ITS(高度道路交通システム)について考察する

記:2000.5.1

 ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、交通事故の増加、慢性的な交通渋滞などITSイメージを解決する手段として注目されてきておりますが、ここにきてさらにITSと情報通信技術との融合による新たな可能性も高まってきており、2015年までに累積で約100兆円のビッグマーケットになるという予測もされています。

 最近新聞紙上でもよく出てくるのが、ITSの先駆けとして期待されているETCと呼ばれる有料道路のノンストップ自動料金収受システムです。ご存じの方も多いことと思います。これが実用化されますと、高速道路のインターの出入りにおける料金所にストップすることなく、通り抜けることができます。ウィークエンドなどの観光地などにおける渋滞、通勤における渋滞などの緩和につながることが期待されています。また、料金所における人件費の削減にもつながっていきます。
 ETCの試行運用が千葉県を中心とする首都圏の主要な料金所で開始されています。渋滞緩和とともに、大きなポイントは、キャッシュレスという点です。おおまかな仕組みは、ETCの車載器とICカードを装着した車がETC専用レーンを通過することによりゲート上方に設置したアンテナと車の間で無線通信により情報のやりとりがされます。流れを追って説明しますと、まず入口料金所に進入しますと、ゲートのアンテナから車載器に入口情報が発信されます。そして、目的地の出口料金所では、入口情報を車載器からアンテナに送信し、その情報を元に計算された通行料金が課金され、後日クレジットカードから引き落とされるという流れです。当然、車載器のない車はETCのレーンを通ることができませんから、車載器が普及して価格も下がって一般的に使われるようになって、初めて渋滞緩和という流れになることになります。今しばらく時間がかかりそうです。

 ITSのプロジェクトの一つとして上記にETCを紹介しましたが、その他にも様々なプロジェクトが展開されています。日本におけるITSの取り組みは、1996年7月に警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省が策定した「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」に基づいて様々なプロジェクトが展開されています。ざっと挙げますと、ETC以外に「ナビゲーションシステムの高度化」「安全運転の支援」「交通管理の最適化」「道路管理の効率化」「公共交通の支援」「商用車の効率化」「歩行車等の支援」「緊急車両の運行支援」です。30年後には、交通事故半減、交通渋滞解消、燃料消費量と二酸化炭素15%削減、窒素酸化物30%削減が期待されるという試算もあります。

 ITSということを考えていきますと、本来あるべき姿の自動車と道路のコミュニケーションが始まったとも言えます。車には様々な機能がついていますが、今までは一つの機能が単独として働いていたのが、機能と機能の連携、自分の車と他の車との連携が始まり、点から面へと広がっていると言えます。以前、サラリーマン時代にレーザーレーダー(車間距離センサー)の開発業務に携わっていたことがありますが、ITSが進んで行けば、一般的に普及していくのも近いという感じがしました。現在、レーダークルーズコントロールとして一部の車種にオプション設定されていますが、定速走行、減速制御、追従制御、加速制御の範囲で自動ブレーキングまでは至っていないのが現状です。技術的にはすでに可能ですが、様々な問題、課題もあり実用化になっていない状態です。しかし、車というのは基本に戻れば“Fun To Drive”というように、ドライバーが運転を楽しむことが基本ですので、ITSという様々なシステムは運転者を補完する形で発展していくのが望ましいと言えます。

 あと、考えますとITSは、日本のように狭い国土の上に、特に都市部の二重三重に重なっている都市高速を見ていますと、効果が大きいように感じます。アメリカのフリーウェイなどは片側だけでも8車線以上もあるようなところが見られますが、日本では都市部の人口密集度も高く望むのは難しいですから、道路の通行効率を如何に上げていくかにかかっていると言えます。その時のキーワードが“ITS”なのでしょう。

 最後に、交通という面で、渋滞の激しい都市部の交通の円滑化を図る目的で東京都が“ロード・プライシング・システム”の導入を検討しており、さまざまな議論を起こしていますが、これはこれで一つの方法として議論を詰めていく必要があると思います。また、以前コラムでも取り上げました“カーシェアリング”という共同利用という面で、国内でも実験が行われていますが、実用化に向けていって欲しいものです。その他、自動車通勤者に鉄道・路面電車などに乗り継いでもらう“パーク&ライド”も導入できる都市は限定されるかも知れませんが、一つの方法として取り組んでいくべきものと思います。

 今回、ITSについて、トヨタ自動車のITS企画部長の長尾氏にトヨタ会館にて話を伺いました。最後に、紙面(ホームページ・メールマガジン上)を借りまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

 次回のコラムでは、ITSからさらに領域を広げまして、IT(情報技術)について考察する予定です。道路交通に関しては、物流面でIT化が進めば、作業効率が上がり、車両の通行量の減少にもつながってことが期待されています。お楽しみに!!

By Nagura

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