阪神大震災から5年目を迎えて

記:2000.1.3

 新年あけましておめでとうございます。念頭にあたり、本年もよろしくお願いいたします。新しい1000年の始ま阪神大震災イメージ図りの節目となる2000年のお正月を迎えました。いかがお過ごしでしょうか。999から000にリセットされると、何となく肩の荷がおりて、新しい一歩を踏み出すという感じがいたします。本年も、皆様方にとって良き年となることをお祈り申し上げます。

 阪神大震災(1995年1月17日発生)からまもなく5年目を迎えようとしています。今一度、阪神大震災の教訓を見つめ直し、地震への備え(防災)を考えてみられてはいかがでしょうか。昨年のトルコと台湾での大きな地震は、まだ皆さんの記憶に新しいことと思います。
 本当に、地震はいつやってくるかわかりません。特に数多くの活断層が走っており、ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピンプレートの4つのプレートが接し合い、互いにぶつかりあっている日本列島の上に我々は、住んでいます。世界中を見渡しても、これだけプレートが入り組んでいるところは少なく、それだけに地震が発生しやすく、地震多発国の宿命を負っています。

 1995年1月17日に起きた阪神大震災では、6,000人以上の尊い人命が失われ、全半壊戸数は兵庫、大阪両府県合わせて約25万棟、45万世帯にのぼっています。今まであったものが、一瞬にして、奪われてしまいました。本当に恐ろしいです。経済活動を担っている工場、商店の多くも破壊され、企業の経営に打撃を与え、多くの人たちから職場を奪いました。今回のコラムでは、阪神大震災をきっかけにして、目を向けられたこと(整備されたもの・イベント)及び現状をみていきたいと思います。

 阪神大震災から5年が経とうとしており、都市基盤、建物などのハード面的な震災からの復興、生活再建は、進んでいるようですが、災害によって傷ついた人々の「こころ」の面からの震災復興の道のりはまだ遠そうに感じます。心的外傷後ストレス障害(PTSD)で悩んだり、生活再建の途上の強いストレスにさいなまれたりしている被災者の方々もいらっしゃいます。ハード面の都市基盤整備と同じ歩調とはいきませんが、阪神大震災をきっかけに、「こころ」の問題とそのケアの大切さに社会の目は、向けられています。

 ボランティアという面について見ていきますと、阪神大震災では、多数のボランティアが全国から被災地に駆けつけて活躍する姿が見られ、“ボランティア元年”という言葉も生まれました。それをきっかけに、1998年3月には、市民の活動に法人格を与える“特定非営利活動促進法(NPO法)”が成立し、同年12月に施行されました。NPO法の施行によって、活動をサポートする気運は官民ともに高まったと言えます。しかし、震災の記憶が薄れるにつれ、被災地においてもボランティア団体の「金・人・活動拠点」の不足に直面する団体も出てきているようです。NPO法が施行されて、まだ1年余りですから、これから法律の見直しも含め、よりかゆいところに手が届く体制づくりが進んでいくものと思われます。

 まちづくりという面で見ていきますと、阪神大震災では、古い木造住宅の立て込んだ密集市街地が倒壊や火災で大きな被害を受けました。現在、被害の大きかった地域を中心に市街地再開発や土地区画整理など“防災のまちづくり”を目指してさまざまな事業が展開されています。法律では、震災をきっかけに1997年5月に「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集法)」も生まれています。建設省の1997年調査によると、木造住宅密集地は大都市を中心に全国で約4万7,300ヘクタールあります。“安心して住めるまち”をどうやってつくっていくのかが、震災後の大きな課題になっています。そして、ハード的な行政サイドの取り組みはもとより、住民サイドのコミュニティーを取り戻すソフト的な取り組みも急がれています。

 昨年(1999年)の12月31日の新聞紙上におけるボランティア団体と神戸大による500人を超える広域避難調査(中間集計)をみると、阪神大震災で元の居住地から避難したままの被災者の半数近くが「戻りたいが戻れない」として、避難先での暮らしをやむなく選んでいる様子が伺えます。アンケートを行っている支援協会は、「行政の震災検証のテーマに『広域避難』がないことに不満を感じており、震災からの支援はまだまだ必要」と指摘しています。

 最後に昨年(1999年)12月13日〜26日に開催された神戸の夜を電飾で彩る“神戸ルミナリエ”を紹介します。“神戸ルミナリエ”は、阪神大震災の犠牲者の鎮魂と復興の願いを込め、阪神大震災のあった1995年の暮れから始まっており、昨年で5度目となります。ルミナリエは、イタリア語の「電飾」に由来しており、多様なデザインの木製アーチに赤や緑など色とりどりの電球が取り付けられています。イタリアやフランスなど世界各地で開催されています。昨年は、約515万人以上の方が訪れ、過去5回の開催で延べ約2,100万人の方が来場しています。短期開催では、最大級のイベントに成長しています。しかし、開催するのに、約6億円ほどの資金が必要であり、今年の開催が危ぶまれています。企業の協賛金の他に、広く募金を集める試みも考えられています。阪神大震災をしっかりと記憶にとどめていくためにも続けていって欲しいものです。見所として、“明かりがともっていく瞬間、消える瞬間”が最高のようです。

 阪神大震災をきっかけにして、さまざまな面で整備が進められおりますが、ソフト的な面では、5年経った今でも、途上という面が見られます。これから、NPOの活躍などによって、行政と住民の間を埋めるような、地域コミュニティーレベルのより身近な取り組みができていくことと思います。

 2000年問題で、昨年の暮れには、水・食料など3日程度生き延びることができる備えをなさった方も多いことと思います。それをそのまま続けていけば、地震への備えにつながっていきます。そして、最も大切なのが、隣近所、地域におけるコミュニティーを日頃から密にしておくことです。いざという時、一番大きな力となります。阪神大震災において、倒壊したがれきの下から助け出された人の多くが、地域住民の人に助け出されています。

 地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せてありますので、一度ご覧いただきたく思います。また、地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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