“書のまち”春日井市を訪ねて (日本・愛知)

2003年8月10日

 愛知県春日井市(人口296,287人、111,307世帯:2002年12月31日現在、面積92.71平方キロメートル)を訪ねて参春日井市役所と文化フォーラム春日井りました。春日井市は、名古屋都市圏の北東部にあって、中部圏の中堅都市として、「健やかな暮らしに活力あふれるまち春日井」を将来像に掲げ、その実現に向けてまちづくりが進められています。

 春日井の歴史を少し紐解きますと、江戸時代には、北部が犬山藩、南部が尾張藩に属していました。市制の施行は、太平洋戦争のさなかの昭和18年に、勝川町、鳥居松村、篠木村、鷹来村の4町村が合併して春日井市が誕生しました。その後、昭和33年に高蔵寺町と坂下町をさらに合併して、現在の春日井市の原形が整いました。昭和30年代後半に入ると、土地区画整理事業の推進、高蔵寺ニュータウンの建設が始まり、この頃から名古屋のベットタウンとしての住宅都市としての性格が強まって参りました。

 今回は、春日市市役所に隣接している文化フォーラム春日井とその近くにある“鳥居松広小路商店街”を訪ねて参りました。一番上の画像は、春日井市役所と文化フォーラム春日井を写したものです。右手側の円形のガラス張りの建物が文化フォーラム春日井です。文化フォーラム春日井は、図書館と文芸館で構成されている複合文化施設です。文芸館として、ミニコンサート、パフォーマンス、トークショーなど多彩なイベントに利用できる一番上の画像でも見られます1階に、円形の吹き抜け構造の開放感あふれる空間交流アトリウムが広がっています。その他、ギャラリー、視聴覚ホール、日本自分史センター、文化情報プラザ、文化活動室などがあります。

 もう一つの目玉である図書館も充実しています。屋上には、スカ鳥居松界隈イガーデンという花と緑で彩られた空中庭園があります。滞在型図書館ならではの、屋外での読者や憩いの空間が広がっています。図書館は、一般実用書、児童書・絵本をはじめ、お話・体験学習コーナー、ビデオ・CD、対面読書室・録音室などあり、春日井ならではの極めつけが、“書道図書”と“書作品・複製絵画”のコーナーです。これらのコーナーは、春日井市が“書のまち”として知られていることと関係しています。

 それでは、なぜ“春日井市は書のまち”なのかを説明していきます。春日井は、平安時代の三跡の一人、小野道風の生誕地として知られています。南北朝時代の文献に春日井で生まれたという記載が見られるそうです。小野道風と言えば、多くの方が柳に跳びつく蛙を傘をさしてじっと見ている姿を思い起こすのではないでしょうか。古川柳に「蛙からひょいと悟って書き習い」とうたわれるほど有名な寓話です。

 小野道風(894年〜966年)は、平安時代中期を代表する能書(書の上手な人)です。小野道風の家系、小野氏は遣随使で有名な小野妹子を祖先として、学者や能書を輩出した名族です。幼い頃から字が上手だった道風は、書をもって宮廷に仕え、数々の輝かしい業績を残しています。道風の日本書道史上における功績を一口で言えば、それまでの中国の書の模倣から脱して、日本の風土や日本人の感性にあった書を創始したことです。その優美な書は和様の書と地元の方と懇談会風景呼ばれ、道風とともに、三跡と称される藤原佐理に受け継がれ、藤原行成によって大成され、その後の日本書道に大きな影響を与え続けました。

 古くから春日井の人々は、小野道風がここで生まれたことを誇りに思い、「とうふうさん」と呼んで親しみ、自然に書道の盛んな土地柄になっていきました。これが、春日井が“書のまち”と呼ばれる由縁です。春日井市には、全国でも数少ない書道専門美術館として「道風記念館」があります。この道風の文化的伝統を大切にして、「書のまち春日井」をキャッチフレーズにして、道風記念館はじめ、全国公募の書道展の開催など、書道文化の振興に力を入れています。また、変わった視点では、春日井はサボテンの苗生産が全国生産の約8割を占めています。

 次に、市役所の近くにある鳥居松広小路商店街を紹介します。上から2番目の画像は、鳥居松広小路商店街の通りを写したものです。また、上から3番目の画像は、商店街のふれあいサロン「ぱれっと」で、商店街の方、NPO法人けやきフォーラムの方々と懇談している模様を写したものです。NPO法人けやきフォーラムは、2001年6月に発足し、近年の急速に発展しつつある情報化社会にあって、ともすれば取り残されて情報格差の中に埋没されようとしている高齢者や主婦の方々、そして障害を持った市民に情報手段であるパソコンの技術習得の機会を提供することを目的として設立されました。

 行った日は、8月10日で、来月(9月)13日のふれあいサロン「ぱふれあいサロン「ぱれっと」れっと」にオープンする店舗に向けて準備をされている時期で、お忙しい中、お話を伺って参りました。上から4番目の画像は、オープン前のふれあいサロン「ぱれっと」の外観を写したものです。この視察レポートを皆さんが読まれる現在は、既にふれあいサロン「ぱれっと」にお店がオープンしてますので、是非、足をお運びいただけましたらと思います。

 それでは、2003年9月13日(土)にオープンしたふれあいサロン「ぱれっと」を紹介していきます。ふれあいサロン「ぱれっと」は、地域振興活性化事業の一環として、春日井商工会議所と鳥居松まちづくり連絡協議会が、地域の皆さんが“溜まり場”“止まり木”として、自由に活用いただく拠点、商店街の情報発信の拠点などとして設けたものです。ふれあいサロン「ぱれっと」に二つの拠点が入っています。上から3番目の画像がオープン前を示していますが、一つの店舗を仲良く半分に仕切る形で二つの拠点がオープンしています。その一つが、地元の春日井商業高校の高校生たちが商品を販売するお店「HAL SHOP」です。そして、もう一つが先ほど説明しましたNPO法人けやきフォーラムが立ち上げた「無線LANを活用した無料インターネット体験」などのコーナーです。無線LAN(構内情報通信網)の基地局をふれあいサロン「ぱれっと」内に設置して、無料でアカウントを発行するサービスを始めています。パソコンや携帯情報端末(PDA)と無線LANカードがあれば、基地局の周囲100から150メートル内でインターネットに利用できます。同様のサービス「みあこネット」を京都で展開するNPOの「日本サスティナブル・コミュニティ・センター」のシステムに参加して、機器などを借り受けています。ですから、ここで発行されたアカウントを持っていれば、京都市内などでも利用可能だそうです。

 春日井商業高校の実地研修店「HAL SHOP」は、高校生約30人が鳥居松広小路商店街を拠点にして、お客さんに商品を販売することを通して“商売”を勉強していきます。毎週、火曜、水曜、金曜の13時半頃から17時頃まで開かれています。飴の販売、お好みの名刺の注文販売、チームや仲間のオリジナルTシャツの注文販売などが行われているようです。NPO法人けやきフォーラムの「無料インターネット体験」コーナーは、毎週、木曜、土曜、日曜の10時頃から16時頃まで利用できます。無料パソコン相談やパソコン教室も随時開催される予定となっています。また、商店街情報コーナーでは、商店街の“お買い得情報”が随時掲載されており、自由に見ることができます。

 これから、春日井商業高校の実地研修店「HAL SHOP」とNPO法人けやきフォーラムの「無料インターネット体験」との連携やお客さんである地域住民を巻き込んで、ふれあいサロン「ぱれっと」からどんどん新たな取り組みが生まれていくことを期待しております。地域に根ざした地域の困った問題を解決する“コミュニティビジネス”はこういうところから生まれていくのだろうと思います。皆さんも、春日井に行く機会がありましたら、是非、ふれあいサロン「ぱれっと」に顔を出して頂けましたらと思います。

 今回、春日井市を訪ねるにあたりまして、NPO法人けやきフォーラム(兼やきとり大吉春日井店の経営者でもある)の水谷様にご説明いただくとともに、ご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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