名古屋城築城に合わせてつくられた
“堀川”を訪ねて 
(日本・愛知)

視察日:2002年4月6日

 “尾張名古屋は城でもつ”とよく言われますが、名古屋城築城とともに切り開かれた“堀川”を訪ねて参りました。堀川は、かれこれ約400年もの間、名古屋の人々屋形船を待つ人たちの生活を支えてきていることになります。かつては、清流と呼ばれた堀川ですが、時代とともに我々の生活が豊かになるに引き替え、その清らかな流れが失われていきました。しかし、ここ数年、再び“堀川”を復活させよう、きれいに浄化させようという機運が高まり、まちづくりと絡めた動きが活発になってきています。市民運動の取り組みは後ほど紹介します。

 今回、その動きの一つの象徴とも言える今年から就航している“堀川の屋形船”に乗船してきました。尾張徳川時代の風情をたっぷりと楽しんで参りました。お座敷船で、船料理を堪能しながら堀川(堀川沿いにある白川庭園観覧付き)を巡ってきました。一番上の画像は、屋形船と乗船を待つ人々を写したものです。この屋形船は、尾張藩主の船を模したものだそうです。また、上から2番目の画像は、屋形船の内部を写したものです。畳敷きで広々としているのがご覧いただけるのではないかと思います。この屋形船には、冷暖房、お手洗い、大型50インチカラオケなどが完備されています。

 乗船したのは、昼でしたが、ほぼ定員40名いっぱいの状態でした。ちなみに夜の運行もあります。今回は、乗り合いの屋形船で、上から2番目の船内の画像のようなテーブル配置になっていますが、20名様より貸しきりがOKで、そうしますと、縦にテーブルをくっつけて並べることができ、本当にお座敷らしくなると思います。今回の乗り合いの場合の料金は、船代と料理がついて大人が3,500円(アルコール、ジュースなどの飲み物は別料金)です。

 文頭で、名古屋城築城とともに切り開かれた“堀川”と紹介しました屋形船内部が、堀川をもう少し詳しく紐解いていきます。現在の堀川は、庄内川より分かれ、矢田川を暗渠で横断し、名古屋城の西から市の中心部である納屋橋地区を通り、熱田台地の西に沿って南下し、名古屋港へ注ぐ延長16.2キロメートルの河川です。江戸当時の堀川は、現在の名古屋市熱田区にあたる東海道五十三次の宿場「宮の宿(熱田宿)」までで、そこからは海が広がっていました。現在は、埋め立てられ海ははるか彼方となっています。江戸時代、舟で桑名へ向かう面影を残すものとして「七里の渡し」の常夜燈と時の鐘が建てられています。熱田界隈の史跡については、2年半ほど前に当方の視察レポート「熱田神宮界隈の史跡を訪ねて」で紹介しておりますので、合わせてご覧いただけましたらと思います。

 堀川は、1610年の名古屋城築城と時を合わせて、福島正則によって開削されたと伝えられています。当時は、名古屋の街の南北軸として、城や城下町への物資の運搬路、あるいは排水路などとして機能しており、川沿いには、米、海産物、木材などを扱う商人が集まり名古屋経済の中心でした。大正時代までの堀川は清流であり、さまざまな催し物や多くの祭りが川を中心に行われ、人々の憩いの場としても重要な空間でしたが、昭和時代に入って市街化の進展とともに水質は悪化し、護岸の老朽化が進み、また、川岸一杯まで建てられた建物もしだいに堀川に背を向けるようになり、堀川は、市民生活の中において忘れられた存在となっていきました。また、道路網の発達とともに水運としての機能も次第に廃れ、戦後になると川に浮かぶイカダも激減していきました。

 その堀川が、今年大きな転換期を迎えま白鳥庭園した。中部運輸局が船着き場のある納屋橋〜名古屋ガーデンふ頭(約19キロメートル)運航を許可し、営業を始めています。これまでも名古屋港を巡る屋形船はありましたが、名古屋の中心部の納屋橋(名古屋駅から栄方向に徒歩10分少し)まで運航するのは画期的と言えます。将来的には、さらに上流の名古屋城まで運行を延長させる計画もあります。屋形船を運航する会社は、ゆくゆくは、水上バスとして、バスや地下鉄の代わりに市民に手軽に利用してもらいたい考えがあり、さらに2005年の愛知万博などで名古屋を訪れる外国人客にも利用してもらい、名古屋観光の目玉になればと思いを募らせています。

 汚泥がたまり、悪臭を放っていた堀川は、ここ数年、地下鉄工事現場の地下水や庄内川から水を取り入れるなど浄化が進んでいるとともに、市民グループの地道な取り組みの成果も徐々に出てきています。ちょうど、屋形船に乗ったこの日に、堀川の浄化活動に取り組む市民グループ「クリーン堀川」が、第2回郷土歴史まつりを白鳥公園で開催しており、堀川をさかのぼる“水上武者パレード”で堀川の浄化を訴えるイベントも行われていました。“水上武者パレード”は、福島正則などに扮した武者姿の10数人が3隻の舟に分かれて乗り、“堀川を清流に”と染め抜かれたのぼりをひるがえしながら、七里の渡しから錦橋までの約6キロメートルをさかのぼり、橋の上に群がった市民たちに訴えていくというものです。

 市民グループ「クリーン堀川」を少し紹介しますと、名古屋市の堀川沿線で活動する6つの市民団体により2000年3月4日に結成されました。6つの市白鳥庭園で遊ぶ子供たち民団体は、黒川ドリーム、堀川とまちづくりを考える会、堀川まつり実行委員会、市邨学園堀川を清流にする実行委員会、全名古屋ライオンズクラブ連絡会、広小路セントラルエリア活性化協議会です。クリーン堀川では、毎年9月に“堀川大そうじ”のイベントを行っています。護岸の清掃はもちろん、船や水上バイク等で水面の清掃も行っています。

 上記のクリーン堀川のイベントは、たまたま今回の屋形船の乗船券に付いていた白鳥庭園入園券で、一度、屋形船を名古屋国際展示場で下りて、白鳥庭園に向かう途中にある白鳥公園で武者行列をみた次第です。このあたり一帯は、覚えていらっしゃる方もいると思いますが1989年に開催された世界デザイン博覧会跡地を整備したものです。上から3番目と4番目の画像は、白鳥庭園を写したものです。白鳥庭園は、敷地面積約3.7ヘクタールあり、名古屋市内随一の規模を誇る日本庭園です。白鳥庭園は、池泉廻遊式庭園で中部の地形をモチーフに、築山を「御岳山」、そこから流れる川を「木曽川」、川の水が注ぎ込む池を「伊勢湾」に見立て、源流から大海までの“水の物語”をテーマにした日本庭園です。白鳥庭園は、名古屋市内とは思われないほど、静かでホッとできる空間が広がっています。屋形船に乗られた方は、是非次いでに一息つかれに行かれたらと思います。ちなみに、入園料200円(子供50円)で、開園時間は、9時〜16時30分です。

 昨今、都市に住む人々は、生活に潤いを求めるようになり、水辺を生かした街づくりが注目されはじめてきています。名古屋駅に近い納屋橋も、堀川の浄化とともに、堀川沿いに若者向けのおしゃれな飲食店がオープンするなど、納屋橋の賑わいも復活してきています。堀川が、本当にきれいに浄化されるまでには、まだまだ時間はかかると思いますが、堀川沿いの地域住民、またショッピングなどで名古屋を訪れる方々の堀川への意識が変わってきていることが大きいと思います。これから名古屋がどのように変わっていくのか楽しみなところです。名古屋は海(港)に面しているのにもかかわらず、県外の方からみると名古屋というと港のイメージが薄いだけに、堀川を通して、名古屋城から名古屋港までの新たな観光の目玉になっていくのではないかと思います。今後の名古屋観光を考えていく上でも、“堀川”という軸は、さらに重要になっていくと思います。

By Nagura

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