シンポジウム“まちづくりにおける大学の役割
を考える”に参加して

記:2002.3.3

 2002年2月16日に名古屋市公会堂で行われました東海都市ネットワーク協議会主催のシンポジウム「まちづくりにおけシンポジウム風景る大学の役割を考える」に参加して参りました。東海都市ネットワーク協議会とは、浜松、豊橋、岡崎、豊田、名古屋、岐阜、大垣、四日市、鈴鹿、津の10都市が、相互に連携・交流し、共通する諸課題の解決や魅力の向上をはかる「都市のネットワーク」の形成を目指して、先駆的な調査・研究、情報発信などを行うことを目的に設置された組織です。今回のシンポジウムは、『大学が持つ人材、技術・情報、施設などは、地域の諸課題を解決し、豊かな市民生活を実現する上で重要な社会資源であり、大学と地域の連携・交流を促進し、まちづくりに生かすための方策などを考える』という主旨で行われました。

 まず、シンポジウムのおおまかな流れを示しますと、基調講演で中京大学学長の小川英次氏が「新世紀、挑戦する大学 〜大学は地域発展の原動力となりうるか〜」というタイトルで話されました。そして、第二部としてパネルディスカッションが行われました。名古屋市総務局の山田雅雄氏がコーディネーターをされて、パネリストとして、三重大学人文学部教授(兼三重環境県民会議代表)の朴恵淑氏、大垣商工会議所の菱田耕吉氏、日本福祉大学経済学部教授の丸山優氏、浜松市企画部の徳増幸雄氏が招かれました。

 今回のシンポジウムにおける基調講演はじめ各パネリストの方々の発言の中で、印象に残った言葉などは後ほど紹介いたしますが、まず、今回のシンポジウムに参加して会場をグルっと見回して私なりの感想を述べさせていただきます。会場には400人余の方々が参加されており、私が想像した以上に盛況だったのには驚きました。正直なところ、“大学とまちづくり”という視点で、世間的な認知などを考慮しても現在の段階で、どこまで人が呼べるだろうかという気持ちがありました。個人的には、“大学とまちづくり”という視点は、着目しており、追っかけているテーマでもあります。当方の視察レポートにおいて、大学という視点では、愛知県高浜市を紹介した際に、日本福祉大学と高浜市が連携した取り組みの事例を紹介しています。併せてお読み頂けましたらと思います。また、今回のコラムと同時に視察レポート上で、名古屋学院大学の学生と瀬戸市中心市街地商店街の取り組み事例も紹介しておりますので、こちらも併せてお読み頂けましたらと思います。

 トータル的な評価は、最後にしまして、ここでシンポジウムにおける印象に残った言葉を少し紹介いたします。基調講演における小川氏の発言として、「大学設置の自由化、学科設置の自由化の流れがあり、これから大学も変わっていく時代である」と言われ、キーワードとして“変化のマネジメント時代”を挙げられました。要旨は、大学も変わり、行政も変わり、まちも変わり、皆さんも変わるという論点です。また、変化の鋭さ、的確さをみていく上で、“人材”“金”“情報”“技術(知識・技能)”の4つの視点を挙げられました。

 パネルディスカッションでは、大学で学生に接している三重大学の朴氏が今の大学生を評して“今の学生は、目標を持っており、目的もある。しかし、夢がない”と言われました。その他、朴氏の大学の教員のあり方についての発言は、名古屋学院大学の学生と瀬戸市中心市街地商店街の取り組み事例の中で紹介しておりますので、併せてご覧下さいませ。日本福祉大学の丸山氏は、日本福祉大学が事務局になっている学術、文化機関、研究機関、資料館、企業などが連携した組織“知多ソフィアネットワーク”を大学がやる意味について、地縁や血縁に縛られないネットワークづくりができる点とボトムアップのコーディネートができる点の二つを挙げていました。(補足:知多ソフィアネットワークは、知多半島における経済振興のみならず、環境問題や子どもたちが心身ともに健やかに育つ地域づくりなど長期的な視点で、時代の変化に対応していける地域振興策を立案する組織です。)

 最後に、今回のシンポジウムをトータル的に評価しますと、これだけ多くの方が参加され、“大学とまちづくり”という視点に関心を持たれており、このような場で“大学とまちづくり”のあり方を考える機会を創出したという点では高く評価できます。しかし、辛口で評価しますと、もう少し市民・住民レベルにおける“まちづくり”という視点での歩み寄りが欲しかったところです。“まちづくり”という言葉からは、市民・住民レベルが連想されますが、今回のシンポジウムでは、“大学と地域・産業活性化”という視点に近く、もう一歩突っ込んだ市民・住民レベルの視点まで期待しておりました。まあ、今回は、住民代表のようなNPO、市民団体などがパネリストで参加されていませんでしたので、そこまで要求するのは無理だったかも知れません。次回は、大学、行政(商工会議所含め)に加え、市民レベルのパネリストの出席も期待したいところです。全体的には、今回のような機会を通して、大学と行政とが歩み寄り、相互理解が図れたことは、今後の展開には希望が持てます。

 新聞紙上やニュースなどでは、大学と地域や産業という観点において、大学の技術を民間や地域に移転する機関(TLO:Techonology Licensing Organization 技術移転機関:大学・高専の研究者の研究成果(発明)を譲り受けて特許化するとともに、その研究成果を企業へ積極的に情報提供、マーケティングして、適切な企業に技術を移転する機関のこと)の話題は、クローズアップされています。しかし、“技術・技能”という面に一部含まれる部分もありますが、大学の持っている“マンパワー”的なものを“まちづくり”と連携させていきたいものです。大学の持っている“マンパワー”には、大学の教員のみならず、学生、そして大学職員も入ります。とかく大学職員というと、表舞台に出る機会が少なく地味で縁の下の力持ち的なイメージがありますが、素晴らしい大学には素晴らしい大学職員が存在しています。大学において、教員と学生の両方を見ている職員こそ、“大学とまちづくり”を進めていく上でコーディネートできる最も適した存在かも知れません。ハイレベルな“スーパー大学職員”が多く表舞台にでてくることを期待したいものです。

 今回のシンポジウムに参加して、“大学とまちづくり”という関心の高さが伺えたことは勉強になりました。これからも、機会を見つけて“大学とまちづくり”という視点で皆様方に紹介できたらと思っております。

By Nagura

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