられた現象と思います。そうなると、その地域のアイデンティティでもあるような古い歴史的建造物や路地など、その地域を形作っていた風景が消えていったところが多いのも確か長浜まちづくり役場内です。ここ長浜でも同様に、街を象徴する建物の外壁が黒漆喰の「黒壁銀行」と親しまれた第百三十銀行長浜支店が売りに出されました。その時の対応が今の長浜復活の運命の分かれ道でした。長浜では、その「黒壁銀行」の保存に地元有志が立ち上がり、彼らの努力が市をも動かし、市の支援も受けて、街の拠点としての活用が図られていきます。さらに、その時、何で活用していくかと、いろいろ調査したそうで、挙がったきたのが“ガラス工芸”です。

 黒壁銀行を改装して、ガラスショップ、ガラス工房、レストランとしてオープンしてみると、これまで人通りが少なかった街に1カ月になんと2万人が押し寄せました。さらに、これからが驚きで、これまでの来街者数推移をみますと、初年度の1989年が9カ月で9.8万人、5年後の1993年が73.7万人、10年後の1998年が162.3万人、2002年には200万人を超え、210.7万人となっています。東京ディズニーランドのように、魅力的な店舗(人の集まる場)をどんどん増やしていくことで、リピーターを確保していった戦略も目を引きます。うなぎ上りの観光客数の推移には驚かされますが、反面、これだけ急激に観光地化が進みますと、地域住民の方の日常的な生活空間への弊害を叫ばれたこともありました。そこで、立ち上げた事業が、地元の生活者向けに商店街の空き店舗を活用してオープンしたプラチナプラザです。プラチナプラザの詳細は、前回の視察レポートをご参照下さい。長浜は、黒壁の保存で有志が立ち上がってから15年目を迎え、観光客と地元住民の両者ともに魅力的なバランスあるまちづくりに踏み出しています。これからさらにどのような変貌を遂げていくのか楽しみなまちで彦根夢京橋キャッスルロードす。画像は、一番上が国内外の多種多様なオルゴールが販売・展示されている長浜オルゴール堂、そして、上から2番目、3番目が、まちづくり拠点となる「まちづくり役場」の外観と店内を写したものです。

 次に、彦根市を紹介していきます。上から4番目の画像は、彦根城下に広がる「夢京橋キャッスルロード」を写したものです。画像からもお分かり頂けると思いますが、市の職員の方に、1時間あまり彦根城博物館で彦根のまちづくりのお話を伺った後、町並み視察でご案内して頂いてるところを写したものです。夢京橋キャッスルロードは、画像からも雰囲気が伝わると思いますが、まちなみ修景基準を設けて進められ、江戸時代の町家風の景観が再現されています。昭和61年に事業が始まり、平成11年に完成しました。

 夢京橋キャッスルロードは、前回の視察レポートでも紹介しておりますので、今回は、現在進行形の事業を紹介していきます。その事業は、夢京橋キャッスルロードに隣接する区画で進められている「四番町スクエア」です。この事業は、80年の歴史を有する旧市場商店街の復興を期して、平成11年8月(組合設立)に始まりました。大きく、ハード面の土地区画整理組合による基盤整備とソフト面の地域住民のまちづくり組織「共同整備事業組合」による高度修景整備が行われています。完成は平成17年と迫っており、かなりハード面の整備も進んでおりました。上から5番目の画像が今現在の「四番町スクエア」を写したものです。ここ「四番町スクエア」のコンセプトデザインは「大正ロマンの漂うまち」を謳っています。上から5番目の画像から大正ロマンを感じて頂けましたでしょうか。

 画像からは分かりにくいですが、この彦根四番町スクエア「四番町スクエア」の特徴というか、いいなあと思った点は、路地を多く設けている点です。旧市場商店街の復興といっているだけあり、コミュニティー、ふれあいの場の創出につながっていくことと思います。路地を生かしたまちづくりで、これまで私が視察してきたなかで、素晴らしいまちを挙げますとアメリカのカーメルというまちがあります。海外視察レポート「カーメル」で紹介しておりますので、合わせてご覧頂けましたらと思います。カーメルの視察は随分前ですが、人の営みが感じられる素晴らしいまちのイメージが今でも記憶に残っています。「四番町スクエア」は、夢京橋キャッスルロードとはまた趣きの変わった“わいわいがやがや”といった地域住民が集う場になっていくのではないでしょうか。まちをつくっていくのは、そこに住んでいる住民の方たちですので、今現在、建物が着実に出来上がってきており、平成17年に完成を迎え、どのように地域住民の方々が魂を入れていくのか楽しみです。機会がありましたら皆さんも、どのようなまちになっていくのか想像力を働かせながら、建設中の「四番町スクエア」を見に行かれてはいかがでしょうか。

 今回、長浜市と彦根市を訪ねるにあたりまして、長浜市の商工会議所の方、彦根市の市役所の方のご説明いただくとともに、ご案内いただきました。また、都市再生プロジェクト推進事業の主催者である地域振興整備公団および安城市の事務局の方々に、最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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