伊勢崎市のコミュニティビジネスを訪ねて (日本・群馬)

2003年7月3日〜4日

 群馬県伊勢崎市(人口132,088人、48,877世帯:2003年4月1日現在、面積65.17平方キロメートル)を訪ねて参りました伊勢崎市街地。伊勢崎市へは、日本商工会議所主催の第10回地域振興セミナー「コミュニティビジネスは活性化の主役になれるか?」で行ってきました。コミュニティビジネスの先進地である伊勢崎市のコミュニティビジネスの取り組みは後ほど紹介いたします。

 伊勢崎は、古くは、「赤石(あかいし)」と呼ばれていました。赤石は、広瀬川が台地を侵食し、露出した崖の関東ローム層の土の色が赤いことに由来しています。室町・戦国時代には、上杉・武田・小田原・北条諸氏の勢力争いの場となり、自然火災はもとより、戦乱による大火も多いのは、赤石の「赤」が「火」に通じるからだと人々は考えていたようです。1561年に由良成繁が、赤石城を奪還し、赤石郷の一部を伊勢神宮に寄進して、伊勢宮を守護神としてまつりました。以来、地名も「伊勢の前」と称されるようになり、「前」は「さき」と読むことから「伊勢のさき」「伊勢崎」となったのが、地名の由来とされています。

 かつて、伊勢崎は織物としてその名を広め、その歴史は古く宝暦年間(1751〜1764年)には太織縞の産地として知られ、明治20年代以後は「伊勢崎銘仙」と呼称して全国的に名を挙げました。織物の発展とともに、産業基盤の近代化が進み、戦後、大型工業団地の造成、企業誘致など産業構造の変革発展に取り組み、製造出荷額は、ここ数年6400億円前後で推移しており、群馬県内でも有数の工業都市としての地位を確保しています。

 一番上の画像は、伊勢崎市の中心市街地を写したものです。どこの都市でも石蔵の店舗そうですが、伊勢崎市の中心市街地は、区画整理事業によって、近代的な街並みが整備されています。そして、人口など郊外へのスプロール化、自動車社会での消費者の生活変化に伴い、郊外型大型店の度重なる出店は、郊外に巨大な商業集積が形成されています。今回、巨大な商業集積の一つであり伊勢崎市郊外にある「スーパーモールいせさき」も見て参りました。

 「スーパーモールいせさき」は、1997年6月に伊勢崎市郊外の田園地帯に出現した敷地15万平方メートルの巨大な複合商業施設です。集客力は、年間700万人と、群馬県人口の3.5倍を吸い寄せています。敷地内には、ホームセンター、食品スーパー、11のスクリーンをもつ大型複合映画館(シネマコンプレックス)はじめ、ベビー用品、薬品、靴、家電・コンピューターなどの専門店群が入っています。また、日本第一号店となったガソリンスタンドのBPジャパンも入っています。「スーパーモールいせさき」率いるベイシアグループは、伊勢崎に本拠を構えています。ベイシアグループは、1959年に伊勢崎市で開いた服地店「いせや」を振り出しに一代で巨大流通グループを築き上げました。伊勢崎市の中心市街地には、現在も服地店は営業しています。

 上記のような時代の波を受けて、伊勢崎市も他の地方都市と同様に、中心市街地の商店街の機能が薄れつつあるなか、商業者、商工会議所、行政、地域住民などが一体となって、中心部の商業基盤の再興を目指しています。このような厳しい状況のなかだからこそ、伊勢崎市において先進的なコミュニティビジネスが生まれたとも言えます。伊勢崎市のコミュニティビジネスの紹介生ゴミ堆肥プラント工場に入る前に、上から2番目の画像は、伊勢崎駅から中心市街地に向かう途中にあった石蔵を活用したショップを写したものです。伊勢崎市には、このような石蔵がけっこう残っています。織物で栄えた頃のものが残っているようにも思えますが、このような素晴らしい財産を是非生かしていって欲しいものと思った次第です。まだまだ活用されていない石蔵が目についたり、伊勢崎駅は、けっして立派な建物ではありませんが、何か懐かしい雰囲気が漂っており、駅周辺のうまい活用の仕方もあるように感じました。伊勢崎市内には、けっこうお宝が眠っているように感じた次第です。

 それでは、伊勢崎市のコミュニティビジネスを紹介していきます。コミュニティビジネスとは、一言で言うと「地域の困った問題を地域住民自らが解決していくビジネス」と捉えることができます。コミュニティビジネスについては、コラム「コミュニティ・ビジネスを考察する(2001.6.2)」コラム「講演「〜今、コミュニティビジネスが面白い!」を聞いて(2002.8.1)」コラム「“コミュニティビジネスがもたらす地域活力”というテーマで講演を行って(2003.8.6)」で紹介してありますので、併せてお読み頂けましたらと思います。

 伊勢崎市でコミュニティビジネスを行っているのは、日本で最初にNPO法人を取得した「NPO法人環境ネット21」です。環境ネット21は、「美しい伊勢崎を子どもたちに」という理念を掲げ、「環境保全に関する啓発や学習」「子どもたちの健全育成」「伊勢崎市のまちづくり・まちおこし」の3本柱を中心に活動していアイマップネットワークます。メンバーの中核は伊勢崎商工会議所青年部とそのOBから成っています。以前から地域貢献の活動に取り組んでおり、“もう少し形に残るものをやりたい”という思いから、生ゴミを伊勢崎に返さない運動を始めたことがきっかけとなっています。当初は任意団体として活動していましたが、その後、NPO法人というしくみを知って「日本で最初に登記したNPO法人」となりました。

 上から3番目の画像は、環境ネット21が運営している生ゴミ堆肥プラント工場を写したものです。生ゴミを堆肥にして、その堆肥を農産物の生産に使って、循環させています。さらに、堆肥を使ってできたたまねぎやにんじんを原材料にして、ドレッシングを「伸びゆく大地」という名称で販売もしています。また、商品開発という視点では、地酒「自由の海」も販売しています。実際に地酒「自由の海」を飲んできましたが、口当たりもよく飲みやすくおいしかったです。この地酒もただ販売するだけでなく、その過程を重視しています。伊勢崎で取れた米を使っており、その米は、環境ネット21が水田を借り、子どもたちの情操教育を兼ねて田植えから稲刈りまで行っています。

 その他に、環境ネット21が行っている事業として、「まちかどステーション広瀬情報発信事業」「いせさき時代祭り準備・啓発事業」「循環型社会実現へのサポート(生ゴミ資源化)事業」「廃家電の撤収とクリーンパトロール事業」などあります。これらの事業の多くは、伊勢崎市からの委託されている事業です。委託の受け方として、行政がやってないものを提案し、採択された事業を委託事業として行っている流れです。

 環境ネット21の方は、“従来の受注・契約・履行という形ではなく、これからは創造・提案・実行なのです。行政の下請けではなく行政のパートナーとしてやっていく考え方です”ということを強調されていました。私もまさにその通りと思っております。なんでも行政におまかせ・お願いという“お上”という考え方から、地域住民が地域のことを考え自ら動くことで、行政が後押しするようなパートナーシップが形成されていくのがいいのではないかと思っております。画像紹介を1枚忘れておりましたが、上から4番目の画像は、伊勢崎市の地域情報を伝える地域情報発信基地・アイマップの事務所を写したものです。

 伊勢崎からの帰りに新幹線への乗り換え駅である高崎にある高崎経済大学の学生たちがまちづくりに関わっているたかさき活性剤本舗Part5を訪ねてきました。今年(2003年)3月に視察で訪ねましたが、年度の変わり目であり、学生たちが春休みで帰省や就職活動などで、残念ながら休みであり、直接学生たちと話すことはできなかったこともあり、今回帰り掛けに寄ってきました。私が東京で予定が入ってこともあって、30分ほどしか話せれなく、短い時間でしたが、学生さんのまちづくりにかける熱い思いを伺ってきました。たいへん考え方がしっかりしており、頼もしく映りました。高崎経済大学の3年生の京田さん、深町さんはじめ、学生さんに話を伺うことができました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。今年度の学生さんのますますのご活躍をお祈り申し上げます。

By Nagura

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