ディズニーの商業施設「イクスピアリ」 (日本・千葉)

視察日:2000年8月10日

 東京ディズニーランドの最寄り駅として有名なJR京葉線舞浜駅前(千葉県浦安市)に2000年7月7日にオープンした商業施設「イクスイクスピアリ概観ピアリ」(延べ床面積:約11万7千平方メートル:東京ドーム約2.5個分、年商目標:約350億円)を訪ねてきました。イクスピアリは、東京ディズニーランド(TDL)を運営するオリエンタルランドが手掛ける初の新事業です。イクスピアリという名前の語源は、英語で体験するを意味する「Experience(イクスピリエンス)」とペルシャ神話に登場する妖精の名前「Peri(ピアリ)」の2つの単語から生まれた造語です。
 イクスピアリには、大きくわけて、121の販売店、飲食店からなる「ショップ&レストラン」、16スクリーンで客席数約3,500のシネマコンプレックス(複合映画館)「AMCイクスピアリ16」、子供向けに様々な教育プログラムを用意している教育施設「キャンプ・ネポス」の3つからなっています。また、別の施設ですが、同敷地内には日本初のディズニーブランドホテルとなる「ディズニーアンバサダーホテル」も同時にオープンしています。
 イクスピアリのコンセプトは「物語とエンターテインメントにあふれる街」で、街の具体的なイメージは、海辺の街が発展していく様、世界中の交易商人が街を訪れ、商品や文化を持ち込み、それを取り入れて街は文化を花開かせるというものです。一番上の画像は、イクスピアリの入り口部分を、上から3番目の画像は、路地の小路を写したものです。架空の商都を謳っているわけですが、南欧風ともイスラム風ともハリウッドの裏町風など形容しがたい独特の雰囲気が感じられるのではないでしょうか。9つのゾーンに分かれており、各ゾーンにはそれぞれテーマが設定されており、単なる商業施設ではなく、魅力的な一つの街をつくるという意気込みが感じられます。

 イクスピアリの施設内を歩いてみますと、ディズニーの商業施設にキャンプネポスもかかわらず、ミッキーマウスはいなく、ディズニー色はきわめて薄いです。イクスピアリは、ディズニーのキャラクターやブランドに頼らず、自らテナントを選び、独自に開発した物販・エンターテインメント施設として一線をかくして、東京ディズニーランドとは独立した存在と位置付けられています。例外として、米ディズニー子会社がテナントとして出店したディズニーストアが入っているだけです。東京ディズニーランドを訪れる客層以外も幅広く取り組んでいこうという思いが感じられます。しかし、訪れた日は、さすがにディズニーストアは大盛況で込み合っていました。それだけ、ディズニーランドのイメージで訪れている方も多いのも伺えます。
 一方対照的なのが、同じ敷地内にあるディズニーアンバサダーホテルです。こちらは、イクスピアリと違ってディズニーであふれています。客室、食堂、ロビーや階段にディズニーキャラクターのデザインがちりばめられており、初めての宿泊客も玄関前でミッキーやミニーが自らお出迎えなどのサービスもあり、ディズニーファンにはたまらないホテルとなっています。

 施設内のつくりは、ヴィーナスフォートなど最近の商業施設のつくり同様に迷路性が追求されています。街を探検しながら買い物するという流れです。大きな導線は、8の字を描くようになっており、その導線に細かい路地が配置されています。メビウスの輪のように歩き回ってもまた元の場所に戻ってくるという感じです。

 ここのところ、東京湾岸には、お台場イクスピアリ小路はじめ、横浜のみなとみらい21、そしてイクスピアリなど大型商業施設が林立しています。今後、集客競争がより激しくなっていくと思われますが、それを見通してかイクスピアリならではの二つに取り組みを紹介します。

 一つは、不特定地域の広域をターゲットにする傾向がある大型商業施設には珍しく地元重視を貫いている点です。一般向けのイクスピアリカード以外に、地元(千葉県浦安市、市川市、東京都江戸川区の住民)限定のイクスピアリプレミアクラブと券面に記したカードを発行しています。この住民限定向けのカードは、通常の一般カードより特典があり、ポイント還元率を高めたり、駐車場料金を無料にしたりするなど様々な取り組みを考えているようです。地元重視のあらわれは、カードだけでなく、テナント配置にもあらわれています。1階部分(2階部分が入り口となっており)には、日常的に利用する食品スーパーの成城石井や書店の丸善が入っています。他のフロアに比べ、非日常、日常という点でギャップが感じられましたが、意外にも食品スーパーにもけっこうお客さんが入っていました。お客さんの服装からみた感じ、地元の方がいらっしゃているようにみえました。書店の丸善は、女性客が多く、女性向けの書籍雑誌などが充実が図れているように感じました。非日常と日常、広域からの観光客と地元客の両面を狙っている試みは興味深かったです。

 もう一つは、ディズニーならではの強みを生かした子供向けに様々な教育プログラムを用意している教育施設「キャンプ・ネポス」です。上から2番目の画像がキャンプ・ネポスの受け付け部分を写したものですが、背後に海中をイメージした世界が広がっているのが伺えることと思います。キャンプ・ネポスは、商業施設の一等地ともいえるエントランス前に立地しています。単なる託児所とは違い、乳幼児から9歳までの子供を対象にした子供の個性をはぐくむことを主眼においた冒険と創造力のワンダーワールドです。エントランス部分にあるキャンプ・ネポスの円柱形の建物は、三層で構成され、1階が海中、2階が陸、3階が空のイメージになっており、10人1組で陸、海、空の物語を体験するイマジネーション・キャンプ(2時間3,500円)が行われています。子供たちに楽しい時間を提供することで、お父さんお母さんの自由時間をつくり、ゆっくりとショッピングしてもらおうという狙いもあります。

 今回紹介しましたイクスピアリ周辺には、ディズニーランドに続き、もう一つのテーマパーク「ディズニーシー」が来年(2001年)秋にオープンします。ちなみにディズニーランドのコンセプトは「夢と魔法の王国」で、ディズニーシーのコンセプトは「冒険とロマンス」です。また、ディズニーシーのオープンにあわせて、現在工事中でしたが、3つの施設と背後のホテル群を結ぶモノレール「ディズニーリゾートライン」が開通します。
 来年のディズニーシー、ディズニーリゾートラインの完成で、舞浜における東京ディズニーリゾートが完結してグランドオープンとなり一大エンターテインメント空間ができあがることになります。エンターテインメントという観点とモノレールで移動するというイメージからアメリカのラスベガスが思い浮かびます。相乗効果がいっそう発揮される来年のグランドオープンが楽しみなところです。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ