“カーシェアリング”と“エコマネー”とは?

記:1999.2.1

 最近、新聞を見ていましても、環境関連の記事が大きく取り上げられるようになってきています。また、環境を考える情報誌などの創刊も各社から相次いでいます。皆様方も21世紀は「環境の世紀エコイメージ」、「環境」が成長分野のキーワード、循環型社会、廃棄物ゼロ(ゼロ・エミッション)などという言葉を頻繁に耳にするようになってきているのではないでしょうか。

 環境への負担を減らす経営・管理のあり方を定めた国際規格「ISO14000」の取得をみていましても、今や、企業ばかりでなく自治体や大学の間でも取得する動きが広がっています。イメージ向上という狙いも見え隠れしますが、徐々に環境保護を真剣に考えた取り組みに変わってきているように感じます。
 国サイドの動きも、環境庁が反対したことにより、名古屋市は“藤前干潟”の埋め立てを断念し、ごみ処分場の代替地を検討する方向に流れが変わってきています。2年前に環境庁は、諌早湾干拓(長崎県)を許可し、国内最大だった渡り鳥の飛来地を失っているだけに、今回の“藤前干潟”を埋め立て反対は、大きな方向転換と言えます。
 名古屋市にとっては、ごみ処分場の問題をどうするかという大きな問題は残っていますが、“環境との共生”を目指した「愛知万博」(2005年開催)に向けては、良い兆しになるのではないかと思います。また、今後の愛知県の将来像を考える上でも、シギ・チドリ類などの飛来数が国内最大の“藤前干潟”を残せたということは、大きな観光資源を失わずにすんだと言えます。この“藤前干潟”は、国内だけでなく海外からも“フジマエ”と言われるほど関心を集めています。

 現在愛知県は、トヨタ自動車初めトヨタグループ関連企業が集積しており、県の製造業出荷額は全国でもトップを走っています。しかし、海外における現地生産へ切り換えていく流れの中、今後大きな伸びを期待できないこともあり、“観光”都市へ魅力アップを図っていくことが求められています。名古屋含め愛知県は、けっこう観光資源はあると思いますが、演出・売り込みが不十分なため、あまり知られていないのが実情です。各自治体も最近では、観光資源の魅力度アップに力を入れてきています。“藤前干潟”を残すことが決まった以上、次は国際的に湿地保護を目的とするラムサール条約(正式名称:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)への登録も目指していって欲しいものです。
 ごみ問題に関しては、各自治体におけるゴミの分別回収、リサイクルなど市民を巻き込んで活発になってきていますが、大都市ほど早急に体制を整えるのが難しいこともあり、遅れている傾向が見られます。ご多分に漏れず名古屋市のごみ対策も近隣市町村に比べ遅れていますが、そんな中、名古屋市中村区の新大門商店街では、瓶や缶、古紙などのごみを資源として生かそうと1999年1月28日から自主的に分別回収を始めています。ごみ問題で一番大切なことは、“ごみそのものを減らす”ことですが、商店街の自主的な取り組みをみていましても、今後住民サイドからの動きがより活発になっていくことと思われます。

 前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、今回のコラムでは車を共同利用する“カーシェアリング”とお年寄りの世話や環境美化などのボランティア活動をポイントに置き換えた“エコマネー”について紹介していくとともに考えていきます。

 最近、消費者の環境意識も高まってきており、都市の渋滞、廃ガス問題など車社会に対する目も厳しくなってきています。特に欧州における世論は厳しく、自動車不要論も出始めているという声も聞かれます。しかし、メーカー側もハイブリッド(電気とガソリン併用)車の販売、将来的には、完全な電気自動車、燃料電池などを利用したよりクリーンな車の開発も進めています。今回は、単に車を排除するのではなく、有効的に利用していこうとするドイツの“カーシェアリング”の試みを見ていきます。

 “カーシェアリング”とは、公共交通手段の整った都市において、自分の車を持たずに必要な時に使用目的に合った車を自家用車と同じように手軽に共同利用する会員制のシステムです。1980年代の後半に交通問題解消と環境保護運動の一環としてスイスで考案され、1990年代に入ってから欧州で急速に普及しています。
 現在では、スイスおよびドイツ全域のほか、オランダやオーストリアなどの主要都市で実施されています。また、イギリス、イタリア、スウェーデンなどでも展開の兆しが見られるほか、欧州以外ではアメリカ、カナダ、シンガポールなどで試験的な実施が始まっています。
 ドイツの例を見ていきますと、カーシェアリングの車は市内に点在する各ステーションに配備されており、24時間申し込みが可能です。そして、予約がすむとステーションまでは、徒歩か自転車で車を引き取りに行き、建物の壁などに埋め込まれたキーボックスから指定した車のキーを取り出して利用することができます。利用後は、車を元の場所に戻し、利用時間や走行距離などを記入したメモと一緒に車のキーをキーボックスに戻すだけです。利用料金は毎月一括払いという形です。
 基本的には、レンタカーの仕組みと同じですが、車が配備されているステーションが近くにあり、いつでも好きな時間帯に利用でき、またカウンターでの手続きも不要な点、レンタカーよりもはるかに利便性は高いと言えます。
 ベルリン市にあるStattAutoでは、利用者の居住場所から少なくとも15分以内で行ける場所にステーションを設置し、24時間いつ申し込んでも希望車種に乗れる確率を90%以上とするを目標に掲げています。
 今や、車を一家で数台、一人一台という形で所有されている方も多いことと思います。使用目的に応じて、車の使い方、車を所有することの意味合いなどについて、今一度見直しを図るとともに考えてみる時を迎えているような気がいたします。
 日本におけるカーシェアリングの試みは、事業としての許認可の問題や日本人のマイカー所有に対する意識の強いこともあり、まだ見られませんが、日本の都市部においても十分受け入れられる条件は整っているように思います。形態は少し違いますが、最近では、日本においても、自動車通勤者に鉄道などに乗り継いでもらうことによる渋滞緩和・環境対策としての“パーク&ライド”の取り組みは見られるようになってきています。

 次に“エコマネー”について見ていきます。“エコマネー”とは、ボランティア活動をポイント化し、そのポイントを商品やサービスに交換できるようにしたものです。高齢者の生活支援や地元商業・農業の活性化につなげようと今、山口県の周防大島において“エコマネー”を地域において流通させる試みが始まっています。“エコマネー”は、無線通信システム開発のスーパーネットが“エコマネー”と名付け、取り引きの仕組みを考案し、ノウハウを提供しています。
 エコマネーの流れをわかりやすく具体的な事例を通して見ていきます。まずボランティアとして海水浴場の清掃を4時間行ったとします。その時、作業の対価として参加者にそれぞれ24エコが支給されます。エコは、エコマネーの単位で、1エコは約10分間の軽作業に相当します。またエコマネーは、紙幣の形はとらずに、インターネット上に口座を開設し、そこで残高などを管理します。
 次に受け取ったエコマネーの使い方を見ていきますと、5エコで町営の温泉施設の入浴券に引き換えたり、毎週末に開かれる朝市「いろどり市」において1エコ=100円として買い物することなどができます。また、間接的に、農作業において人手が足らない時など、「2時間程度の作業を12エコで」という募集をインターネット上で流し、実際に手伝っていただいた方に12エコをエコマネーとして渡すという使い方もできます。利用者からは「現金で返すのは気が引けるが、エコマネーは取れたての野菜をおすそ分けする感覚でお礼ができていい」と好評のようです。
 “エコマネー”は、人と人、心と心を結び、人と地域のつながりを生みだす新しい形の“通貨”という感じがいたします。

 また、環境に関するコラムとして、自転車を優先するまちづくりについて触れています「“ケッタ”マシーン(自転車)の復権」、環境に関する法規制に触れています「本格化し始めた環境(エコ)への対応」、企業の環境への取り組みについて触れています「動き始めた環境(エコ)への対応」も載せてありますので、併せてお読み下さればと思います。

By Nagura

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