多機能型ICカードの活用について考察する

記:2000.3.8

 前回のコラムでは、キャッシュカードを決済手段に使うデビットカードについて考察しました。そのデビットICカードイメージカードが先日(2000年3月6日)本格的な稼働がスタートを切って、テレビ、新聞などで取り上げられていましたので、皆さんご存のことと思います。多くのデビットカードなる金融機関のキャッシュカードは、茶色の帯状の線が入っている磁気ストライプ型の磁気カードです。また、日本で発行されているクレジットカードも一部を除いてほとんどが磁気カードとなっています。一度お手持ちのカードを手にとってご覧いただければと思います。

 今回のコラムでは、この磁気カードに変わる新世代のカードメディアとして注目されているICカードについて考察します。最近新聞紙上でも“偽造クレジットカード対策にICカード型クレジットカード”“携帯電話を活用したICカード電子決済”“カード機能統合にICカード活用”“共通ICカードで合意”などという文字が踊っておりますので、一度はICカードという言葉を聞いたことがあると思います。先に挙げた新聞紙上の見出しだけみても、ICカードには多くの特徴があり、使い方も幅広いことが伺えると思います。下記で掘り下げてみていきます。

 ICカードは、キャッシュカードやクレジットカードと同サイズのカードにICチップを埋め込んだものです。このICは情報の書き込みや読み出しを制御するためのCPUとCPU駆動用およびデータ記憶用のメモリで構成されています。簡単に解釈すれば、ICカードには一つのコンピューターが入っていると言えます。磁気カードとの大きな違いは、ICカードはカード自身で演算が可能です。
 記憶容量も磁気カードの60〜80程度バイトに対し、ICカードは200バイトから大きなものでは数十キロバイトもあります。ですから、キャッシュカード、クレジットカード、定期券など数多くの機能を1枚のカードに入れ込むことも可能です。また、偽造や内部データの改ざんが困難など、セキュリティー能力が高いのも特徴です。このセキュリティー能力が高さが、クレジットカードのICカード化への流れとなっています。その他、入退場システム、社員証などにも活用されています。こうした優れた特性からその応用範囲は広く、金融・流通・交通・公共機関などさまざまな分野で活用が見込まれています。

 次にICカード化への流れを見ていきます。今月3日(2000年3月3日)に都市銀行9行とNTTグループ、東日本旅客鉄道、トヨタ自動車、セブン・イレブン.ジャパンなど39社が、顧客向けに発行するICカードの規格を共通化することで合意されています。郵政省も近く合流し、キャッシュカードや定期券など複数の機能を持ったICカードの発行などを検討する協議会を4月上旬にも設立する運びとなっています。参加企業はさらに増える見通しです。
 キャッシュカードとクレジットカードを1枚にした統合カードの動きは、昨年(1999年)10月に住友銀行が発行したのをきっかけに、今月中旬から夏にかけて、すべての都銀が発行する予定となっています。この一体型カードを利用すれば、ATMでの現金の預け払い、(少額の)買い物代金の預金口座からの引き落としのデビット決済、(高額の)買い物代金の支払いのクレジット決済が可能となります。都銀が一斉に一体カードの発行を進める狙いは、2〜3年後のICカード化への切り替えをにらんだ多機能化への流れがあると言えます。
 もう一つ興味深い取り組みとして、郵政省とNTTドコモ、ソニー、松下電器産業、東芝の4社が進めている携帯電話を個人向けのICカード端末として利用するシステムの共同開発があります。2001年度の実用化を目指しており、ICカードの読み取り・書き込み装置を内蔵した携帯電話でインターネットにつないで電子決済にICカードを利用しようというものです。
 その他自動車関係では、2015年までに累積で約100兆円のビックマーケットが見込まれているITS(高度道路交通システム)における自動料金収受システム(ETC)でICカードを利用した決済が考えられています。自動料金収受システムは、一部の高速道路で実証実験がされていますが、入る時や料金所で止まることなくノンストップで支払いを可能とするものです。料金所に設置した道路側アンテナと車に装着した車載器間で、無線通信によって料金情報をやりとりして、ICカードによって決済をしようというものです。

 今回、ICカードについて特徴、取り組みへの流れを見てきましたが、現状において、実際にICカードを最も活用しているところの一つとして、皆さんは意外に思われるかも知れませんが、商店街が挙げられます。商店街の買い物時にポイントがつく商店街カードの媒体にICカードを利用して、ポイント機能の他にクレジット、プリペイド、電子マネー、自治体や病院の支払い、エコロジーポイントなど多機能化が図られています。視察レポートにおいて、以前紹介しましたが、京都の西新道錦会商店街長野の駒ヶ根商店街などはICカードを利用しています。現在、商店街におけるICカード化の取り組みは、全国的に見られますが、ほとんどが端末にカードを差し込む接触型のICカードを利用しています。今後、商店街カードにおいても、電波でデータをやりとり非接触型のICカードの取り組みが出てくることも予想されます。通信距離によって種類はありますが、端末にICカードをかざしたり、上においたりするだけでやりとりできるため、活用範囲はさらに広がり、いろいろなおもしろい取り組みも出てくるように思います。

 次回の視察レポートでは、ICカードを利用した東京都国立市の商店街カード「くにたちカード」を紹介する予定です。「くにたちカード」はエコロジー機能を付けたユニークなカードとして注目されており、第9回流通システム大賞の奨励賞を受けています。乞うご期待を!!

By Nagura

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