地域通貨(エコマネー)について考察する

記:2001.2.4

 今、全国各地の30カ所ほどのコミュニティエリアで「円」とは違う地域限定の「お金」が誕生しています。このお金は、地域通貨、エコ全国地域通貨サミットマネーと呼ばれ、介護や家事、趣味など主に住民同士の助け合いの仲立ちとして利用されています。こうした地域通貨の運営にあたっている多くは、NPO、NPO活動やまちづくりの市民参画を推進するグループなどです。

 変わったところでは、情報公開など先進的な県として知られる三重県が、県庁本館内で地域通貨「エコマネー」の運用実験を昨年(2000年)11月1日から始めています。これは、昨年6月に発足したエコマネー研究会(県の政策開発研修センター内)が運用実験しているもので、実験に参加する職員(有志)が、時間を単位にしたエコマネーで特技などを生かした仕事のやりとりをしており、事務局では「まず自分たちで体験し、問題点などを整理した上で、地域での導入をサポートしたい」と意気込んでいます。まず、行政サイド自らが行ってみるという姿勢は共感が持てます。
 簡単に三重県庁内で行われている運用実験を紹介しますと、基本的に勤務時間外、また、自分の業務そのものや残業をエコマネーで頼んだりすることは禁止しています。その上で、県庁内で開設されているホームページ上に、実験に参加している職員が、「スペイン語できます」「休日の子守りします」「ホームページの作り方教えて」「整理整頓のコツ教えて」などのように「できること」「して欲しいこと」を書き込んでいきます。ちなみに、自由な情報交換を促進するため「役職」は書かないようにしています。県庁内で運用実験している通貨(紙幣タイプ)の名称は、大夢(たいむ)で、100大夢を30分とし、参加者は事務局から最初に1000大夢(5時間)を受け取ります。そして、サービスを受けたとき、紙幣の裏に日時、その内容、価格を記入して相手に渡します。受け取った紙幣は、自分が受けるときに使える仕組みとなっています。

 地域通貨と我々が普段使っているお金法定通貨「円」との違いを考えますと、まず大きな点は、名称が示すように限られた地域、特定の範囲でのみ通用することです。そして、法定通貨のように中央銀行が発行するのではなく、コミュニティ自身の手でつくり出すことができます。お金のように利子はつきませんが、その分貯蓄や投資等で溜めることなく流通していくため、循環することよってコミュニティがより高まり、価値を生み出していくと言えます。地域通貨は、何かを手伝ってもらったとき、ちょっとしたお礼など、感謝の気持ちとして渡すことができます。この場合、現金では、渡す方も受け取る方も互いに気持ち的にしっくりこなく、通常の市場では成り立ちにくい価値を支えるツールとして「地域通貨」が注目されています。地域通貨は、こうした特質からコミュニティや地域経済の活性化など促進するものとして、冒頭で述べましたが、国内では30地域で試みられており、世界的にみると約2,000地域で試みられています。

 一番上の画像は、昨年行われたまちづくり交流フォーラム2000三重の中の分科会の四日市で開催された(2000年11月25日)全国地域通貨サミットの会場の様子を写したものです。会場には、70名近くの方(定員50名)が参加されており、三重県はもとより近隣の愛知県や岐阜県だけでなく、仙台、神戸、大阪、東京、静岡、長野、金沢、鹿児島といった遠方からの方もいらっしゃっており、関心の高さが伺えました。
 ワークショップ形式のグループディスカッション、パネルディスカッションが行われ、パネラーとして、滋賀県草津市の地域通貨「おうみ」の山本氏、愛知県知多半島の地域通貨「レッツ・チタ」の杉浦氏、長野県安曇野の地域通貨「安曇野ハートマネーリング」の臼井氏など実際に携わっていらっしゃる方が参加されました。今回の全国地域通貨サミットでは、地域通貨の導入、地域通貨の共通理解、事務局の運営体制はじめ、課税対象になるものなど法的な問題、現実社会の経済システムとの折り合いについてもいろいろと課題が持ち上がりました。日本における地域通貨の取り組みはまだまだ始まったばかりで、これからトライ&エラーしていく段階であり、今回、地域通貨に携わっている人、地域通貨に関心をもっている人が一同に集まって、意見交換できたことは有意義でした。このような集まりを今後も引き続き開催していってよりよい地域通貨のあり方を探っていって欲しいものです。今回、参加者には行政の方もいらっしゃいましたが、パネラーとして行政の責任者なり担当者に出席してもらい意見交換していく取り組みも待たれるところです。

 最後に、今回見てきました「地域通貨」の他に、これから21世紀において普及していきそうな感じがするものに「電子マネー」が挙げられます。「地域通貨」は地域に根ざしたものですが、「電子マネー」は、ある意味現在の貨幣や紙幣の現金の持ち歩きに取って代わるようなものに進んでいくように思います。現状の現金の変わりと言いますと、我々が日頃、目にするものにクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどありますが、まだまだ現金利用の方が多く、財布代わりにはなっていないのではないでしょうか。
 これから財布代わりとして注目されているものに、セキュリティ面の安全性が高いICチップがあります。このICチップをカードに埋め込んだものが、ICカードであり、商店街カード、一部クレジットカードでも利用されており、また、このようにカードタイプだけでなく、携帯電話、腕時計、ペンなどにICチップを埋め込むことも可能です。携帯電話1台で、缶ジュースを買ったり、ショッピングをしたり、電車に乗ったり、車や家のカギの役割を果たしたりできる時代が、もうまもなくやってくるかも知れません。その時のキーワードになるのが、やはり、これから高齢化時代を迎え、高齢者のシニア層にとって使いやすいかどうかであり、課題としては、実際に現金に触れることなく決済が進んでいくことで、特に子供たちにとっていかに金銭感覚・バランス感覚を身に付けさせていくかが問題として浮上するかも知れません。

By Nagura

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