バリアフリーについて考察する

記:2000.7.2

 “バリアフリー”という言葉が、一般的に利用され聞かれるようになってきて、浸透しつつあるという感バリアフリーイメージ図じがいたします。皆さんも最近、テレビや新聞紙上でもよくご覧になられるのではないでしょうか。まち・道路のバリアフリー、駅のバリアフリー、住宅のバリアフリー、衣服のバリアフリー、公共施設・商業施設におけるバリアフリーなどいろいろな場面場面ででてきます。

 昨年(1999年)春に書きましたコラム「元気な高齢者や障害者が“街”に繰り出す!」の中で、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ノーマライゼーションなどのキーワードを盛り込んで紹介してありますので、そちらも併せてご覧いただけましたらと思います。重複になりますが、各キーワードの説明を再度いたします。
 バリアフリーとは障害者の方などにとって使いやすいという概念で、言葉の通り障害のある方が普通に生活するための障壁(バリア)をなくすことがバリアフリーです。そして、初めからバリアのないデザインを考え、障害者の方に限らず一人でも多くの人が利用しやすいものや空間を提供していこうというのがユニバーサルデザインです。また、ノーマライゼーションとは、障害者も健常者も普通の人間であると理解することであり、すべての人がともに生きるという考え方です。

 今年(2000年)5月10日に、高齢者や身体障害者が駅や駅の周辺を快適に利用できるようにするため関連設備の整備を促す高齢者・障害者移動円滑化法(交通バリアフリー法)が成立(今年中に施行の見通し)しています。駅や空港、バスターミナルが対象で、エレベーターなどの設置のほか、トイレを設置する場合は身障者用のトイレを用意することや誘導警告ブロックの設置など義務づけています。

 2000年6月28日に運輸省がまとめた駅のバリアフリー化のデータをみると順調に進んでいるようです。全国のJR、大手民鉄、営団地下鉄、公営地下鉄の各駅について、99年度現在の設置対象駅(施設の高低差5メートル以上、利用客が1日5,000人を超える駅)でのエスカレーターの設置率は6割を突破しています。住宅という観点では、住宅整備目標の中で「2015年までにバリアフリー化住宅を4割(リフォーム含む)に」と謳っています。

 旅行という観点では、高齢者や障害者が円滑に旅行できるバリアフリー型ツアーへの関心が高まっています。旅行会社は個々の参加者のニーズに合わせたきめ細かいサービスを提供する必要があるため、小回りが利くベンチャーが台頭しています。通常のツアーより手間がかかるため、ボランティアと営利事業の両立を目指す各社の奮闘が続いているようです。しかし、長野パラリンピック以降関係者の理解も深まり、先ほど紹介しました交通バリアフリー法も成立して追い風は吹きつつあります。また、旅行先となるテーマパークのバリアフリー化も進んでいます。テーマパーク内の勾配をゆるやかにしたり、汽車やメリーゴーランドなどに車いすのまま乗り込めたり対応が進んでいます。三重県の志摩スペイン村では、約20あるアトラクションのうち、メリーゴーランドなど9つが車いすのままで利用できます。静岡県の富士山こどもの国では、園内の勾配は5%以下にして、50メートルごとに休憩スペースがあり、すべての建物に車いすで入ることができます。

 公共機関のバリアフリー、旅行のバリアフリーを見てきましたが、日常的にまちに出たり、買い物に行ったりする支援をする動きも高まってきています。貸し出しの電動スクーターで買い物や街歩きを楽しめるようにするタウンモビリティ活動が、昨年(1999年)10月から広島県佐伯区で始まっています。タウンモビリティとは、名前が示す通り、タウン(まち)をモビリティ(移動できるということ)するということで、街歩きを楽しんでもらおうというものです。買い物のショップをとって、ショップモビリティとも呼ばれています。市民グループが地元の商店街の協力を得て運営されており、必要に応じて利用者の自宅にスクーターを届けます。

 駅のバリアフリー化、車いす用リフト付きの低床型バスなどの導入も進んでいますが、まだまだ途上段階ということもあり、タクシーの利用が身近に利用されているようです。車いすをトランクに取り付ける器具も注目を集めており、タクシーに車いす2台積めば、友達と出かける機会も増えるというものです。

 また、最近道具としてイメージが強かった車いすやステッキなどにカラフルさやデザイン性を強調したものが増えてきています。背景には、今年(2000年)4月からスタートした介護保険制度に伴い、市場を当て込んだ異業種からの参入組がデザイン重視の商品開発に力を入れていることもありますが、楽しさが増すという点では良い傾向と思います。

 今回、バリアフリーという視点でみてきましたが、駅やまちなどのハード面からのバリアフリー、市民グループや商店街の協力を得て行っているタウンモビリティなどのソフト面からのバリアフリーの両面から進みつつあるように感じます。ハード面の整備がさらに急がれているとともに、ソフト面の人と人とがふれあう機会の充実も望まれています。心のバリアフリーの機会が増えていけば、高齢者や障害者の方の孤立も防げることと思います。バリアフリーにおけるハード面、ソフト面はまさに両輪の輪の関係であり、同時平行でバランスよく築いていくことが大切と思います。

By Nagura

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