奥武蔵の飯能・名栗界隈を訪ねて (日本・埼玉)

視察日:2000年5月22日

 埼玉県の飯能県税事務所が事務局をしております飯能地方税務研究会に招かれまして、「新しい地域の魅力づくり飯能駅前商店街」への視点(〜行政サイドの経営の視点も通して〜)という題目で講演をさせていただきました。
 講演は名栗村のあすなろ会館で行われ、県税事務所の方々はじめ、飯能市(はんのう:人口82,522人:平成12年1月1日現在)、入間市(いるま:人口145,413人:平成12年1月1日現在)、日高市(ひだか:人口54,506人:平成12年1月1日現在)、毛呂山町(もろやま:人口37,429人:平成12年1月1日現在)、越生町(おごせ:人口13,926人:平成12年1月1日現在)、名栗村(なぐり:人口2,791人:平成12年1月1日現在)の各自治体の収入役、税務課長はじめ職員の方も参加されました。そのこともあり、講演前にこの6市町村を駆け足で巡ってきましたので、その模様を今回紹介したいと思います。

 今回訪ねました飯能県税事務所の管轄エリアの飯能市、入間市、日高市、毛呂山町、越生町、名栗村の6市町村は、埼玉県の南西部にあたり、一部地域を除き青梅市など東京都に接しています。愛知県からですと、横浜経由でも行けますが、利便性を考えて今回は東京経由で行きました。池袋から西武池袋線で飯能まで50分ほど(特急なら40分ほど)で、新幹線を降りて、東京駅から丸ノ内線で池袋に出て、飯能駅まで1時間30分かからないくらいで行けました。乗り継ぎさえよければ、1時間少しで東京駅からも行ける距離です。池袋、新宿あたりは1時間圏内ですので、東京都心へのベッドタウンとなっているのもうなづけます。

 まず、6市町村を訪ねた全体的な感想としまして、都心から1時間ほどでこれだけ豊かな自然が広がっていることにまず素晴しいと感心いたしました。狭山茶畑/入間バブル時の地価が上がっていた以前ほどの勢いはないと思いますが、都心のベットタウンとして便利な地だけに、宅地開発と豊かな自然のバランスをうまくとっていって欲しいものです。

 一番上の画像は、飯能駅前の商店街を写したものです。予想した以上ににぎわいがあるという印象を受けました。一般的な地方都市の人口約8万2千の市のイメージとは違い、首都圏における鉄道沿線上という特殊性が感じられました。このあたりは、地方都市によくみられるような郊外型の大型スーパーなどはあまり見られなく、もともと工場跡地などの転用が少ないのも良い影響を与えているように感じました。また、埼玉県広域消費動向調査を見ましても、飯能市の買い物流出状況はあまり見られず、商圏的にバランスのとれた地域と言えます。6市町村における他の市町村の流出状況を見ますと、越生町が坂戸市へ、毛呂山町が坂戸市と川越市へ、日高市が坂戸市と川越市へ、入間市が隣接する東京都へ、名栗村が隣接する東京都へ流出している状況が伺えます。

 上から2番目の画像は、入間市に広がる広大な茶畑を写したものです。新緑鮮やかな茶畑を感じていただけることと思います。5月1日に八十八夜をむかえ、5月下旬ころまで一番茶の茶摘風景が見られます。静岡、宇治などで茶畑を見たことがありますが、入間市に広がる茶畑の眺めは、静岡に負けないほど、なかなか壮観でした。埼玉県下全般に生産されるお茶の総称を“狭山茶”と呼んでおり、ここ入間市が生産量、栽培面積も県下一で主産地となっています。狭山茶摘歌には「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と歌われています。
 また、今回は行けませんでしたが、お茶巾着田/日高に関する展示を中心に、入間の自然や歴史を紹介している入間市博物館アリットは、別名“お茶の博物館”と呼ばれており、中国から世界各地に伝わったお茶の歴史、国により違いのある喫茶の風習などが解説されているとともに、千利休の茶室やイギリスのティールームも復元されています。

 上から3番目の画像は、日高市にある子供から大人まで楽しめる気軽なレジャースポットとして広く市民に親しまれている巾着田(きんちゃくだ)を形成する高麗(こま)川を写したものです。蛇行している高麗川に囲まれた地形が、日和田山から見るとちょうど巾着のような形をしていることから巾着田と呼ばれています。上から3番目の画像の右手に巾着田が広がっており、高麗川は画像の上の方から右カーブを描くように300度近く円を描くように蛇行しています。巾着田の広々とした開けた視界に広がる緑のじゅうたんは、眺めていて本当に気持ち良いです。春の菜の花、レンゲ、秋の彼岸花の花が咲き乱れる景色は見事で、周辺道路はかなり渋滞するそうです。

 上から4番目の画像は、名栗村を高台から写したものです。名栗村は、村全域が奥武蔵県立自然公園に指定されていて、手つかずの自然が残っているところです。都心に近い秘境と言えます。ここ名栗村の特産が、優秀な木材として高い評価を受けている「西川材」です。その名は江戸時代から有名で、江戸(東京)への遷都による城下町の建設とその発展には、たくさんの木材が必要で、めざましく林業が発達します。当時の輸送手段は川であり、多くのいかだが名栗川、入間川、荒川を経て江戸へと運ばれています。「西川材」の名前の由来は、江戸から見て西の川から来る木材というところからきています。現在は、西川材を利用したカヌーづくりやカヌロフ名栗村ト(カヌーづくりからヒントを得て開発された家:カヌーを逆さにしたような家)づくりも行われています。
 講演をこの名栗村の今年(2000年)春にできたばかりの西川材をふんだんに使って建てられたあすなろ会館で行いました。出来たばかりの木の香りが心地よく漂うホールで行わさせていただきました。

 その他、毛呂山町と越生町も車で通り抜けた程度ですが、巡ってきました。どちらの町も他の市町村同様に豊かな自然にあふれています。毛呂山町は、とりわけユズが町を代表する特産品として全国的に有名です。麺にユズを練り込んだユズ入りうどんが地元の人にも人気があるそうです。

 越生町は、町内に五大尊つつじ園、越生梅園、あじさい山公園、さくらの山公園などがあり、町全体がフラワーパーク的な感じがいたしました。それだけ、豊かな自然があるということであり、その他、黒山三滝などもハイキングコースとして人気があります。

 今回、奥武蔵地方を駆け足で回りましたが、首都圏のベットタウンとして発展してきた背景(特に首都圏に直結する鉄道沿線上)が感じられましたが、まだまだ豊かな自然が十分に残っていることにホッとするとともに、時間がゆったりと流れる面も感じられました。今回、講演で招かれましてあくまで仕事・ビジネスとして行ったわけですが、感覚的に自然を散策でき、なおかつ講演会場も木の香り漂う中で行え、リゾート気分を味わってきたような感覚さえ覚えました。

 時代の流れが早いことを世間では“ドックイヤー(犬の時間)”と言いますが、ここ奥武蔵地方を巡ってみて、その反対の“タートルイヤー(亀の時間)”というキーワードのゆったりした時間における満足感が得られました。飲食の世界でも、“ファーストフーズ”が指示される一方で、“スローフーズ”も注目されています。“まち”を考えていく上においても、ファーストフーズ的なまち、スローフーズ的なまち、そのまちの持っている資源の生かし方があるように思います。ここ奥武蔵地域は、首都圏の奥座敷的な意味合いで由緒正しき場所のようなイメージを高めていくのも一つではないかと思った次第です。奥座敷と言いますと、京都でいう宇治、鹿児島でいう霧島などが思い浮かびます。

 今回、奥武蔵の6市町村を視察するにあたり、飯能県税事務所の清水氏に事務所のお車・環境に優しいハイブリッドカーのプリウスで6市町村をご案内いただきました。また、講演の事前準備(現地資料の収集)等で飯能県税事務所の高山氏にご尽力いただきました。今回講演をお聞きいただきました6市町村、県税事務所の方々含め、最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

By Nagura

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