駒ヶ根を訪ねて (日本・長野)

視察日:1999年10月20日

 長野県の南部に位置する駒ヶ根市(人口:約3.4万人)を訪ねて参りました。行く前日は、雨で翌日も残るかと思っておりまし駒ヶ根岳を望むたが、当日は、カラッと秋晴れの青空が広がりました。名古屋に比べれば、少し肌寒かったですが、気持ち良い日でした。駒ヶ根市は、西に中央アルプス、東に南アルプスという3,000メートル級の山々が連なる二つのアルプスの雄大な眺めを望むことができる“まち”です。

 一番上の画像は、駒ヶ根市内の商店街から西の方角を写したものです。画像の奥に、すでに雪をかぶった中央アルプスがご覧いただけると思います。白く雪をかぶった右の方が、駒ケ岳(2,956メートル)です。(後日、当方のメールマガジン「地域・まちづくり情報&コラム」をお読みいただいているこまさんよりメールを頂きまして、わかったことですが、駒ヶ岳は奥に位置しているため、駒ヶ根市内の麓からは見ることができないとのことでした。画面上では、剣宝山が見えており、その奥に駒ヶ岳があるとのことです。誠に失礼いたしました。2000.2.18追記)

 駒ヶ根市へは、中央自動車道を使えば、名古屋から2時間ほどで行くことができます。公共機関ですと、JR飯田線(愛知県豊橋〜長野県辰野)の駒ヶ根駅があります。また、高速バスが、名古屋、新宿(東京)から出ていますので、非常に便利で、なおかつ高速バスのバスターミナルも市街地の商店街の中にあります。

 今回、駒ヶ根市へは、行政も巻き込んだ形で取り組まれているICカードの「つれてってカード」の視察に訪れました。今回の視察レポートは、この「つれてってカード」の話を中心に進めていきます。商店街におけるICカードの利用としては、京都の西新道錦会商店街のエプロンカードが有名ですが、ここ駒ヶ根でも平成8年(1996年)10月10日に始まり、ちょうど行った時には、つれてってカード3周年記念のイベントが数多く行われていました。

 まず、ICカードの「つれてってカード」そのもののカード事業の背景を見ていきますと、ICカード化は平成8年(1996年)からですが、つれアーケード商店街てってカード協同組合(当時の名称は駒ヶ根スタンプ協同組合)を昭和50年(1975年)に設立し、証紙台紙によるスタンプ事業を開始して、順調にスタンプの発行高を増やしてきた実績(以下で述べる郊外大型店進出前までは)があります。そして、そのスタンプ事業を、台紙からICカードに移し、各種のサービスを追加して現在の形となっています。サービスメニューについては、のちほど詳しく述べます。

 次に、証紙台紙によるスタンプ事業からICカード化に踏み切った背景を見ていきます。平成5年(1993年)、郊外型ショッピングセンターのオープンを皮切りに、郊外の道路沿いに相次いで、大型店が出店していきます。大型店進出に対し、当時、地元商店街は、大型店舗の値引き競争と同じ手段で廉価販売に追随したため、利益確保がスタンプ発行の出し渋りにつながり、更にサービスの低下をもたらしました。顧客からの信頼感も失われ、お客さんの減少につながる悪循環に陥ったわけです。
 そのことがきっかけで、平成5年(1993年)頃から、つれてってカード協同組合は、地元の信金の赤穂信用金庫、商工会議所、駒ヶ根市役所などを交え、商店街の活性化対策の研究を始め、ICカード化へと踏み切ったのです。上から2番目の画像は、商店街の中にあるアーケード部分を写したものです。右端に、「つれてってカード」の昇りが見られるのがご覧いただけると思います。

 つれてってカードのサービス内容を見ていきますと、従来のスタンプ事業の延長のポイント機能(1%還元:100円で1ポイント=1円)はじめ、プリペイド機能、キャッシュカード機能が付加されている多南信州ビール機能コミュニティーカードです。プリペイド機能は、ICカード対応のATMで顧客自身の預金口座からお金を移動して使う電子マネーです。このつれてってカードにお金を移動する際にも、0.5%(100円で0.5ポイント=0.5円)の還元があります。要するに、プリペイドで電子マネーとしてお店で買い物をすれば、ATMからカードへお金を移動する時とカードからお店に支払う時のダブルでポイントがつくわけです。単純に考えても、最低1.5%(1%+0.5%)の還元率となります。各店舗では、独自のポイントの2倍セール、5倍セールなどの販促も行われており、また信金サイドもちょうど視察に行った時は、ATMからプリペイドに移動した際のポイント5倍セールをやっており、両方で5倍の時に利用すれば、7.5%(1%×5+0.5%×5)の高還元率になります。
 また、ここのつれてってカードの特徴は、通常の商店街の店舗以外に、病院の支払いや市役所における住民票、印鑑証明などの支払いにも利用できることです。(病院、市役所における利用の場合は、ポイントの付加はありませんが)

 実際に、大型店の進出により、平成4年から6年にかけては、スタンプ発行高が約3割ほど大きな落ち込みとなったようです。しかし、ICカード化に切り替えてから、前年比5%ほどの伸びで着実に増えています。以前のスタンプ発行高のピーク時には、まだまだ及びませんが、これから4〜5年、この調子で伸びてゆけば、ピーク時を追い抜くことも夢ではありません。“石の上にも3年”という言葉があるように、ICカード化を導入して、3年たち、商店街の中で、実際に信金のATMからつれてってカードにお金を移している住民の様子などを見ていますと定着しつつあるように感じました。
 駒ヶ根の「つれてってカード」は、第一ハードルを乗り越えて、次の第二ハードルへ向かいつつある段階のように感じました。今後、カード利用のエリアを広げたり、CATV(ケーブルテレビ)を利用したオンラインショッピング、地域の経済活動のエコマネーとしての活用などの構想もあり、これからの展開にも期待が持てます。その場合も、常に、つれてってカードを利用される消費者の立場・ニーズを考えて、消費者と歩調を合わせて進めていって欲しいものです。

 最後に、実際に食べてきました駒ヶ根名物の“ソースかつ丼”の紹介をします。ソースかつ丼は、ごはんの上にシャキッとした千切りのキャベツをのせて、その上に揚げたトンカツがのっています。そして、ソースかつ丼専用の旨味ソースがかけられています。思ったよりあっさりしていて、美味しかったです。名古屋には、トンカツに味噌をかけた味噌カツ(これも美味しいです)がありますが、ソースかつ丼は、けっこう多くの方に受け入れられる味のように思いました。特に特製のソースがうまいです。思わず、ソースかつ丼用にソースを一つ買ってきましたが・・・。
 また、帰りがけに、マルスウイスキーの信州工場も見てきました。ここでは、ウイスキーの他、地ビールもつくっています。上から3番目の画像は、マルスウイスキーの信州工場内にある南信州ビール販売所の外観を写したものです。ちなみに南信州ビールは、長野県で最初に誕生した地ビールだそうです。3種類あり、一番こくのある黒ビール系の地ビールを飲んできましたが、こくがあるわりには、飲みやすかったです。また、ウイスキーも試飲してきました。ここの信州工場は、蒸留所としては日本一高地の標高798メートルにあり、ミネラル豊富な水が生んだウイスキーは幻の逸品と称されているそうです。

 今回、つれてってカードの説明を、駒ヶ根商工会議所の専務理事の松崎氏、中小企業相談所長の吉瀬氏、つれてってカード協同組合の事務局長の矢澤氏にお伺いしました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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