駅前再開発が進んでいる
クラシティ半田を訪ねて 
(日本・愛知)

2006年12月20日

 生まれ変わりつつある愛知県半田市(人口119,347人、45,557世帯:2007年2月1日現在、面積47.24平方キロメートル)のクラシティ半田中心市街地の名鉄知多半田駅界隈を訪ねてきました。半田市は、知多半島のほぼ中央に位置し、江戸時代から、海運、醸造、繊維などの産業とともに発展し、知多半島の経済、政治、文化をリードしてきたまちです。また、恵まれた自然環境により江戸期から醸造業が栄え、早くから開けた海運により知多半島の産物である酒や酢、味噌、たまり醤油、木綿などが江戸、大阪などに運ばれるなど食が豊かなところです。あの有名なミツカンの本社は、ここ半田市にあります。

 半田市の視察レポートは今回が2回目で、前回のレポート「「蔵の街」知多半島の半田市を訪ねて」で、半田の文化・歴史などに触れておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。今回は、生まれ変わりつつある新しい半田の中心市街地を紹介していきたいと思っております。変わりつつあると言っても、助走期間を終えて、ようやくスタートラインについたという感じです。

 その助走期間も10年余かかって、ここまできています。知多半田駅前の市街地再開発事業がスタートしたのは1995年(平成7年)です。1995年に研究会組織として準備組合を設立して本格的なスタートとなりました。そして、知多半田駅前再開発ビルができたのが、昨年(2006年)5月11日です。約11年かかっています。多くの地域における再開発がそうですが、再開発事業というのは、10年、20年と時間がかかるものです。知多半田駅前再開発ビルができるまでには、かなりの苦労の連続だったことと思います。そして、まちづくりへの評価というものは、これからクラシティ半田であり、核施設となる知多半田駅前再開発ビルを中心にどう地域のにぎわいを創出していくかにかかっています。

 それでは、昨年(2006年)オープンしたばかりの知多半田駅前再開発ビルを紹介していきます。知多半田駅前再開発ビルの名称は、「クラシティ半田」です。クラシティ半田は、1階と2階が商業・サービス施設、3階が公益施設などが入った市民交流センター、4階と5階が公共駐車場、そして、7階から17階の高層階には都市型住宅を配した構成となっています。クラシティ半田には160台の駐車場がありますが、名鉄知多半田駅と直接連絡通路(立体歩道)でつながっており、改札を出てそのまま店舗に行くことができます。

 知多半田駅の改札を出ると、クラシティ半田の3階部分と立体歩道でつながっており、そこから入ると、広くゆったりとした通路のある市民交流センターがあります。上から5番目の画像は、市民交流センターを写したものです。担当者に伺ったところ、このビルと市民交流センターは非常に相性がいいとのことです。市民交流センターは、子育て総合支援センター、市民活動支援センター、市民交流プラザから成っています。子育て支援を利用する会員は、既に11,000人を超えているそうです。(2006年12月時点)

 1階と2階の商業・サービス施設において特徴的なのは、食品スーパーなどの食料品は配置していないことです。これは、すぐ近くクラシティ半田に食品スーパーがあり、競合するのではなく、回遊性をもたせた“面”としての展開を睨んだものと思います。商業施設そのものの面積もそれほど大きくなく、身の丈にあったほどよい大きさの配置となっています。数字的なものをみますと、クラシティ半田の敷地面積は5,267.83平方メートルで、建築面積が3,757.87平方メートルです。延べ面積25,848.41平方メートルの内訳は、商業施設4,255.09平方メートル、銀行等3,207.74平方メートル、公益施設3,590.43平方メートル、住宅8,827.61平方メートル、駐車場5,962.54平方メートルとなっています。総事業費は約37億円かかっています。

 上記の数値で、全体的にみて銀行等がかなりの面積があるとお気づきではないでしょうか。クラシティ半田には、三菱東京UFJ銀行、地元の知多信用金庫、三菱UFJ証券が入っています。金融機関関係は、直接の売り上げにつながるところではありませんが、集客としての利用者を見込んでおり、その利用者が他のお店で消費する流れを想定しています。想定した通りに、利用者もあり、相乗効果につながっているとのことでした。今、多くの大型店では、医療モールを併設するところが増えており、直接、売り上げにつながらない間接的な面にも投資をする動きが高まってきています。

 一番上の画像は、1階にあるパン工房を写したものです。1階、2階の飲食・物販の商業空間を見ていますと、地元の人気店はじめ、外から呼んできた店などクラシティ半田全体で22店舗ほどと多くはないのですが、こだわりというかうまく地元嗜好を掴んだバランスのとれた選択がされているように感じました。空間的には、通路も広くゆったりとしており、ところどころに休憩するスペースもあり、居心地の良さがあります。上から2番目の画像は、店舗の中央あたりにある吹き抜け空間の休憩スペースを写したものです。画像から蔵のイメージを醸し出しているのが伺えることと思います。半田ならではの“蔵のまち”のイメージを打ち出しています。

 先見の明があったなあと思ったのが、上層部を住居にしたことです。住居は7階から17階の54戸ですが、売り出しと同時に即完売になったそうです。伺ったところ当初は、ホテルの予定だったそうです。10年余前の計画時に、ホテルから住宅に見直す際には、なんで住宅なんだとかなり周囲から批判があったそうです。今でこそ、まちづくりは住む人を増やしていこうという考え方になってきていますが、10年前の当時はかなりの批判があったそうです。あと、コスト削減という観点の決断で感心したのは、駐車場の設置場所です。当初の計画では、地下に駐車場を造るというものだったそうです。それを地下から地上の4階と5階に変更することで何億円という経費の削減につながったそうです。もし、地下駐車場にしていれば、4階、5階を有効活用することで、商業スペースなどがもっと広くなり充実した店舗構成も可能になりますが、個人的には、名古屋という大商圏も近く、半田界隈の商圏的にみて、感覚的ですが、現状の施設が身の丈にあった無理しない範囲のほどよい大きさのように感じております。

 あと特徴的な取り組みとして、「ごんのおさいふカード」というオリジナルのエディカードをつくっている点が挙げられクラシティ半田ます。エディは、電子マネーで、他にも「クイックペイ」「スマートプラス」「iD」などの電子マネーがあり陣取り合戦をしている状態です。電子マネーは、貨幣価値の交換、決済を電子上で実施するシステムの総称です。主に非接触型のICカード型が普及しています。事前に現金を払って使う「前払い」と銀行口座などと連動してお金を引き落とす「後払い方式」があります。ちなみに、クラシティ半田で使われているエディは、前払い方式です。

 上から4番目の画像は、エディ機能が搭載された「ごんのおさいふカード」にチャージ(入金)するための店内に設置してあるエディチャージャー(現金入金機)を写したものです。「ごんのおさいふカード」は、エディ機能だけでなく、お買い物金額200円ごとに1ポイントが貯まり、お買い物券の交換や各催し物の参加などに利用できます。また、クリスマスイベントなどの特別企画などの際は、5,000円チャージごとに500円のお買い物券がもらえたり、通常500ポイントで500円のお買い物券に交換できるところを、2倍、4倍、6倍、8倍(4,000円)の当たるチャンスなどあります。この「ごんのおさいふカード」は、ここクラシティ半田だけでなく、商店街の加盟店でも利用することができます。

 余談ですが、「ごんのおさいふカード」の名前の“ごん”は、「ごんぎつね」のことです。新美南吉の「ごんぎつね」をご存知でしょうか。小学校の国語の教科書にも載っており、懐かしいと思い出す方も多いことと思います。新美南吉は、ここ半田市で生まれました。市内には、新美南吉記念館もあります。また、新美南吉は安城高等女学院(現安城高校)の教諭も一時期しており、隣の安城市でも七夕まつりの際にごんぎつねのオブジェをつくったり、有志により新美南吉の映画づくりも進んでいます。

 旬な情報として、造幣局が日本の名作童話をテーマとしたごんぎつね貨幣セットを販売しています。500円から1円までの6種類の通常貨幣と愛らしい「ごんぎつね」をデザインに用いた丹銅製年銘板1枚をプラスチックケースに組み込み、「赤い鳥」掲載時の表記により「ごんぎつね」全文を忠実に再現した特製の冊子とともに、童話本をモチーフとしたブック型ケースに入れ、外装紙ケースに収納されています。販売価格は2,300円で、7万セットの販売予定をしています。申込期間は、2007年2月20日までです。ちなみに当方は申し込んでみました。

 今回の視察レポートでは、生まれ変わりつつある知多半田駅界隈のランドマークと言えるクラシティ半田を紹介しました。上から3番目の画像は、知多半田駅からクラシティ半田と商店街の通りを写したものです。右端に見えるのがクラシティ半田ですが、写真からもご覧いただけるように、整備はこれからということがお分かり頂けると思います。まちづくりという観点では、スタートしたばかりです。これからも定点的に今後のまちづくりを見ていきたいと思っております。皆さんも今後の展開を長い目で見ていって頂けたらと思います。

By Nagura

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