学生たちが商店街で活躍する
豊橋市中心市街地を訪ねて 
(日本・愛知)

視察日:2002年8月23日

 学生たちが商店街で活躍する豊橋市(人口約36.5万人)中心市街地商店街を訪ねて参りました。その商店街は、豊橋駅と豊橋市役所のほぼ中央あ花園タウンアーケードたりに位置する「花園タウンアーケード」です。一番上の画像は、花園タウンアーケードを写したものです。ゆったりとした通路と外部の光が入る明るい商店街の様子が伺えることと思います。

 このアーケード内の空き店舗を活用して、豊橋技術科学大学の都市・地域計画研究室(大貝彰助教授)がまちづくりボランティアの事務所「まちづくり工房KAI」を開いています。大学の研究室が、大学構内ではなく、商店街の中にあるということは、商店街の方々、お客さんでもある地域住民の方々との社会における接点(ふれあい)が出来て、学生たちにとっても学ぶところは大きいと思います。

 まちづくり工房KAIが、商店街内に事務所を開設するに至った考え方を紹介文から引用しますと「地方都市の都市づくりや参加型まちづくりを、より一層積極的に進めていくためには、地域の人々と共にまちづくりを考え、共に行動することが何より大切です。特に豊橋市の中心市街地活性化のためには地域住民、行政が協働してまちづくりを進めていく必要がありますが、大学の中ではまちづくり支援には限界があります。まちづくりを大学の研究室として応援していくためには、研究室がまちに出ていく必要があると考えるに至りました」と記載されています。素晴らしい考え方と思います。大学側が積極的に地域に出ていく姿勢は大切と思います。地域住民、商店街の方々にとって大学という組織を、何がしら敷居が高いという印象を持たれがちなだけに、商店街に大学自らが入り込んでいったことは両者にとって良い結果を及ぼすことと思います。

 これまで、視察レポート上でも、大学(高等教育機関)と地域まちづくり工房KAIの連携の取り組みを紹介してきていますが、大学にとっても行政(自治体)にとっても、これから厳しい時代を迎えるにあたって両者の連携はますます重要になってくると思います。

 以前に、日本福祉大学と愛知県高浜市の連携を紹介しました視察レポート「福祉の先進地として名高い高浜市を訪ねて」、愛知県瀬戸市と名古屋学院大学の連携を紹介しました視察レポート「学生たちが商店街で活躍する瀬戸市中心市街地を訪ねて」で取りあげていますので、併せてお読み頂けましたらと思います。

 豊橋市の中心市街地活性化において積極的に取り組んでいる大学は、今回取りあげている豊橋技術科学大学だけでなく、その他、豊橋市内にある愛知大学、豊橋創造大学の学生たちもがんばっています。今年(2002年)の3月には、3大学による豊橋の中心市街地商店街の活性化策の発表会も行われ、実際に会場で私も聞いて参りました。その模様は、コラム「愛知県豊橋市の3大学(豊橋技術科学大学・愛知大学・豊橋創造大学)まちなか研究発表会“キャンパスから考えるまちなか活性化”に参加して」で紹介してありますので、これも併せてお読み頂けましたらと思います。

 直近では、豊橋技術科学大学の都市・地域計画研究室のゼミ生(4年生)が、2002年9月4日に豊橋商工会議所で今回紹介しております「花園タウンアーケード」界隈の花園・魚町両地区の再生計画をまとめ、商店主らを前に発表会をしています。“魅力ある都市型居住空間”“にぎわいある商業空間”をKファクトリー念頭に4月からまとめてきた成果発表の場であり、「現存の寺社の周りに歴史博物館や能舞台、介護施設、入浴施設を造る」「商店街のアーケードにスクリーンをつるし、夜に映画を上映する」「地域の高齢者が世話役となる託児所をつくり、高齢者が生き甲斐をもてるようにする」「大学教官の官舎と生涯学習施設が一体となった建物を造り、市民が教官の講議を気軽に聴けるようにする」など提案が次々と出され、商店主らも“夢がある”“実際に使えるアイデア”と温かい拍手を送っていたようです。商店主側から建設費用などの現実的な声は聞かれるにしても、まずは、学生たちの柔軟アイデアを受け入れ、さらに共に協力してより良いものに仕上げていくことが大切であり、学生たちが投げかけた再生計画は、一つのきっかけとなっていくことを期待しております。

 「まちづくり工房KAI」の話に戻しまして、上から2番目の画像が商店街の中にある「まちづくり工房KAI」の事務所入り口部分を写したものです。画像上に白い看板が掛っていますが、そこには、「東三河ハートネット&まちづくり工房KAI」と書かれています。ここの事務所には、二つの団体が協同で事務所を持つ形で、東三河ハートネットとまちづくり工房KAIの両団体が力を合わせて活動しています。「まちづくり工房KAI」のまちづくりにおける実践的活動として、豊橋市の二川地区の“人にやさしいまちづくり”のためのアンケート調査の実施やまちづくりワークショッまちなか・まちづくり講座プへの参加と支援などを「東三河ハートネット」とともに進めてきています。

 東三河ハートネットは、特定非営利法人(NPO)で、障害者、高齢者、乳幼児を含むすべての人が自分らしい自立した生活を送れることを願い、ユニバーサル(すべての人が使いやすい)デザイン社会の実現のために活動し、公益の実現に寄与することを目的としています。前身は「東三河 人にやさしい街づくりアドバイザーグループ」(1997年7月設立)として活動しており、社会奉仕活動に限界を感じNPOに派生した流れ(注:東三河 人にやさしい街づくりアドバイザーグループは存続しています)です。愛知県主催の「人にやさしい街づくり連続講座」を受講したことからすべてが始まっているようです。人にやさしい街づくり連続講座については、コラム「“人にやさしいまちづくり”について考察する」の中で触れていますので、併せてご覧下さいませ。

 次に、「花園タウンアーケード」に新たにできる施設(店舗)を紹介します。その施設は、上から3番目の画像で、ちょうど行った時に改装工事中だった「車いす工房Kファクトリー」です。「東三河ハートネット&まちづくり工房KAI」事務所の向かいになります。9月初旬に向け改装中で、この視察レポートが発信される頃は既にオープンしていると思います。「車いす工房Kファクトリー」は、車いすの修理や製造業者の紹介を請け負う専門店です。空き店舗を利用した店は、広さ約40平方メートルで、車いすの利用者3人を含む5人のスタッフで運営されます。車いすを作ろうという人に使い勝手を良くするためのポイントなどを助言したり、住宅のバリアフリー化のアドバイスなども行います。店の代表者は、新聞紙上で意気込みを「障害者が色や形など好みに合った車いすで街に出かける時代が来る」「障害者と健常者が気軽に立ち寄れる店にしたい」と語っています。今後、「車いす工房Kファクトリー」と「東三河ハートネット」「まちづくり工房KAI」との連携をとった取り組みが新たな流れをつくっていくことと思います。

 最後に、上から4番目の画像を紹介します。ちょうど視察した日の夜に、まちなか・まちづくり講座があり、当方もおじゃまさせて頂き、その時の模様を写したものです。この日は、5回連続講座の2回目で豊橋技術科学大学・三宅教授による「豊橋の状況と都市形成:戦後の変遷過程」の講議があり、その後参加者同士による意見交換が行われました。画像は、最後の意見交換が終わり、三宅教授による締めのあいさつがされているところです。また、この講座に出ることで、豊橋市内で使える地域通貨“Hero's money”をもらいました。

 今回、豊橋の中心市街地における学生たちががんばっている様子を見てきましたが、先ほどのまちなか・まちづくり講座にも多くの学生が参加されており、講議後の意見交換では、活発な議論がされていました。たいへん頼もしく映りました。今の学生たちは、全盛期の商店街が賑わっていた頃を知らなく、それだけに、自分たちの活動する場、活躍する場、アピールする場、いろいろな人たちと集う(ふれあう)場など柔軟発想で商店街を捉えており、今後の豊橋におけるまちづくりの将来が楽しみに感じました。それと、豊橋市は、過去2回視察レポート「豊橋市中心市街地を訪ねて」「新・豊橋ステーションビル」で紹介しております。合わせてお読みいただければと思います。

 今回、豊橋市を訪ねるにあたりまして、当方のメールマガジン「地域・まちづくり情報&コラム」をお読みいただいております豊橋技術科学大学の大貝先生はじめ、NPO法人東三河ハートネットの柳原さん、豊橋技術科学大学の大学院生の木下さんにご説明いただくとともに、ご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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