商店街が中心となってコミュニティバス
を運行しているまち訪ねて
(日本・愛知)

視察日:2009年8月25日

(2010年3月31日追記:コミュニティバス「かっちぃ」は2010年1月13日廃止されました。)

 愛知県春日井市(人口307,602人:2009年8月1日現在、面積92.71平方キロメートル)のJR勝川駅前の商店かっちぃバス街を訪ねてきました。春日井市は、名古屋市の北に隣接しており、名古屋圏に集中する人口の受け皿として、昭和40年代から人口が急増して現在に至っています。

 春日井市内には、名古屋市とを結ぶJR中央線、名鉄小牧線が走っており、市内にJRの駅が5つ、名鉄の駅が5つあり、鉄道網に恵まれています。勝川駅から名古屋駅まで快速で17分と20分かからずに名古屋市の都心まで行くことができます。

 また、春日井市は、もともと勝川町、鳥居松村、篠木村、鷹来村の4つの町村が合併してできた背景もあり、それぞれの地域性や気質など商店街の人と話していてそれぞれ地域への思い入れが強いと感じました。勝川の商店街の方と話した中で、勝川の商店街やまちを心底愛している様子がひしひしと伝わってきました。

 勝川の歴史を少し紐解きますと、勝川は東海道を結ぶ下街道(県道内津勝川線・旧19号線)にあり、庶民の道として古くから栄えていました。そして、東春日井郡(現在の瀬戸市、尾張旭市、名古屋市守山区、春日井市、小牧市)の役所が置かれた中心地として発展してきました。勝川の町名の由来は、勝川は庄内川を歩いて渡れるというところということで「徒歩川(かちがわ)と言われたそうです。また、勝川という名前は室町時代中期の1427年頃から使われていたようです。名古屋市博物館にある1427年頃の「醍醐寺領安食庄絵図」の中に「勝川村」という記載が見られます。

 また、以前に春日井市を紹介しました「“書のまち”春日井市を訪ねて」も合わせてお読み頂くと、時系列的にもわかりやすいのではないかかっちぃバスと思います。勝川へは、久しぶりに行きましたが、再開発も終わり駅前がすっかりきれいになっていました。上から3番目の画像は、駅側から商店街方向を眺めた様子を写したものです。再開発のビルを挟んで、奥に商店街が広がっています。

 今春(2009年春)、勝川地区市街地再開発組合精算総会が開催され、約20年にわたる一大事業が終わったばかりです。あとは、勝川駅が2009年11月に駅舎がすべて高架となり、そして、来年(2010年)3月には駅からそのままデッキとつながり、勝川駅含め駅前全体の再開発がほぼ完成となります。

 今回の視察レポートでは、商店街が主体となって行っている「コミュニティバスの買い物バス“勝川・味美(あじよし)ちょい乗りバスかっちぃ”の運営」と「サボテンを使った特産品づくり」を中心に紹介していきます。全国的にコミュニティバスが増えていますが、勝川・味美ちょい乗りバス「かっちぃ」は、全国的にも珍しく商店街が主体となって運行しています。

 地域の生活の足となっているコミュニティバスが全国的に広がっていますが、その背景には、2002年の規制緩和で民間バス事業者の不採算路線から撤退が進んだことがあります。そして、2006年から運行形態や運賃などを地域の協議で決められるようになり、コミュニティバスを導入する地域が増えていきます。多くは、自治体が自主運行している例が多いですが、自治体だけでなく、今回のような商店街や住民主体で運行する例などもあり、コミュニティバスの形態の多様化が進んでいます。

 春日井の勝川・味美ちょい乗りバス「かっちぃ」は、中部国際空港(セントレア)の開港に伴い、住民の足として使われてい再開発ビルた勝川駅〜味美〜名古屋空港のバスが廃止されたことが起因となっています。さらに、勝川町の商店街や味美町の商店街など地元の商店街を始め中心市街地の空洞化が進行しつつあり、その活性化が大きな課題になっていたこともあります。この商店街のコミュニティバス「かっちぃ」は、勝川商店街と味美商店街と周辺の地域を結ぶ形で運行しています。

 商店街のコミュニティバス「かっちぃ」は、春日井市の商店街の集合体である春日井市商店街連合会が事業主体となっています。2008年12月22日に運行をスタートさせて、視察に行った時は約8カ月ほど過ぎたところでした。実際に、右回り、左回りと約40分余りにわたってコミュニティバス「かっちぃ」に乗車体験してきました。一番上の画像は、「かっちぃ」を前から写したところで、上から2番目の画像は、「かっちぃ」を後ろから写したものです。21人が乗車できるマイクロバスです。特徴としては、乳幼児、障がい者手帳をお持ちの方は無料です。バスの後ろにリフトが付いており、上から2番目の画像に見られるバスの後ろの扉から車いすの乗り降りも可能です。

 コミュニティバス「かっちぃ」の運行経費に関しては、現在、自治体などからの支援はなく、運賃収入と広告収入などによる独立採算で行っています。運賃は、商店街の中でのちょっとした移動等にも気軽に利用できるように、1日乗車券200円(1乗車のみの料金設定はない)という料金設定をとっています。小学生以下の子どもは半額の100円です。広告収入に関しては、バス停や時刻表、車体や車内等への広告を募っています。上から2番目の画像からバスの車体への広告がご覧いただけると思います。

 今回(2009年8月)視察に行き、全国的に例を見ない商店街が運行しているコミュニティバスで、さらに補助金なしの独立採算だけに、運営実態そのもの商店街紙芝居は、苦しいとのことでした。実際に、視察に行った翌月の9月から本数とか時間帯とかを見直すということを言われていました。補助金がなく、運賃収入と広告収入が基本であり、現在の不景気もあり、広告獲得にも奔走しているようです。また、運賃収入も1カ月あたり1000人弱の利用者における無料の障害をもった方の利用の割合が多いようです。利用客の客層の拡大も求められています。

 乗車体験の際に運転手に少し伺いましたが、お年寄りが病院への通院に利用されるなどおっしゃっており、お年寄りや障害をもった方の生活の足になっているようです。なかなか現段階の運営状況は厳しいようですが、せっかく地域のためという思いから商店街が主体的に立ち上げただけに、地域住民はじめ、行政も巻き込んで、地域全体として考えていって頂きたいと思っております。春日井市内には、自治体のコミュニティバスも走っており、その他民間バスも走っており、乗り継ぎをスムーズにできるようにするなど地域挙げて、利便性を高めて、人の流れをつくり出して欲しいと思っております。この商店街がコミュニティバスを立ち上げたという心意気を是非、地域全体で盛り上げていって欲しいものです。

 次に、春日井市で今が旬な「サボテン」の話題に入りたいと思います。4、5年前からサボテンを使った料理、お菓子など特産品づくりに取り組んでおり、ここにきて商品群も充実してきて脚光を浴びつつあります。実際に、昼食の時に勝川の商店街の中にある「水徳」さんでサボテンアイスを食べ、夜、郊外にある「中華料理四川」さんで、サボテンギョウザ、サボテン焼きそば、サボテンラーメン、サボテンサラダなど食べてきましたが、生臭さもなく、意外とおいしかったです。サボテンが入っていると言われなければ、わからないほど食べやすかったです。3、4年前にサボテンアイスを食べた時は、食べ終わった後に、何か口の中にざらざら感が残ったような記憶がありましたが、今回、再度、サボテンアイスを食べたところさっぱりして美味しかったです。食べやすさを研究されている様子が垣間見れました。

 最近、全国的に食によるまちおこしが流行っていますが、なぜ、春日井でサボテンか疑問に思っている方も多いこととサボテンアイス思います。春日井は、サボテンを種から育てる実生栽培で日本一を誇っています。サボテンの種子の約半分はメキシコ、南米等から輸入し、あとは地元で交配した種子を使用しています。春日井で栽培しているサボテンの品種は約200種もあります。

 サボテンは、一般にはシャボテンといわれ、昔はサボテンの茎で衣類の汚れを拭き取ったりしたもので、シャボンの意をあてたものがサボテンになまったと言われています。サボテンは、南北アメリカ大陸の熱帯乾燥地帯産のもので、日本には約300年前オランダ船によってもたらされました。愛知県においては、大正の初期頃から栽培が始められました。その後、昭和の初期に愛知県において趣味愛好家達が中心となり栽培が本格的に始まりました。春日井においても果樹の農家がサボテンの栽培に乗り出し、果樹経営から次第に主体がサボテン経営に変わっていき現在に至っています。

 春日井のサボテンの売り文句として「癒しと健康 春日井サボテン」と掲げています。サボテンには、緑黄色野菜と果物の両方の栄養素が含まれています。ベータカロチンが550マイクログラムで、トマトの540マイクログラムとほぼ同じです。カルシウムが170ミリグラムで小松菜と同じです。マグネシウムが56ミリグラムでオクラの51ミリグラムとほぼ同じです。有機酸総量(クエン酸、リンゴ酸)が0.8グラムでミカンと同じです。食物繊維総量は1.4グラムで白菜の1.3グラムとほぼ同じです。

 あと、上から4番目と5番目の画像は、勝川の商店街を写したものです。上から4番目の画像には、たこ焼きさんの勝ちたこと自転車の荷台に乗った紙芝居がご覧いただけることと思います。たこ焼きさんの勝ちたこの御主人が、子どもたちに紙芝居を毎日しているそうです。上から5番目の画像は、水徳さんの持ち帰り弁当専門店を写したものです。少し見にくいですが、水色ののぼりには、サボテンアイスと書かれています。1本東側の通りには、食事ができる水徳さんの本店があり、昼はそこで食事後にサボテンアイスを食べてきた次第です。

 長年にわたる再開発を終えた勝川駅界隈や商店街の心意気が感じられる商店街コミュニティバス「かっちぃ」、数々のお店が努力されて商品群が揃ってきて健康にも良い数々のサボテン料理を食べに皆さんも春日井に行かれてみてはいかがでしょうか。

By Nagura

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