“水の都”冬の郡上八幡を訪ねて (日本・岐阜)

2003年1月30日

 ちょうど大雪となった日、2003年1月30日に郡上八幡(人口16,816人:2003年1月1日現在)に行って参りました。地元の方に伺ったところ、前日までは、道路には雪がなかっ寒ざらしののぼりたそうです。一夜にして30〜40センチほど積もって、いくら雪に慣れている地元とは言え、大雪にてんてこ舞いの状況でした。

 私は、自宅(愛知県安城市)から郡上八幡に向けて朝から出掛けたのですが、乗ることを予定していた名古屋からの高速バスは、愛知県内で雪のため高速道路が不通になり運行してなく、なおかつ、愛知県内の鉄道も雪のため遅れているなか、鉄道を利用して郡上八幡まで辿り着くのも一苦労でした。地元の方も大雪のため、早朝から雪掻きなどでたいへんだったようですが、郡上八幡まで行くのに時間がかかったとは言え、私にとっては、冬ならではの風情ある雪景色の郡上八幡を見ることができたことは良かったです。

 郡上八幡は、四方を山に囲まれ、まちの真ん中を吉田川と小駄良(こだら)川が流れ、長良川に合流しています。町中には、わき水がでており、国土庁(現国土交通省)の水の郷百選にも選ばれています。岐阜県内では、ここ八幡町以外に、大垣市、海津町、馬瀬村も水の郷百選に選ばれています。ちなみに、愛知県では、旭町の1カ所のみです。今回の視察レポートでは、冬の郡上八幡の風物詩でもある寒ざらしはじめ、町家を利用した空き家の活用の取り組みに関連して、日本福祉大学の学生たちがフィールドの場として郡上八幡で活動している様子などを紹介します。また、以前に夏の郡上八幡を紹介しました視察レポート「“おどり”“鮎”夏の郡上八幡を訪ねて」、秋の郡上八幡を紹介しました視察レポート「“水の町”郡上八幡を訪ねても併せてご覧頂けましたらと思います。

 今回、郡上八幡には、八幡町役場から講演を依頼されまして行って参雪の路地の趣きりました。地域経済懇話会の集まりにおいて、新しい地域の魅力づくりへの視点(〜市町村合併を新たなまちづくりの機会に〜)という観点でお話させて頂きました。八幡町含む郡上郡7町村は、2004年3月の市町村合併に向けて法定協議会が立ち上がっており、そのような状況のなか、合併後の新たなまちづくりの視点などをお話させて頂きました。これから、郡上郡7町村において、合併に向けてより具体的な内容を詰めていく最も重要な時期を迎えており、より良い魅力ある地域になっていくことを願っております。

 郡上八幡は、本当に雪がすごく、着いた時は、道路の除雪作業中ということもあり、革靴でそのまま行ったことは、少し失敗でした。大雪の様子は、一番上の画像と、上から2番目の画像からご想像頂けることと思います。そして、一番上の画像には、橋の欄干に、冬の風物詩である“郡上本染 鯉のぼり 寒ざらし”というのぼりが見られます。

 寒ざらしとは、郡上本染で作られた鯉のぼりの絵付け作業後、まちの真ん中を流れる清流吉田川で糊を落とす作業(大豆のしぼり汁を加えた顔料で色付けしたカチン染めの仕上げ作業)のことを言います。子供たちの健やかな成長を願う行事として、江戸時代から400年余の伝統を持ち、毎年、大寒の日に一般に公開して行われます。2003年の大寒は1月20日(月)であり、さらに日曜日である2月2日にも一般公開されました。私が行った日町家の本右衛門外観は、1月30日で作業風景を実際に見ることが出来ず残念でしたが、郡上八幡楽藝館で、「郡上本染展」が行われており、そちらで堪能してきました。写真でみた限りですが、大寒の吉田川の水の中を如何にも鯉のぼりが泳いでいる様子は、爽やかな5月(子供の日)の空を泳ぐ鯉のぼりとはまた趣きが違い風情が感じられました。

 寒ざらしは、岐阜県の重要無形文化財に指定されている渡辺庄吉氏(郡上本染作家)を中心に6、7名の方が冷たい水の吉田川の中に入り、鯉のぼりの糊落とし作業をします。寒ざらしには、報道機関はじめ、アマチュアカメラマンが100人以上集まるそうです。大寒の寒ざらしの寒いなか、清流で洗うことで布が引き締まり、赤や黒などの鮮やかさが増すそうです。今度、子供の日に空に泳ぐ鯉のぼりを見られる際は、赤や黒の鮮やかさにも注目してみられてはいかがでしょうか。

 郡上八幡は、冒頭で“水の郷百選”と紹介しましたが、そればかりでなく“全国都市景観百選”にも選ばれています。郡上八幡は、八幡山にある郡上八幡城の麓に位置する城下町としての歴史を刻んでおり、歴史ある町家や家屋が数多く現存しています。郡上八幡のまちなみ景観に関しては、日本福祉大学の佐々木先生はじめ、ゼミ生である学生たちが、郡上八幡らしさを感じさせる“生きたまちなみづくり”に貢献するとともに、フィールドの場として生きた実践教育を学んでいます。

 2003年度の日本福祉大学・情報社会科学部の卒業研究(論文)テーマ町家の本右衛門店内には、5人の学生が郡上八幡をフィールドの場として、「建物に関するデータベースづくり」や「用水路の調査とGIS作成」などを調査研究しています。このような郡上八幡をフィールドの場とした活動は、数年前から行われており、八幡町が推進している空き店舗活用の際にも生かされています。

 2001年10月から2002年3月まで行われました「空家の利用・活用を考えよう。まちの元気づくりワークショップ」では、日本福祉大学の佐々木先生と児玉先生がまとめ役(ファシリテーター)として関わっています。そのワークショップでの話し合いを経て、実証実験空家活用として誕生したのが、上から3番目と4番目の画像です。

 上記のワークショップでの話し合いを経て2002年6月に、八幡町の「平成14年度 市街地空き家利活用推進事業」の一環として、職人町の空き家を“町家本右衛門”として、7つの店舗が入るお店として開館しました。町家本右衛門という名前の由来は、江戸時代にこの家に遠藤本右衛門という方が住んでいた(八幡町史より)ことに由来して命名したとのことです。そして、この空き家である“町家本右衛門”には、手作り小物販売の「風花(ウイングハウス)」、藍染め体験コーナー&小物販売の「えん」、招き猫グッズの「まねきねこ本舗」、水墨絵実演販売の「わくや」、ドライフラワーアレンジ小物の「ブルーハート」などが入っており、その他、野菜朝市、託老所としても利用されています。上から3番目の画像が“町家本右衛門”の外観を写したもので、上から4番目の画像が店内というか町家の中を写したものです。店舗として、1階部分に加え、2階部分が使われており、中央部分が吹き抜け空間になっており、2階部分から吹き抜けを通して1階の眺めが実にいいです。ちなみに、2階へは、上から4番目の画像の右半分に写っているタンスを兼ねた味のある階段を昇っていきます。

 “町家本右衛門”は、空き家利活用の平成14年度事業の実証実験のような形で行われており、2003年3月末までですが、既に、この“町家本右衛門”から巣立って、別の場所でショップ経営を継続される方も出てきています。ちょうど、お伺いした時に話をお聞きしたショップの方は、4月以降別の場所で継続してお店を経営するとおっしゃっていました。今回の事業が、インキュベーター(保育器・孵化器の意、ベンチャービジネスを軌道に乗せるまでの施設・機器・資金などの援助を行う場)的な役割も果たしています。平成14年度市街地空き家利活用推進事業が終了するとは言っても、今後の展開として、“空き家利活用サポート組織”や“まちの元気づくり空き家利活用認定制度”なども考えられており、これからの取り組みが楽しみなところです。これだけ素晴らしい歴史ある町家や民家という宝物を存分に生かしていって欲しいものです。

 郡上八幡は、豊かな自然と風情あるまちなみが続き、見どころがたくさんで、散策するのにちょうどいい広さです。皆様方も機会がありましたら、ぶらぶらと散策にでも行かれてみてはいかがでしょうか。今回、郡上八幡の視察にあたりまして、八幡町役場の清水様にご説明いただくとともに、ご案内いただきました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

追伸:
 学生はじめ大学と自治体や商店街との連携は、ざまざまなところで進んでいます。視察レポートとしては、まだまだ少ないですが、検索項目で新たに「学生・大学における連携の取り組み事例(商店街・行政などとの連携)」を設けました。クリックして頂きご覧頂けましたら幸いです。学生・大学とまちづくりという観点では、これからも数多く紹介していきたいと思っております。ちなみに来月(2003年4月)の視察レポートでは、兵庫県三田市の商店街で活躍する関西学院大学の学生の取り組み大阪府守口市の商店街で活躍する大阪国際大学の女子大生の取り組みを紹介します。また、次次回(2003年5月)には、群馬県高崎市の商店街で活躍する高崎経済大学の学生の取り組み山形県最上町と日本福祉大学との友好協力宣言の取り組みの紹介を予定しています。乞う御期待を。お楽しみに!

By Nagura

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