広がるリサイクルの輪

記:2001.4.1

 ちょうど、このコラムが読まれる頃には、駆け込みの家電購入も一段落つき、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)が施行(2001年4月リサイクルイメージ1日から)されていることと思います。後ほど、この家電リサイクル法については、詳しく紹介します。

 先日、愛知県ではかなり有名な「エコ商店街」として知られている大門商店街(名古屋市中村区)の立役者でもある山本章太郎さんの講演(学校法人安城学園知立学泉塾主催のまちづくり講演会にて)を聞いて参りました。大門商店街は、名古屋市が分別回収を始める以前の1999年1月28日から瓶や缶、古紙などのごみを資源として生かそうと商店街が自主的に分別回収を始めたところです。名古屋市は、ごみ処分場建設問題で、“藤前干潟”の埋め立てを断念してから流れが大きく変わってきています。また、この潮流は、愛知万博へも引き継がれているように思います。

 瓶や缶、古紙などのごみを資源のリサイクル活動から始まった大門商店街は、昨年(2000年)4月から地域内で利用できる地域通貨(エコマネー)もリサイクルに絡めて始めています。講演の中でも山本氏はおっしゃっていましたが、大門商店街のホームページをみますとこれまでのリサイクル活動の成果が出ています。少し紹介しますと、1999年1月の開始からこれまで(第48回目となる2001年2月22日まで:月2回実施)通算で約419トンもの回収を行っています。1回あたりなんと7〜10トンほどを回収しています。
 また、通常のゴミ処理を考えますと、もちろんタダではなく、我々の税金が使われているわけですが、このリサイクル活動を行政が回収した場合と比較した削減コストも試算してあるのが興味深かったです。それによると、名古屋市の場合ゴミ処理コストは、1トンあたり5万円以上かかっており、1回のリサイクル量10トンとすると50万円かかることになります。そして、現在、商店街が1回あたりのリサイクル活動につき5万円の補助があるため、その分を引いても45万円となり、それが月2回で90万円、年間ならなんと1,000万円以上となります。リサイクル活動により、それだけ名古屋市の財政を助けることにつながっているということを数値でわかりやすく表しています。
 大門商店街は、これまで説明してきました瓶や缶、古紙などのごみを資源のリサイクル活動はもちろん活発に行っていますが、平行してゴミとなる容器を使わないなどの根本的で最も効果的なゴミの「発生抑制」にも取り組んでいます。再利用ができるリターナブル瓶商品の推奨、豆腐や惣菜などの購入の際にマイ皿・ボールを持参、定食屋などの飲食店にマイ箸をおいておく運動などユニークな試みが行われています。これらの取り組みは、エココインと連動して行われているため相乗効果を発揮しています。
 エココインとは、“環境にやさしい行動”をした人にコインをわたそうというもので、環境問題への関心をもってもらうことと売り上げアップを狙った一石二鳥の試みと言えます。エココインは、金色に輝くちょうど10円玉くらいの大きさのコイン(エコ大門コインと英語で表記してある)です。1枚10円として買い物時に利用できる他、10枚集めると薬局でエコせっけんに交換できたり、商店街内4ヶ所に設置してある情報案内端末「OMON Navi(大門ナビ)にコインを投入すると、参加店の各種割引券が当たるという“大盤振る舞い”もあります。

 冒頭で述べました家電リサイクル法(2001年4月1日施行)について、ここで紹介します。この法律は、廃棄物の減量と資源の有効利用を通じた循環型経済社会の実現をめざし、使用済み家電製品のリサイクル促進のための新たな仕組みとして、1998年5月に国会で成立したもので、今回の施行に至っています。対象品目として、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4製品が対象となっています。
 家電リサイクル法は、製造業者(メーカー)、小売業者、消費者(排出者)それぞれの役割分担、協力体制の上に成り立っていると言えます。具体的には、製造業者(メーカー)にはリサイクルの義務が課され、小売業者には、消費者(排出者)から引き取った廃家電をメーカーに引き渡す義務が課され、そして、消費者(排出者)には、リサイクル料金を負担するという役割分担が課されます。
 メーカーのリサイクル率は、それぞれ重量比でエアコンが60%以上、テレビが55%以上、冷蔵庫と洗濯機が各50%以上課せられており、達成できない場合は罰則もあります。消費者(排出者)の負担するリサイクル料金は、冷蔵庫4,600円、エアコン3,500円、テレビ2,700円、洗濯機2,400円となっています。また、運送料はこれにプラスして、別途かかります。

 最初に名古屋の大門商店街というコミュニティにおける自主的な環境への取り組み、そして、対極とも言える法規制によるガイドラインを定めた上での施行の家電リサイクル法を紹介しました。行政、製造業者等は、リサイクル環境のよりよい整備の追求は今後も必要になってきますが、最終的には消費者である我々ひとりひとりの協力・環境への認識を高めなければ循環型社会の実現は難しいと言えます。特に、家電リサイクル法の施行の影響で、販売業者がかなりあおったこともありますが、3月までの駆け込み需要で大きく家電販売が伸びており、リサイクル料の負担にはかなり抵抗があるのも確かです。今回のリサイクル料の徴収は、購入時ではなく、廃棄時にかかるため、一部心もとない方による不法投棄の懸念がされているのも確かです。しかし、不法投棄罰則に関しては、現在、産業廃棄物と一般廃棄物を区別せずに、「5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金またはこの併用」とかなりきびしくなっています。

 循環型社会の実現には、消費者、メーカー、販売店、自治体などがそれぞれリサイクルの輪の中でそれぞれの役割をしっかりやっていくことが必要になっていきます。協力関係の基に成り立っているリサイクルの輪は、どこか1箇所が切れてしまっても崩れてしまいます。「買い手よし、売り手よし、そして世間よし」という“三方よし”という理念に基づき、売り惜しみや荒稼ぎなどは邪道であり、誠実な商売を守り続けた近江商人のように、循環型社会においてもこのように「相手良し、自分良し、世間良し」という関係がまさに必要であり、その上で“環境良し”になっていくのでしょう。

By Nagura

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