デビットカードについて考察する

記:2000.2.17

 最近、デビットカードという言葉が新聞紙上等でよく取り上げられており、ご存じの方も多いことと思いますデビットイメージ。デビットカードとは、現在利用している銀行などの金融機関のキャッシュカードをそのまま買い物時の代金支払い手段に使おうというものです。ですから、新たにカードをつくる必要はなく、現在持っているキャッシュカードがそのまま使えます。
 現在国内で発行されているキャッシュカードのデータをみますと、発行枚数は約3億4,000万枚あり、一人あたりが持っている枚数は、2〜3枚が半数近くと最も多くなっています。(1998年10月共同通信調査センターデータより)

 デビットカードのサービスそのものは、既に昨年(1999年)1月から始まっており、一部の百貨店、一部のコンビニなどで利用された方もいるかも知れません。ここへ来て大きく話題にのぼっているのは、来月の3月6日に「クリアリングセンター」が稼働することにより、本格運用が始まり、一気にほとんどの金融機関(618金融機関・都銀は東京三菱、東海(7月から参加予定)を除く7行が参加、地方銀行は全64行中62行、信用金庫は全392金庫中382金庫など)のカードが使えるようになるためです。
 また、デビットカードが使える加盟店は現在1万店強にとどまっていますが、年内には10万店に拡大するという予測も出ています。加盟店におけるデビットカード運用の実証実験の場として早くから立ち上がっていたのが、観光客も多く訪れる京都の繁華街(四条界隈の百貨店・商店街など800店以上)です。利用できる加盟店が集積しており、なおかつ業種も幅広く集まっているところは、現在のところ他では見られませんので、デビットカードでの買い物の利便性は高いと言えます。東京都内では、既にデビットカードが頻繁に利用され取扱実績が高いところとして、西武百貨店、ビッグカメラなどが挙げられます。西武百貨店におけるデビットカードの利用状況をみますと、一つに会社帰りのOLが利用する傾向がみられます。買い物時に現金を引き出す手間が省けるデビットカードの便利性に加え、18時以降にATMなどで現金を引き出しますと、手数料がとられますが、その手数料分がとられなくてすむというのもメリットも大きいようです。

 先程のクリアリングセンターについて、少し説明を加えますと、クリアリングセンターとは、消費者の預金口座のあるキャッシュカード発行金融機関と加盟店の口座のある加盟店金融機関との取引データを集計・相殺し、銀行間で個別に資金のやり取りする手間を省く役割を果たすところです。加盟店は、これまですべての金融機関(お客さんが利用されるカードの金融機関)との契約が必要だったわけですが、3月6日からは、一つの金融機関と契約するだけで入金を受けることが可能となるわけです。

 デビットカードを説明するに当たって、何かと比較した方がよりご理解しやすいと思いますので、クレジットカードと比較してみます。クレジットカードは、多くの方が頻繁に利用しないにしても数枚はお持ちではないかと思います。クレジットカードとデビットカードの大きな違いは、決済時期にあります。クレジットカードは、翌月払いとかリボルディング払いなど後払いです。それに対し、デビットカードは、買い物時に代金を支払ったと同時に、自分の口座から引き落とされる即時払いです。
 クレジットカードは、買い物時において、引き落とし口座に極端な例、残金がほとんどなくても利用できますが、デビットカードは、口座にある残金の範囲内においてでしか基本的に利用できません。その点は、クレジットカードのように使いすぎるということはなくなる利点はあります。

 あってはならないのですが、盗難被害・不正利用という点でみますと、クレジットカードは他人に使われたとしても、基本的にはカード会社が責任を持ってくれます。しかし、デビットカードの場合は、今後変わる可能性はありますが、現段階においては、基本的に自己責任です。ですから、各社からデビットカード保険が出てきています。海外のデビットカードの利用をみますと、銀行に総合口座と決済口座の二つをもっており、決済口座のカードで買い物するのが日常的です。総合口座から決済口座へ月々決まった金額を自動に移してくれるサービスもあります。その場合、例えカードが盗まれて使われたとしても、決済口座にある残金分の被害で済むわけです。我々は、総合口座に普通預金、定期預金などすべて入れているため、カードを他人に使われた際は、被害が大きくなってしまいます。それらの対応策は時間の問題で、各金融機関がこれから様々なサービスを出してくると思いますが、とりあえず、自己防衛の手段として、海外の例のように、新たにデビット専用の口座をつくって、月々使う金額程度を入れておくのも手です。

 消費者サイドからみた面ばかり述べてきましたが、加盟店にとっては、クレジットの手数料が5〜7%ほど取られるのに対し、デビットの手数料は1〜2%ほどですから、手数料が少ない分メリットと言えます。それと、クレジットですと、入金までのタイムラグがかなりありますが、デビットの場合は、3〜4日で入金されるので、資金繰りが楽になります。

 今後の展開として、現在のデビットは、国内のキャッシュ(デビット)カードに限られていますが、今後、海外のキャッシュ(デビット)カード利用も可能になっていくものと思われます。また、キャッシュ(デビット)カードから現金を引き落とすことができるのは、現在は、銀行及びATMに限られていますが、海外に見られる、店舗のレジにおいて、現金を受け取れるキャッシュアウトのサービスの展開も予想されます。それと、現在、デビットカードで買い物できる時間は、各金融機関の取り扱い時間内(既に24時間可能の金融機関もあります)でしか利用できませんが、今後はすべての金融機関の取り扱いが24時間OKの方向に動いていくものと思われます。

 今回、デビットカードについて考察しましたが、消費者にとっては、利便性が広がり、決済手段が一つ増えるということですから、メリット、デメリットをしっかり頭に入れて、うまく使い分けをしていけばいいと思います。これから、クレジットカード、デビットカード、商店街のポイントカード、バス・地下鉄などのプリペイドカードなど提携した一体化のカードもどんどん出てくるものと思われます。消費者の増えすぎたカードを如何に集約して、利便性を高め、使ってもらうかという点で、これから各社・各団体において顧客の囲い込みが激しさを増していくように思います。
 1枚のカードに複数の機能・サービスを持たせることを可能にするものの一つに、ICカードがあります。現在、国内で使用されているカードの多くが、磁気カードですが、偽造防止、セキュリティーを高める上でも今、ICカードが注目されています。次回のコラムでは、この多機能型ICカードの活用について考察する予定です。乞うご期待を!!

By Nagura

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