東海道五十三次のどまん中の宿場・袋井市
&城下町の掛川市を訪ねて 
(日本・静岡)

2003年5月2日

 静岡県袋井(ふくろい)市(人口約6万2千人、面積80.1平方キロメートル)と隣の市(宿)の掛川(かけがわ)市(人口約8万人、面積185.79平方キロメートル東海道どまん中茶屋)を訪ねて参りました。今回の視察レポートでは、袋井市を中心に紹介していきます。掛川市は、以前に視察レポートで紹介しており、今回、袋井市に近いということもあり、約5年半ぶりに定点観測という意味合いも含め、以前と同じポイントを歩いてきました。掛川市は、5年半ぶりに訪ね、どのように変わったのかなど紹介していきます。また、以前の掛川市の視察レポート「掛川城下町」も併せてお読み頂けましたらと思います。

 まず袋井市について紹介していきます。袋井は、古代から東西交通の動脈として多くの人や物の交流が行き交う東海道の宿場町として発展したきたまちです。東海道は、古くは“海の道”と呼ばれ、それが、東方の海の道ということで「東海道」に変化したものと言われています。東海道の歴史を紐解いていきますと、奈良・平安時代から存在し、1192年に源頼朝が鎌倉に幕府を開いた頃から大きく発展し、やがて徳川家康が天下を握ると、江戸の日本橋が各街道の起点となり東海道は、国内最高の幹線道として整備されていきます。

 その徳川家康が1601年に掲げた道路政策「宿場制度(伝馬制度):江戸(東京)の日本橋から京(京都)の三条大橋までの約500キロメートルの間に53の宿場を整備」により、ここ袋井にも1616年に袋井宿が開設されました。東海道に宿場が次第に整備されてゆき、3代将軍徳川家光が参勤交代の制度を定めた1635年以降本格的な賑わいを見せ始めます、庶民には、弥次さん喜多さんで有名な十返舎一九の「東海道中膝袋井宿場公園栗毛」などの旅本や安藤広重の「東海道五十三次」などの浮世絵によって、街道を行き交う文化に触れ、お伊勢参りなどの信心旅行をベースに旅行ブームがおきました。

 ここ袋井宿は、東海道五十三次の中で、東から数えても、西から数えてもちょうど27番目の“どまん中”にあたります。江戸の当時(1843年)の袋井宿は、旅籠50軒、本陣3軒、家数195軒、人口843人だったそうです。袋井市では、この“東海道どまん中”というキーワードをまちづくりや地域活性化に活かしています。今回の視察レポートでは、この“東海道どまん中”という観点から紹介していきます。

 一番上の画像は、「どまん中ふくろい」を全国に知ってもらおうと、2000年1月に安藤広重の浮世絵「袋井出茶屋ノ図」を再現した“東海道どまん中茶屋”を写したものです。広重の浮世絵にみられる簡素な当時の茶屋風景を再現しており、くつろげる空間が広がっています。“東海道どまん中茶屋”は、地元自治会や有志グループ「袋井宿宿場町振興会」などがボランティアで運営しており、年中無休(午前9時〜午後5時)でウオーキングブームで街道を散策する人々を迎えています。“東海道どまん中茶屋”は、ウオーカーと地元住民の触れあいの場、そして市民の憩いの場としてしっかり定着してきています。地元の子供たちが、地元のおじいちゃんおばあちゃんから歴史や昔ながらの遊びなどさまざまな知恵を学ぶ場にもなっています。

 2000年1月の開設以来、“東海道どまん中茶屋”にはこれまで3年ほどで、約1万5千人以上の方が訪ずれ、芳名帳も50冊を超えています。ちなみに、私も芳名帳に名前を記してきました。私が訪ねた際も、“東海法多山参道道どまん中茶屋”では、地元の方々からあたたかいおもてなしを頂き、お話も伺ってきました。ちょうど新茶の季節であり、新茶とともに、みんなから“おばあちゃん”と親しまれている杉浦たのさん(92歳)が漬けたつけものを頂いてきました。薫りのいい新茶と漬物がおいしかったです。お茶とつけものは、無料でおもてなし頂けます。おばあちゃんのたのさんは、体調を崩されていらっしゃるということで、残念ながらお会いすることはできませんでした。また、茶屋名物の“どまん中茶屋まんじゅう”(6個入り1パックで300円)も食べましたが、皮がみそ風味のまんじゅうでこちらもおいしかったです。

 ちょうど、“東海道どまん中茶屋”で東海道をウオーキングされていらっしゃる方と一緒になりました。今日は、掛川から歩いて来られたということでした。東海道を東京から京都まで歩かれるそうで、ようやくどまん中の袋井宿である“東海道どまん中茶屋”に着いたそうです。昨今、歴史人気や健康ブームで、ウオーキングのすそ野が広がっているようです。上記の“東海道どまん中茶屋”でお会いしたウオーカーの方が、歩く旅を楽しんでいる背景には“東海道五十三次完歩認定証制度”も後押ししているようです。

 “東海道五十三次完歩認定証制度”とは、会員の要望から日本ウオーキング協会が2003年3月から始めたものです。条件は、東京の日本橋または京都の三条大橋を出発し、53の宿場すべて通過するというもので、歩行日数は問わず、何年かかってもかまいません。参加される方は、事前に日本ウオーキング協会に計画書を出し、通行手形となるパスポートを受け取ります。出発とゴールは、同協会が立ち会い、中間掛川おかみさんギャラリー点のここ袋井の“東海道どまん中茶屋”で通過証明を押してもらいます。登録料は一人2000円(障害保険料も含んで)です。ご参考までに、ウオーキングマナー五ケ条は、「やぁ!おはよう明るい挨拶さわやかに」「信号で、あわてず、あせらず、待つ余裕」「ひろがるな、参加者だけの道じゃない」「自分のゴミ、自分の責任でもち帰り」「歩かせていただく土地に感謝して」です。また、ウオーカーの心得は、「帰るときは来たときよりも美しく」「写真以外はとるべからず」「足跡以外は残すべからず」です。“歩く”と言えば、私自身小学校の頃、“歩け歩け運動”というものがあり、よく参加した記憶が残っていますが、これも日本ウオーキング協会が主催していたようです。

 遠い昔に想いをはせるような袋井市内の東海道は、“東海道どまん中茶屋”を中心として、散策できるように整備されています。上から2番目の画像は、“東海道どまん中茶屋”から京都方面に5分ほど歩いたところにある「袋井宿場公園」を写したものです。また、斜め前には、袋井宿東本陣公園も整備されています。袋井宿場公園は、画像をご覧頂きますとわかりますが、広々としており、各種ウオーキング大会のスタート・ゴール地点として有名です。また、公園内の塀はギャラリーとしても利用されています。あと、まち並みを歩いて気づくのが、各お店の店頭に共通の風情ある「東海道どまん中 ○○屋」などと書かれた木製の看板が見られることです。まち挙げて、東海道どまん中袋井を盛り上げている様子が伝わってきます。

 東海道どまん中の宿場町・袋井には、遠州三山として有名な「法多山尊永寺(はったさんそんえいじ)」「萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)」「医王山油山寺(いおうざんゆさんじ)」をはじめ、多くの古社寺が点在しています。袋井宿は、昔からお詣りなどで賑わってきたところです。今回、駆け足で遠州三山も巡ってきましたので、それぞれ簡単に紹介します。上から3番目の画像は、法多山尊永寺の境内にのぼる参道を写したものです。法多山尊永寺は、725年に聖武天皇の勅命により高僧行基上人が創建しました。本尊の正観世音菩薩は由緒ある厄除け観音として知られています。法多山名物の厄除け団子も食べてきましたが、なかなか美味です。

 萬松山可睡斎は、1401年に怒仲禅師によって創建され、火守守護の総本山として知られています。可睡斎は、ボタンの寺としても有名です。また、近くには3万坪の敷地に世界200余種類のゆりの花が咲き競う“可睡ゆりの園”(2003年度は4月19日〜7月6日まで開園中)もあります。医王山油山寺は、約1300年前に行基大士によって創建され、目の霊山として知られています。名前の由来は、昔、油山寺が立つ山から油が湧き出していたことから付いたそうです。皆さんも“東海道どまん中茶屋”を中心とする東海道の散策を兼ね、遠州三山にも足をのばされてはいかがでしょうか。あと“東海道どまん中茶屋”の近くにある袋井名産でもあるうなぎの専門店“うなぎ小太郎”で食べてきましたが、うまかったです。袋井名産のクラウンメロンもデザートで付いてきます。

 それでは、最後に、約5年半ぶりに行きました掛川市を紹介いたします。まず、大きく変わったところとして、掛川駅前にあった空きビル(大型スーパーが郊外に移転して空いていたビル)が取り壊され(すべてではなく一部かも知れませんが)、更地にされて駐車場として活用されていました。そして、駅前から掛川城に向かう商店街のあるメイン道路を歩きましたが、以前行った時は、駅前の大型スーパー移転で何となく元気がなかったような印象を受けましたが、今回は、がんばっているというような活気が感じられました。街角美術館街道と称して、商店街のところどころで街角美術館が見られるなど、新たな取り組みも始まっていました。上から4番目の画像は、街角美術館の一つである“街ん中おかみさんギャラリー”を写したものです。また、“市”としておかみさん市や三の丸楽市なども行われています。

 掛川中心市街地の商店街を歩いていまして、以前にテレビで見ました掛川の商店街の取り組みをふと思い出しました。それは、子供たちの描いた絵を商店街の街角や店舗に展示して、子供たちの両親やおばあちゃん、おじいちゃんにも商店街に足を運んでもらおうという取り組みです。この取り組みは、商店街の方々が学校に掛け合うことで実現しました。保育園から中学生までの絵を立派な額に入れて、商店街のあちこちに飾り、そして、ここがポイントですが、誰の絵がどこに飾ってあるかということをあえて示さないことです。街中に何十枚とあるところどころに置かれた絵を子供たちが、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんなどと商店街の中を自分の絵を探して歩き廻ってもらうことで、商店街をより知ってもらおうという意図があります。今回、5年半ぶりに商店街を歩きまして、街角美術館が設置されていたり、城下町風の街並みがさらに充実していたり、大名行列の壁画があったりと商店街、市民、行政などが一丸となってがんばっている姿が垣間見られました。

 前回の視察レポート「掛川城下町」でも載せてありますが、簡単に掛川の見どころを紹介します。「掛川城」は、日本初の本格木造復元天守閣でよみがえった城です。掛川城は、戦国時代に今川義忠が築城し、天守閣は、山内一豊が築いたものです。また、掛川城周辺を走る人力車が人気を集めています。みやげ物店としては、掛川城の目の前(川を挟んだ向こう側)に、「茶処こだわりっぱ」があります。地元産の掛川茶や工芸品など品揃え豊富です。観光案内所も建物内にあります。「茶処こだわりっぱ」からの掛川城の眺めが絶景ですので、ここから記念写真を撮られるといいと思います。あと、商店街を通って掛川駅まで足を伸ばしますと、新幹線側の駅構内に「これっしか処」があります。「これっしか処」は、掛川市だけでなく、近隣地域24市町村からの選りすぐりの名菓、産物、工芸品などの各地域ならではの逸品が並んでいます。

 今回、袋井市と掛川市を紹介しましたが、両市は隣同士で、駅にして二駅、距離では10キロほどで非常に近いですので、併せて行かれましたらと思います。また、掛川市では、5月20日(2003年)から市街地循環バス“コミュニティバスのスローライフバス”が走り出します。通学、通勤、買い物などで利用される市民以外に、観光客の方にとっても移動に便利になります。1回どこまで乗っても100円ですので、利用されるのもいいのではないかと思います。

By Nagura

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