市 民 協 働 に よ る
安城市のどんじゃらまつりを訪ねて
(日本・愛知)

視察日:2009年3月21日

 2009年3月21日の土曜日に安城市(人口179,547人、66,942世帯:2009年4月1日現在、面積86.01平方どんじゃらまつり1キロメートル)で行われましたどんじゃらまつりを訪ねてきました。安城市は、明治用水の豊かな水に育まれ「日本デンマーク」と呼ばれるほど農業先進都市として発展してきました。

 近年は、中部経済圏の中心である名古屋市から30キロメートルという近い距離にあり、豊田市などの内陸工業都市や碧南市などの衣浦臨海工業都市に隣接するという地理的条件にも恵まれ、自動車関連企業をはじめとする大企業の進出、住宅団地の建設が盛んになり、急速に都市化が進んでいます。

 また、以前に、安城市を紹介しました視察レポート「安城の中心市街地の学校と商店街挙げてのお祭り“サンクスフェスティバル”を訪ねて」、視察レポート「市民参加の安城七夕まつりを訪ねて」、視察レポート「手づくり感覚の安城七夕まつりを訪ねて」、視察レポート「安城の歴史・文化探訪」、視察レポート「三河地方の“農業”“工業”を支えている明治用水を訪ねて」も併せてお読み頂けましたらと思います。安城の歴史、文化をより深くご理解頂けると思います。

 どんじゃらまつりは今年(2009年)で6回目となります。どんじゃらまつりは市民協働で開催、運営がされています。主催は安城市の人にやさしいまちづくり推進事業の一環として行われていますが、企画から運営までNPO法人のえんご会が福祉団体、ボランティア団体、地域、商店街と連携して行っています。

 まず、安城市の人にやさしいまちづくり推進事業について少し紹介します。今年度(平成21年度)から第1次を引き継ぎ新たに第2次安城市地域福祉計画がどんじゃらまつり2始まっていますが、根底となる第1次安城市地域福祉計画から人にやさしいまちづくり推進事業を紐解いていきます。「人にやさしいまちづくり推進事業」として、「心のバリアフリーの推進」と「まちの住環境の整備」の二つを大きく掲げています。

 心のバリアフリーの推進は、障害のある人をはじめ、誰もが地域で共に暮らしていく地域づくりのためにノーマライゼーションの理念に基づき、障害のある人や高齢者に対する理解を深め、心のバリアフリーを推進すると謳っています。行政がつくる計画の文面は難しい面もあり、補足として語句説明をします。ノーマライゼーションとは、障害のある人や高齢者など社会的に不利を負う人々を含めて社会が構成されていることを当然のこととして包容し、そのあるがままの姿で他の人々と同等の権利を享受できるようにするという考え方であり、その方法のことを言います。また、心のバリアフリーとは、障害に対する無理解から生じた偏見や差別意識(心の中の障壁)を取り除き、誰もが個人として尊重される存在であることを認め合う取り組みや状態を言います。

 次にもう一つの「まちの住環境の整備」は、障害のある人をはじめ誰もが地域で共に暮らしていく地域づくりのためのまちのバリアフリー化を推進すると謳っています。具体的な取り組みの一つとして、地域におけるバリアチェックと改善提案を地域住民、学校、商店街と協働して行うといどんじゃらまつり3う文面があり、以前の視察レポートで紹介しておりますが、安城サンクスフェスティバルの街中宝(バリア)さがしの中で実践しています。

 今回のどんじゃらまつりでも車いす体験や障害をもった方の介助体験なども行っていましたが、どちらかと言えば、交流、ふれあいを中心とした心のバリアフリーの推進という意味合いが強いイベントでした。具体的なイベント内容の紹介の前に、市が行ったアンケート調査結果の設問のひとつを紹介します。援助を必要としている人が差別や不利益を受けていると思う理由は何ですかという設問に対して、「助けようとする心が社会にない」が42.3%と最も高くなっています。次いで、「特別視しようとする風潮がある」が24.9%、「配慮した施設がない」が17.0%、「交流やふれあいを図る場がない」が10.0%となっています。ご覧になってお分かりいただけると思いますが、施設などのハード面よりも、心のバリアフリーのソフト面のふれあいや思いやり、助け合いといった意味合いが強く出ています。

 どんじゃらまつりは様々な団体や地域を巻き込んで、多彩なイベントを行っていました。根底にあるのは、心のバリアフリーの推進であり、ふれあい、交流でもあり、福祉グループや団体の方々が各ブースで、福祉活動のPRや自主製品の販売、介護用品の展示、体験など行っていました。上から3番目の画像上で、各ブースのテントが小さくですがご覧いただけます。その他、福祉車両の展示、販売もされていました。

 また、自衛隊、警察、消防も参加していました。自衛隊車両、消防車、パトカー、白バイなどが展示されており、実際に、自衛隊、警察、消防の方もいて、どんじゃらまつり4車両に乗ることのできる体験も行っていました。消防のコーナーでは、密閉のテントを用意して、その中に煙りを起こし、火事の際の煙り体験も行っていました。変わったところでは、子どもたちも多いこともあり、2005年の愛・地球博(愛知万博)の人気キャラクターのキッコロ、モリゾーの着ぐるみも見られました。

 その他の催しは、画像とともに紹介していきます。上から4番目の画像は、地域の老人会のお年寄りたちが子どもたちに昭和の遊びを教えている様子を写したものです。コマ回し、メンコ(けんぱん)、お手玉、おはじき、竹トンボなどお年寄りと子どもたちが楽しそうに遊んでいました。子どもたちに交じって、お父さん、お母さんも懐かしく、夢中になっている姿も見られました。

 昭和の遊び体験の中におけるメンコ(けんぱん)は、商店街が協力して提供しています。商店街のお店をまわるとメンコ(けんぱん)がもらえるスタンプラリーを行う形で提供しています。上から2番目の画像は、商店街のお店をまわってメンコ(けんぱん)を選んでいる家族連れを写したものです。メンコ(けんぱん)は、商店街のお店、どんじゃらまつりの会場および御幸町内会全戸に配布したみゆき商店街を楽しむ情報誌「ごんぎつね通りかわら版」がスタンプラリーの台紙も兼ねており、ごんぎつね通りかわら版を持参すると、各お店でスタンプを押してもらいメンコ(けんぱん)が1枚もらえます。1店で1枚もらえ、お店をまわることでメンコ(けんぱん)がたまっていきます。

 また、スタンプラリーの参加店のお店をすべてまわってメンコ(けんぱん)をもらってスタンプを押すと、さらにどんじゃらまつり5、どんじゃらまつりの会場で豪華商品が当たる福引きにも参加できます。その他、商店街のお店では、どんじゃらまつりに合わせて、どんじゃらセールを開催して、割引したり特典を付けたりサービスをしていました。

 上から5番目の画像は、商店街の中にある本屋さんで、どんじゃらまつりの日に行われていた「おはなし会」の様子を写したものです。大きな絵本に夢中になって聞いている子どもたちがご覧いただけると思います。絵本や紙芝居の他に、歌や手遊びなども行っていました。

 前回、紹介しました半田市の駅前フェスティバルと今回のどんじゃらまつりは、市民協働という取り組みの視点で共通しています。最近、多くの自治体で、「市民協働」が謳われています。「協働」という言葉は、「コラボレーション」の訳語とも言われていますが、「協働」という言葉には、単に一緒に行う、協力して行うということだけでなく、異質なものの出会いによって生まれる新しい相乗効果、創造性を期待する意味を込めて使われることも多いです。

 市民協働が多くの自治体で謳われている背景には、少子高齢化や環境、教育、防犯・防災など地域社会の課題が複雑かつ多様化してきていることが挙げられます。そして、これらの多くの課題に対して、公平かつ画一的な従来の行政サービスだけでは十分に対応できないケースが多くなってきている現状もあります。今回のどんじゃらまつりは、一つの市民協働のイベントですが、今、まさに、ひとりひとりの市民の力、地域の潜在能力や資源の発揮が求められており、行政そのものがしっかりしていることが大前提ですが、その上で、行政と市民が協働することにより、行政だけでは難しかったきめ細かい対応、新しいサービスが生まれていくことと思います。

By Nagura

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