「インタラクティブまちづくり国際セミナー」
に参加して

記:2000.1.19

 1999年1月13日、14日の2日間にわたって東京(有楽町・朝日ホール)で開催された「第1回インタラクティブまちづポートランドイメージくり国際セミナー」に参加して参りました。副題には、“米国ポートランド大都市圏とともに学ぶ中心市街地活性化と都市マネージメント”“新世紀 都市の地平を切りひらく自治体と市民の姿”“欠かせない情報共有と合意形成をめざして”とつけられていました。会場には、ざっと見たところ、約800人ほどの方が訪れており、自治体関係者、まちづくりに携わっている関係者などが多くいたように思います。

 セミナーは、先進的なコミュニケーション手法と情報技術で、市民参画型の広域連携のまちづくりに成功し、注目を浴びているアメリカのポートランドの取り組みの紹介(実際に担当された方がアメリカから来日され)を中心に、併せて日本からも鎌倉市、北九州市の行政の方、専門家も交え、パネルディスカッションが行われました。今回のセミナーのタイトル「インタラクティブ」を日本語訳すると、やりとり、双方向などの言葉となり、地域(行政)と市民、地域と地域、市民と市民などいろいろなやりとりがありますが、今回のセミナーでは、“市民”とまちづくりを推進する機関(自治組織)とのやりとり、コミュニケーション(合意形成)に主眼がおかれていました。また、双方のやりとりを視覚的によりわかりやすくするツール(情報技術)として、GIS(地理情報システム)の取り組みも紹介されました。

 まず、ポートランドの取り組みを紹介する前に、簡単にこれまでのあらまし、位置関係をざっと述べます。ポートランドは、アメリカ西海岸の北部のオレゴン州に位置し、ポートランド市の人口は約52万人で、周辺地域のポートランド大都市圏の広域を含めますと、約130万人ほどになります。
 多くのアメリカの都市では、1960年代ころから、急激な郊外スプロール化が進み、都市が疲弊し、深刻な問題となっていました。まさに、今、日本各地でおきている中心市街地の衰退問題と一致しています。アメリカでは、1960年代後半から1970年代ころに、市街地の再生に取り組みはじめ、歩行者に対するアメニティに加えて公共交通によるモビリティの確保を意図したトランジットモール(市街地部分への乗り入れは公共機関と緊急車両のみ)の取り組みが行われました。ポートランドでは、ライトレール(路面電車)が走っています。トランジットモールの取り組みは、ヨーロッパの街でもよく見られます。日本でも熊本市や広島市が導入している“超低床路面電車”が、ヨーロッパの街並みでよく見られます。私は、実際に熊本で、“超低床路面電車”に乗ってきましたが、従来の“チンチン電車”の乗り心地はまったく違い、新しい交通機関という感覚を覚えたのが記憶に残っています。従来のノスタルジックな独特の揺れがある“チンチン電車”も捨てがたい面はありますが・・・。
 話は、元に戻りますが、トランジットモールの取り組みがアメリカの都市部で進められましたが、郊外へのスプロール化の動きをとめるまでの効果は、一時的に効果はあっても、持続的にはなかなか難しかったようです。そして、次に出てきた取り組みが、交通政策や土地利用政策を一体的に進めることで都市のスプロールを計画的にコントロールしようというものです。ものすごく前置きが長くなってしまいましたが、スプロールを計画的にコントロールして、コンパクトなまちづくりの取り組みを行っている代表的な都市の一つが、今回のセミナーでまちづくりを担当した方が来日されたポートランドなのです。

 ポートランドのまちづくりの中心的な機関として存在するのが「メトロ」という組織です。メトロは、ポートランド市を中心とする24の自治体(人口約130万人、面積約1,200平方キロメートル)の広域大都市圏を管轄するアメリカ唯一の選挙民に承認された自治憲章をもつ地域政府といったところです。アメリカは、連邦制で、連邦の下に州、郡、市の順になっていますが、この中にメトロをあてはめますと、州と郡の間となります。日本におきかえますと、防災、ごみ処理などで見られる市・県の枠を超えた広域の連携行政圏において、自治をもってコントロールする機関と言えます。メトロは、市民参加による市民の合意形成にさまざまなプログラムを組んでいるとともに、GIS(地理情報システム)、インターネットなどの情報技術も活用しています。また、NPO(非営利組織)、NGO(非政府組織)などとの連携も図っています。

 今回、実際にポートランドのまちづくりにメトロとして携わった方から話を聞きましたが、すべてがすべてうまくいっている訳ではないと言いながらも、様々な事例を示されるとプロ意識というか専門家(プランナー)として、地域におけるコーディネーター的な役割を大きく果たしていると感じました。会場の行政関係の方から、我々は2年〜3年で担当部署が変わっていくというジレンマ・・・という質問も出ましたが、メトロでは、10年、20年と専門家として携わっており、民間など外部の専門家を積極的に活用したらどうですかという返答もされていました。

 日本においても、市民・住民が自らまちづくりに参加する動きも出てきています。また、NPOの活躍の場、行政との役割分担も少しずつ進んでいます。そして、地方分権も進みつつあり、国、県、市町村を含めた、市民、NPOの役割分担、パートナーシップの構築も必要となってきます。その時に、全体をつなげるような“コーディネーター”的な役割が必要になってきます。今、日本においても、行政の下請け的なコーディネーターではなく、独立した自治をもったメトロのようなコーディネーターが求められていると言えます。

By Nagura

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